立春〈1/3〉
二十四節季の一季につき3話で展開していきます。
そのため、全72話になる予定です。
小説を書くのはこれが初めてなんで温かい目で見てください。
卒業生代表の言葉が始まった。
「暖かな春の日差しを感じる頃、この学び舎を去る日を迎えました。」
その言葉は3年間を表すにはあまりにも短すぎた。
卒業を喜ぶ者、卒業を悲しむ者、特に何も感じない者、様々な思いが交差するこの場は、
まさしく「青春の最後の1ページ」と言っても過言ではないだろう…。
桜舞う季節と言えるにはまだ少し早い時期に行われる卒業式は、何故か桜というイメージが有る。
桜が咲くのは入学式だというのに…。
それから数週間後入学式が始まった。
今日から「節峰 五季」は高校生となり、『東京都立桜星高等学校』に入学した。
「今日からこの学校で3年間過ごすのか…」
周りは同じ中学校だったのか入学当初から友だちがいる。
五季はこの春から『青ヶ島』という小さな島から引っ越してきた。
そのため、学校入学前からの知り合いなどはいない。
入学式の校長先生の挨拶や在校生代表の言葉が終わりクラス名簿が発表された。
本校は『αクラス』から『Υクラス』までの五つのクラスで分けられている。
クラス名簿は入学の際支給されてた学校用スマートフォンにメールで送られている。
「節峰、節峰、節峰…。」
「あった!俺は『β』クラスか!」
窓で晴れている外の景色を見ながら軽い足取りで教室へ向かった。
教室にはもうほとんどの生徒が座っていて、それぞれ隣同士で話が盛り上がったりしていた。
誰も、扉を開ける音に気が付かないほどに…。
右から三列目の前から二番目の自分の席に座った。
「なぁ!お前!どこから来たんだ?」
左隣に座ってた男子が話しかけてきた。
「俺は、青ヶ島っていう東京からずっと下の方に行くとある島から来たんだ。」
緊張しながらもしっかり答えた。
「へぇ、聞いたことない島だなぁ。ちなみに!俺はここら辺にずっと住んでてそれでって感じ!」
「おっと、自己紹介を忘れてたな!俺は平山 千冬!お前は?」
「俺は、節峰 五季。よろしくね!」
クラスの雰囲気にうまく溶け込めた気がした。
そんな雰囲気の中先生が教室に入ってきた。
「お前ら〜席につけぇ〜」
やる気のないような低音系おじさんボイスだった。
クラス全員の視線が教壇に立った先生を向いた。
「えぇー、今日から担任になる足立 三郎だ。」
「まぁー、なんだ?ある程度のことしていいが、俺には迷惑かけるなよぉ。」
完全に教師としての尊厳やプライドのない自己紹介だった。
俺を含め、教室にいたほとんどの生徒が苦笑いをしていた。
「それじゃあ、入学してまだ数分だが、委員会決めに応援団決めとやることが多いらしい…。」
「俺は極力働きたくないから、学年委員だけ先に決めてそれらを全部任せたいんだが…。」
「男子2人女子2人の計4人だ。やってくれるやついるかぁ?」
教室はさっきまでが嘘のように静まり返った。
学年委員という役割は仕事が多いため部活やバイトなどをやりたいと考えている人はまず、手を挙げない。
そのため、部活と委員会の両立ができる人か、暇な人しかなれないのだ。
その時、隣から平山が小声で話しかけてきた。
「なぁ、お前!部活とかバイトをやりたいとか考えてたりするか?」
皆考えることが一緒らしい。
少し考え答えた。
「俺、引っ越してきたばっかりだから、一応、部活とかバイトはまだしないつもりだよ。」
平山が目を輝かせて話し出す。
「なら、ちょっと俺と一緒に立候補してくんね?」
「俺学年委員やろうと思ってるんだけど、知ってるやつが近くにいたほうが話せるんだよ!」
「だから!頼む!」
真剣な眼差しを向けられ、俺は答えた。
「いいよ、入りたい委員会もないし…。」
そうして、二人で手を挙げた。
「何だぁ?お前ら!やってくれるのか!?」
「おしっ!あとは女子2人だな、ちゃっちゃと決めていこう!」
女子はその後すぐに二人手を挙げた。
女子の学年委員も仲が良い二人が立候補して無事、四人になり1年βクラスの学年委員が決まった。
「それでは、改めて自己紹介だけは頼む」
先生はそうして窓の外を見て動かなくなってしまった。
完全に仕事する気がない…。
学年委員が自己紹介を始めた。
「私からですね。加奈山 碧莉といいます。好きなことはテニスで部活もテニス部に入るつもりです!気軽に話しかけてくれると嬉しいです!皆さんよろしくお願いします!」
「柊 恵里菜といいます。学年委員として少しでもクラスのみんなを支えられたらなと思います!よろしくお願いします!」
「俺は平山 千冬!このクラスの皆とすぐに仲良くなって最高の思い出をたくさん作りたいと思ってます!中学で野球をやってたので高校でも野球をするつもりです!みんなよろしく!」
ついに俺の番が来た。
あまり、人前で話すことに慣れていないからすごく緊張してきた。
「さ、節峰 五季です…。」
緊張で頭が真っ白で、話すことが思いつかない。
「引っ越してきたばかりなので……ここら辺のことをたくさん教えてくれたら嬉しいです……。よろしくお願いします。」
誰でも思いつくような挨拶になってしまった。
教室の雰囲気は盛り上がることもなく逆に下がることもなかった。
そして保護者用のプリント類などを渡され各自帰宅となった。
クラスの皆が教室を出たことを確認し、先生から鍵をもらって鍵を締め振り返ると足立先生が立っていた。
「おう!こんな時間まで鍵閉めご苦労!」
時計の針は17時を指していた。
「なんだっけ、え〜っと…あっ!思い出した!節峰!お前入りたい部活とかあるか?」
急な質問にびっくりした
「と、特に考えてないですが、それがどうしました?」
そんな俺を見て先生はにやりと笑った…
嫌な予感を感じた。
「じゃあ、お前俺が顧問をもっている清掃部に入らないか?人手が足りないんだよ、頼む!」
俺は少し考えて答えた。
「まぁ、体験入部の時実際に行って決めます。」
先生はキャラに似合わずホッとした顔をしていた。
「わかった!それでいい!絶対に来いよ!来なかったら内申点下げるからな!」
そう言って職員室に戻って言った。
今日は疲れたので寄り道もせず帰宅することにした。
「ただいま〜」
引っ越しで使った段ボールが壁に立て掛けてある誰もいないワンルーム。
物が少ないため、声がよく響く。
テレビを付け、中央に置いてある丸い机にスマホを置き、腰を下ろした。
スマホを見ると3件ほど通知が来ていた。
平山からだ…。
〈平山〉17:36既読
よう!お前のアカウントってこれであってるよな?
今日は学年委員になってくれてありがとう!
明日からも一緒に学年委員として頑張ってこうぜ!
〈平山〉17:52既読
ちなみに今、クラスの何人かと親睦を深めるために学校の近くのファミレスに行ってんだけど、
よかったらお前も来ないか?
〈平山〉18:21既読
ー不在着信ー
「な、なんかうちのクラス平山が中心になりそうだな」
そういいくすっと笑って返信した。
〈節峰〉18:38
ごめん!もう家着いちゃったからまた誘って!
そう送信して風呂に入った。
学校生活は初日から少し忙しかった…
72話のラストまで
ゆっくり読んでいただけると幸いです。




