『小説家になろう』は、本当に不公平ですか?
いや、違う(反語)
皆さんお久しぶりです。エッセイ大好き!鶴舞麟太郎です。
最近は、仕事して、子どもの世話して、『里見異聞録』書いて、『エッセイコレクション』書いてで、いっぱいいっぱいなこともあって、なかなか短編エッセイの執筆は出来なかったんです。
でもね、最近ちょっと……。 いや! だいぶ気になったことがありまして。
少し前に、「『小説家になろう』は全ての作家に公平であれ!」といった趣旨のエッセイが投稿されていましたが、御存知でしょうか? 当該作品は、ジャンル別日間ランキングで1位になっておりました。もしかしたら、日間総合ランキングにも顔を出していたかもしれません。もしそうだったとすれば、過疎っているエッセイジャンルの期待の星として、エッセイ好きの私としては、ぜひとも推したいところでした。
定期的に新着欄を巡回している私が見つけた段階で、既に3桁評価が付いていましたので、期待しながら開いたのですが……。
まず、初っ端の「『小説家になろう』は全ての作家に公平であれ!」って話で、くじけてしまいました。だって、私、今の『小説家になろう』ってかなり公平性が担保されてると思うんですよ。
ちなみに「過去に運営さんが、作家(作品)に公平じゃない時期があった」って意見なら、私も同意できました。
何の話かと言いますと、以前、数年間にわたって『異世界転移・転生』がランキング上で隔離されてたじゃないですか。アレは明らかに、『異世界転移・転生』を書く作家さんへの差別でしたよね? でも、それなりに効果はあって、その数年間があったお陰で、猫も杓子も『異世界転移・転生』だったランキングが大きく変わったとは思います。……まあ、その結果として『異世界恋愛』(と、その派生作品)一強の、今のランキングが誕生しちゃったわけですけどね(笑)
※そう言えば、今も二次創作は隔離(?)されてましたね。
ですから、私は、「『小説家になろう』(の運営主体)が不公平である!」って主張には全く同意できませんでした。
もし、現状を問題視する場合、運営さんに向かって主張すべきは、「今の『小説家になろう』のランキングは公平すぎて、異世界恋愛以外に光が当たらない! サイトの多様性を維持するため、今度は『異世界恋愛』を日間総合ランキングから隔離しろ!」とかじゃないかなと。
そんなわけで、私、当該エッセイについては、色々思うところがあるんです。その中でも特に引っかかったのが「そもそもの『公平』の定義がどうなんだ?」って点でした。
だって、『小説家になろう』の現状を考えると、投稿の機会、新着欄に乗る機会、等、全ての投稿者に対し、運営さんからは同じ条件が提供されていませんか?
ってことは、『機会の公平』は達成されてるじゃないですか。
まあ、『すべてのジャンルが平等に評価される』って意味での、『結果の公平』は達成されていませんよ? でも『全ジャンルが同じくらい人気になる』ってこと、あり得ます?
私にも経験がありますが、自分が「面白い!」と、感動した小説なのに誰も反応を示さない。レビューを書いたり、作品紹介エッセイを書いて紹介したりしても、全く鳴かず飛ばず。逆に、何が面白いのか全く理解できなかったり、粗だらけだと思ったりした作品がランキングを駆け上がっていき、数日後にはタイトルやあらすじに『書籍化決定!』の文字が踊っている……。
こんな感じで、人には好みがあるわけで、自分が面白いと思っても、他人が同じように思ってくれるって保証なんてどこにもないんです。
あ、今、書いてて『小説家になろう』にも、明らかに不公平な人たちがいることに気付きました。
Q:不公平な集団とは誰のことか?
A:読者
読者は自由です。『推し活』などと宣って、自分の好みの作家の作品ばかり評価して、新人作家や、知らないジャンルの作家の作品には見向きもしません。なんたる不公平!!
で、こんなことを言っている私も不公平です。実は、新着の短編エッセイ作品だけは全部読んで、他の新着作品には見向きもしませんし、明らかにエッセイだけ評価基準を緩めてもいます。
これらは明らかに不公平な行動ですよね?
でも、これ、他人が責めていい内容ですか?
「自分の好みと違っても公平に(平等に?)評価しろ!」とか言う方がどう考えてもおかしいですよね?
また、ネトコン及び、とある出版社(※注)のコンテストに関する批判も、大いに引っかかった点です。
こちらについて、私は「出版社の主催するコンテストって、何のために行ってるのか考えた方がいいのでは?」と思いました。
あ、ネトコンは、『小説家になろう』が主催に名を連ねてますが、これも出版社の主催するコンテストと何ら変わりはありません。だって、実際に賞金を出してるのは『小説家になろう』の運営さんじゃなく、タイアップしてる出版社ですよね?
で、「なんで『テンプレ作品』ばっかり受賞させるの?」って問への答ですが、「そっちの方が売れそうだから」です。
出版社がしてるのはボランティアではなく、ビジネスです。利益を上げるためにはそれが当然でしょう? そして、『ランキング上位を占める“テンプレ作品”』には、『実際に読まれている』という、本が売れるための有力な根拠が存在しています。
一作者としては、「根拠なんて無くてもいいから俺の作品で勝負してくれ~!!」と言いたくなります。でも、出版社の社員の立場になって考えてください。ランキング上位の読まれてる作品を捨てて、野の物とも山の物とも知れない埋もれた無名作品を推す。さらにそれを上司や経営陣に納得させる必要もあるわけです。そのルートで入賞した作品も無いわけじゃありません。でも、このルートって、相当ハードルが高いですよね? だって、売れる根拠を具体的に示せないじゃないですか!
それを全部(もしくは過半数以上)の作品でやるコンテスト。利益度外視で出来る特殊な事情でも存在しない限り、上司から絶対に止められるでしょう。
ちなみに、今回、名指しで槍玉に挙げられていた某コンテストですが、過去の受賞作を並べてみると、ホラーとか歴史とか、比較的テンプレから外れたような作品でも受賞させてることが分かります(※奨励賞とかですが)。また、続刊が出る率も比較的高い(ように感じる)ので、私は以前から、他社のそれと比較したら、よっぽど『公平』なコンテストであると思っていました。
そして、コンテストを考える際には、主催するレーベルの持つイメージも、何気に重要になってきます。
下記は、全てネット小説出身の作品です。
『君の膵臓をたべたい』双〇社
『余命3000文字』小〇館
『近畿地方のある場所について』KAD〇KAWA
(※『近畿地方の~』のみ『カク〇ム』、後の2作は『小説家になろう』に投稿された作品)
さて、果たして『君の膵臓をたべたい』が『モン〇ター文庫』で、『余命3000文字』が『ガ〇ガ文庫』で、『近畿地方のある場所について』が『ス〇ーカー文庫』で発売されていたら? これほどまでに売れたと思いますか?
※『近畿地方のある場所について』は、編集者の正気が疑われて、逆に怖さを助長するような気はしますが()
『小説家になろう』内で、企業とタイアップしているコンテストは、ほぼ全て(悉く?)が、ラノベ系レーベル関連です。ですから、ラノベ向けでない作品は、最初からほぼ入賞の目は無い。つまり『タイアップ中のコンテスト入賞 → 書籍化』って流れは、期待しない方がいいってことになります。だって、企業の戦略に合ってないんですもん。
『偶然、編集者の目にとまり書籍化』なんてシンデレラストーリーも無いわけじゃ無いです。でも、そんな可能性は極小でしょう。『小説家になろう』にある、ラノベ向きではない作品を書籍化するためには、編集部に『持ち込み』をするとか、雑誌等のコンテストに応募するとか、自分から動かない限り厳しいと思いますよ。少なくとも現状ではね。
さて、当該エッセイの主張は、私には概ね同意できかねるものでしたが、一つ、大いに同意したい内容もありました。それは、作者や読者への訴えが行われていた点です。
何らかの訴えに賛同された方が、集団となって何らかの取組を行うことは素晴らしいことだと思います。そのような活動は私も心から応援いたします。
過去のエッセイで何度目か書きましたが、『小説家になろう』を変えるには、作者や読者自身が動くしかありません。1人1人の力は小さくとも、運動を続けることで賛同者を増し、徐々に影響力を高めていく。それが大きな流れになれば、必ず『小説家になろう』も変わるはずです。
今の時代、自分の力で出来ることの範囲もかなり広がってきています。実際、自分で新たな小説投稿サイトを立ち上げた方も複数名存じ上げていますし、クラウドファンディングとかで資金を募って、新たなコンテストを実施することだって可能なはずです。
そこまでは出来なかったとしても、評価をしたり、感想を書いたり、埋もれた作品をスコップをしたり、レビューを書いたり、自主企画を実施したり、と、個人でも出来ることはたくさんあります。
最初にも書きましたが、私はエッセイが大好きです。ですから、自ら72本(※連載5、短編67)エッセイを書いてます。また、レビューも20本以上書いてますし、作品紹介エッセイでは、これまで150本以上の作品を紹介してきました。ブクマは隠してるんですが、800本以上(※ブクマ総数の約半分)しています。評価は全部で14,000件以上してたんで、最早数えられません。でも読書の傾向を考えるに、エッセイだけで多分8,000件以上(※下手したら10,000件近く)はしてるんじゃないでしょうか?
何でこんな面倒くさいことをしているのかと申しますと、『他者に何かを求める』系統の活動をする場合、まず自分でしてみることが説得力を上げるポイントだと考えたからです(※実際、エッセイで紹介したことで、いきなり日間総合ランキングに打ち上がった作品もあります)。
と、いうことで、件のエッセイの著者の方の今後の活動に御期待申し上げ、本エッセイを〆たいと思います。
2025.10.9追記
どうやら件の著者様、昨日強制退会処分を受けてしまったようで、作品もなくなってしまいました。
主張内容はともかく、バイタリティに溢れる方でしたので、当方としては残念でなりません。
なお、彼(彼女?)の主張を詳しく知りたいと仰る方がいらっしゃいましたら、御連絡ください。
※注1:名指ししていいのか疑問があるので、ここには具体名は書きません。
では、いつものヤツを。
本作に対して言いたいことがある方! 200字以上の感想を書くんだったら、その思いをエッセイにぶつけてはみませんか? どうせ感想欄にいっぱい書いたって、ほとんど誰も読んでくれません。あなたの素晴らしい主張をたくさんの方に読んでもらおうではありませんか!!
なお、私、新着短編エッセイに関しては全て目を通しておりますので、書いていただければ必ず読みに行きます。
反論・擁護エッセイお待ちしてます!