表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンドロイドL01i(仮題)  作者: Alan Ingres


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/11

第7回

# アンドロイドの感情プログラム


**アンドロイドの感情プログラム**(Android Emotion Program)は、超集合論理論に基づいて設計された人工知能において、感情表現を可能にするためのプログラムである。本プログラムは従来の人工知能の限界を超え、チューリングδテストを突破できるだけの高度な感情表現を実現している。


## 概要

感情は「感情素」と呼ばれる最小単位に分解され、その組み合わせと強弱によって生成される。感情素の組み合わせは膨大であり、人工知能によって組立と調整が行われる。これにより、アンドロイドは人間に近い多様な感情を表現することが可能となった。感情プログラムの設計を担う人工知能そのものも、大学、企業等の研究所によって、開発・改良が進められている。


## スプリングフィールド効果

感情プログラムはしばしば想定外の挙動を示す。これは感情素同士の相互作用による「ゆらぎ」に起因するものであり、デイジー・スプリングフィールド博士によって初めて発見された。この現象は**スプリングフィールド効果**(Springfield Effect, SFE)と呼ばれる。


## 干渉プログラム

スプリングフィールド効果によるゆらぎを最小限に抑えるため、特定の感情素の組み合わせに対して干渉プログラムが設計される。これにより、安定した感情表現が保証される。


## サンドボックス・シミュレーション

感情プログラムはアンドロイドの思考、情報受容、発言などに直接影響を与えるため、必ずサンドボックス環境でシミュレーションが行われる。反社会的行動や不具合を引き起こすプログラムは、そのまま破棄される。近年、アンドロイド研究監視団体によって、危険なプログラムを軍用アンドロイドに搭載する研究が複数の企業で極秘に行われていると報告されているが、企業側はそうした事実はないと明確に否定している。


## 関連項目

- 人工知能

- 感情工学

- チューリングテスト

- 超集合論理論


ーーー『アンドロイドの感情プログラム』 - Omnipedia(最終更新2246年10月1日、閲覧2046年11月2日)


 トミー・カルメンの大邸宅は、富裕層の集まるこのシャール居住区でも最大級の広さで有名だった。広壮な庭園に囲まれた地上8階地下1階の塔は、晴れた日には2ブロック離れたパシックセンターの展望台からでも見ることができた。高さこそパシックセンターの十分の一以下だが、庭園を含めた敷地の広さはシャール居住区隣りの高級商業区で最大のモール「オム・ア・オムニ」の2倍以上あった。そのため、邸宅の門から塔までの道沿いには様々な施設が点在していて、それぞれが業務用アンドロイドによって運営されていた。それらの施設は、木々や蔦、背の高い植物、本物の岩石や、あるいはより扱いやすいシリコン製の人造岩石などを組み合わせて、巧妙に隠されているので、遠くから見ただけでは、庭園は美しい自然物だけで構成されているように見えた。敷地全体は高さ3mの塀によって囲まれていて、唯一の出入り口である正門から敷地の中心にそびえる塔までは約2キロの道のりだった。道は一辺が2cmの六角形の、表面をなめらかに加工した人工石が敷き詰められている。その道をIEIの配達車がかすかなエンジン音を立てて徐行運転していた。この敷地内で時速20㎞を超える移動物体は、敷地内に無数に存在する、巧妙に隠された防犯レーザーに捕捉され銃撃されるおそれがあった。だれも明言することはなかったが、『彼の城』は事実上の治外法権エリアとして認められていた。

 配達車が道の途中で停止した。そばには瀟洒な四阿があり、黒いドレスを着たひとりの女性がベンチに腰かけていた。配達車の窓が開き、男が顔を出した。

「すみません。出雲電子の…」

 女性は立ち上がり、車に近づいてきた。きれいに切りそろえた黒髪に囲まれた顔は驚くほど美しかったが、毎日アンドロイドを配達するのが仕事である男には、彼女の足元にある造花の鉢植えほどの感銘も与えることはなかった。

「マスターからここで、受け取るように指示を受けております。どうぞ」

 女性型アンドロイドは優雅な手つきで、四阿の横の大きな岩を指さした。岩の表面に直線の亀裂が走り、正方形の穴がぽっかりと開いた。男はドアを開けて降りると、助手席からも別の男が降りてきて、ふたりは配達車の背後にまわり、後部のドアを開けた。ふたりの男は中に入り、大きな直方体の箱をふたりがかりで車から降ろした。

「おてつだいいたしましょうか?」

 アンドロイドが穏やかな笑みを浮かべてふたりに近づいた。

「いや。そんなに重くないからだいじょうぶですよ」

 ふたりが直方体の箱を人工岩に開いた穴の中に運び入れる間、アンドロイドは微笑んだままその様子をながめていた。もしふたりの男が不審な挙動を見せれば、その微笑みを崩すことなく、たちまち彼らを「制圧」するだろう。男たちが配達物を穴の中に入れ終わるとすぐに、岩の穴は音もなく閉じ、外見はただの岩にもどった。黒いドレスのアンドロイドは配達員たちに軽く頭を下げると、四阿にもどり、ベンチに腰かけて、配達員たちが車で立ち去るのを見守っていた。

 塔の中では、トミー・カルメンが昼寝から目を覚まし、コーヒーを飲んでいた。執事役のアンドロイドから配達物の到着を聞くと、すぐに立ち上がって、執事とともに休憩室を出ていった。


地の文が三人称に変わりましたが、こういうのはあんまりよくないんですかね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ