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『沈黙の輪郭』

掲載日:2025/10/28

私の目には実際に、薬の副作用で冬の光が妙に突き刺さってくる。ステンレスに反射したような妙な眩しさを感じる。それをなんらかの形にしてみようと思ったのが本稿である。


Ⅰ 〜眩しさの輪郭〜


冬の陽の光には、馴染めない。


冬の陽の光は、妙に眩しい。

真夏の、燃えるような暑さはない。

ただ、眩しいのである。

鋭く、冷たく、空の裂け目から滲んでくる。


私のまわりの世界は、銀箔で覆われたようになっている。


夕刻になれば、本来なら空は鉛色に沈むはずなのに、

この世界では、凍てついた銀の光が

壁や窓や空気に跳ね返り、

乱反射しながら、私の目を覆っていく。


硬質な光が、静かにすべてを包み込む。

冷たいはずなのに、どこか美しく、

その眩しさの中で、私は立ち尽くす。


沈黙の中に、冬の声が響いている。


Ⅱ 〜記憶の反射〜


銀色の光が、無意識の奥に差し込んでくる。

あの日の声が、意識のうちに戻ってきた気配が、静かに漂っていた。

過ぎ去った日の声──、あの声までもが光の中で揺れている。


その過ぎ去った言葉たちの反響は凍りつき、

時間は混濁に沈んでいった。


今でも、冬の光を見るたびに、

あの日が、私の中で反射する。


Ⅲ 〜境界の溶解〜


鈍色の、鋭いまぶしさは、皮膚の下にまで入り込んでくる。

目を閉じても、光は瞼の裏の沈黙を破るように差し込んでくる。

冷気が、肺の奥で微かに響いていた。


私は、私の輪郭を見失いかけている。

銀の光が、私の境界を溶かしていく。

世界と私のあいだにあったはずの膜が、

静かに、しかし確かに、剥がれていく。


私は、光の中に溶けていく。

それは痛みではなく、

ただ、境界のない静けさだった。


Ⅳ 〜沈黙の声〜


光は、語られぬものの声だった。

語ろうとするたびに、

その静けさが、私の声を封じ込めた。


沈黙は、拒絶ではなく、

ただ、光のほうが、語られぬものを語っていた。


時間は、沈黙の叫びのように流れていた。

時計の針ではなく、

窓辺の影が、少しずつ形を変えていく。


私は、その変化に気づかぬふりをしていた。

気づけば、なにかの終わりが訪れてしまう気がした。



私はもう語らない。

語るはずだった言葉は、すでに光の底に眠っていた。



冬の光が、すべてを語っていた。

私の沈黙も、記憶も、境界も──

その眩しさの中に、すでに刻まれていた。




やや表現が象徴的過ぎたかもしれない。ただ、私が感じる冬の光の印象というものは、具体的に説明すべきようなものではないと考えているので、これで良かったように思う。

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