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アンドロイドL01i(仮題)  作者: Alan Ingres


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第3回

生殖管理・抑制法(Reproductive Control and Suppression Act)

   通称RCSA法。世界人口の増加を抑制するために、国際連合が定めた法律。新歴192年制定され、加盟国のうち、81か国が承認、国内施行がされている(282年現在)。日本での名称は「未来保障法(Future Assurance Act)」。この法律に基づき、アンドロイドメーカーによるセクソロイドの研究開発や、一般消費者のセクソロイド購入に対して、補助金が支給されている…


ーーー『一般市民のための国際法入門 第二版』より


「アップデートが完了しました。アンドロイドの起動の準備が…」

 ぼくは読んでいた本をテーブルに放り出し、ディスプレイに向き直った。ディスプレイに「起動中…」の文字が点滅している。しかし、それはすぐに消え、ディスプレイの背後で、ドックからアンドロイドが音もなく上半身を起こしたのがちらりと見えた。ぼくは立ち上がってそれに近寄った。アンドロイドが顔を上げ、ぼくの顔を見上げると、にっこりと微笑んだ。しかしそれ以上動かないのでぼくは一瞬だけパニックになったが、あわててぼくは手をのばした。まずは全身を覆っている保護フィルムを剥がさなくては。アンドロイドの首の後ろのフィルムの表面に赤い三角形があり、そこから剥がすことができるのを、ぼくは知っていた。その印はすぐに見つかり、指でつまんでひっぱると、ほとんど抵抗もなくそれはピリピリとひも状に剥がれていった。すると、アンドロイドが自分でフィルムの裂け目から残りを剥がし始めた。途中ちらりとぼくを見て、口を開いた。

「ドックから出てよろしいでしょうか?」

 そのとき、ぼくは初めてアンドロイドを真正面から見た。ぼくの初めて買ったアンドロイド。アンドロイドはぼくと視線が合うと、はにかんだような笑みを浮かべ、かすかにうなずいた。それから、髪をまとめていた保護フィルムをするりと剥ぎ取り、頭を振った。プラチナブロンドの髪がふわりと舞い、甘い香りが周囲に漂った。

「はじめまして、マスター」

 それはセットアップのときにすでに聞いた声だったのだが、こうして目の前の少女の薄い唇の間から聞こえてくると、まったく別の声にしか思えなかった。あるいはそれは当然だったのかもしれない。最初のときとは違い、今はアンドロイドに設定されている感情プログラムによって制御された音声なのだから。

「私の名前をつけてください、マスター」

 アンドロイドはぼくの目をまっすぐに見ながら、設定がまだ済んでいないことをぼくに思い出させた。ぼくはもうずっと前から決めていたので、即座に答えることができた。

「ディアナ。君の名前はディアナだ。」

「ディ・ア・ナ…」

 アンドロイドの唇がわずかに開き、白い歯とピンクの舌が動くのが見えた。アンドロイドは一音節ずつ確認するように、自分の名前を発音した。

「ありがとうございます。すてきな名前ですね」

 ディアナは、いかにもアンドロイドが言いそうなことを言ったが、ぼくは彼女にキスしたいという欲望を抑えることだけで頭がいっぱいだった。ぼくは彼女の唇からむりやり目を離した。ぼくの目は唇から上に移動して、小さく端正な鼻を通り過ぎ、ディアナの目に行きついた。かすかに灰色がかった青色の瞳。アンドロイドの瞳の眼紋は、その個体のシリアルナンバーに対応していて、瞳の色は最初のオプションで決めたらその後で変更することはできない。だから、ぼくもディアナの瞳の色を決めるのに何週間もかかったが、こうして今目の前で見ると、ぼくの判断は正しかったと確信できた。ぼくは椅子から立ち上がると、ディアナに手を差し伸べた。ディアナは微笑みを浮かべたまま、完璧な間合いでわずかなためらいを見せた後、ぼくの手をとって立ち上がった。

「今からルームツアーに出発だ、ディアナ」

 ぼくの言葉を聞くと、ディアナはうれしそうな笑顔を見せてから、そっとぼくの腕に腕をからませた。


別にエロくするつもりはないけど、例えば村上春樹くらいの感じだとどうしたらいいんですかね。

まあ、怒られたら考えますか。

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