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僕の異世界転生記~長い物には巻かれよう~  作者: 榛名のの(春夏冬)
1/1

プロローグ

 体が重い。高い熱が大量の汗をかかせる。


「ブライト!ブライト!お願い!薬を飲んで!」


「・・・かあさん・・・もう、いいんだ。くすりを、うけとっては、ダメだよ?」


これは仕組まれた罠。

 母さんがあんまりにも綺麗だから、手に入れようとする悪党貴族達が僕の食事に毒を盛って、解毒剤を恩着せがましく母さんの身柄と引き換えに渡す。

 母さん、愛してくれてありがとう。


「ブライト!いやぁあああ!」


こうして僕は11回目の不慮の死を遂げた。

 ◆◆◆◆


前世の僕が毒殺されてから20年が経った。

 僕は今世では、平民では無く貴族の一員として、産まれたがやはり3才5カ月にして、ピンチを迎えた。

 今世での産みの母、マリアベラ・レインフォードが今朝、毒殺されて亡くなったのだ。

 乳母に育てられた僕にはコレと言って感傷は無いが、早くも夕方には、僕の部屋は蔵になった。

第2夫人のヨークシャー夫人が、高笑いしながら、こう言った。


「今日からお前はここで暮らすのよ!一生ね!」


 重い扉に鍵を掛けて意気揚々と去って行くのをポカンとして見送った。


「ぼくはさんなんなのに、なぜここまでするの?」


ぐうぅ~~


「おなかへった」


前世での、貧乏生活の為食い意地は張ってないが、一日ご飯を抜かれたらそれなりに厳しいものがある。


「ライト」


蔵の中に食べ物が無いかと魔法の灯りをともして探検するが、無いに決まっている。

 その時、蔵の扉が開いた。


「あ、いたよ!ジョルジュ兄様!」


「ケーシー、お手柄だ!アスコットおいで。兄様がかくまってあげる」


「たすかったぁ~~。ありがと、ジョルジュにいさま、ケーシーにいさま。おなかへった」


長男のジョルジュ兄様(18)と次男のケーシー兄様(15)は、ブラコンで有名だ。

 ヨークシャー夫人は、それも気に入らないのだ。

 だから、見つかったら大変なのに、危険を冒して助けに来てくれた。

そこからはジョルジュ兄様の転移魔法で、隠れ家まで連れて行かれた。

領地の森にある立派なお屋敷には、僕の専属の使用人達が玄関ホールで待ち構えていた。


「アスコット坊ちゃま!大丈夫ですからね!メグ達が坊ちゃまをどこに出しても恥ずかしくないように育てて見せます!」


「ばあや。そんなことしてもほくにはおきゅきんがだせない」


「出世払いでよろしゅうございます!さ、夕飯にしましょう!」


野ウサギの香草焼きは、とても美味しかったが、僕が全部食べてしまうと、じいやとばあやの分が無い。満腹には程遠かったが、何も食べられないよりはいい。


「おいしかったよ。さげてくれる?」


「・・・アスコット坊ちゃま、もう一口食べて下さいませ!」


「ムリ。おなかいっぱい。あすはかりにいくから、じいや、ついてきて」


「はい、かしこまりました。アスコット坊ちゃまお風呂を用意してございます。寝る前にどうぞ」


どうぞしてくれたので、野趣溢れる露天風呂にじいやと一緒に入り体を岩塩で洗う。

三つの月の光に照らされてじいやの古傷が見えた。


「じいやのふるきず、かっちょいい!ぼくにけんじゅつおしえて!」


「教えるのは、よいですが、泣いても許してあげられませんぞ?」


「うん、おねがいします!おししょうさま」


お風呂を出たら、今世では初めて寝るワラのベッド、布団を用意出来なかったらしい。


「わあ!ワラのベッドだ!こういうのあこがれてたんだよね!メグはやく!いっしょにねようよ!」


わざとテンション上げてメグを誘うとじいやもぼくをはさむようにして眠った。

 二人とも慣れない生活に疲れている。


 僕が二人を支えなくっちゃ!


水汲み、掃除、料理、剣術、勉強、魔法。やれることは何でもやった。

 金策にメグが刺繍したレースのハンカチを1ヶ月に1回街へ売りに行く。

街は、遠いがジョルジュ兄様の転移で、すぐに往き来できる。

 買い物に行った日は、お昼ご飯は、ハンバーグにする。ジョルジュ兄様がお好きなのだ。買い物の都合を付けてるのも、ハンバーグの為、作ってあげなきゃ!でしょう?

 しかしながら、肉をあまり、用意出来なかった今日は、肉コロッケとクリームコロッケにした。

 ジョルジュ兄様はがっかりしながら、肉コロッケを一口食べて驚嘆している。


 ふふふ、コロッケも捨てた物じゃないでしょう!

 食事を中座してケーシー兄様を転移で、連れて来た。ケーシー兄様は野菜がお好きなのだ。中でもジャガイモ愛は半端ではない。

ジョルジュ兄様がケーシー兄様に食べさせるとケーシー兄様は、コロッケのレシピを僕から全財産を出して買った。

 お金を固辞したら、じいやに預けて屋敷に帰ってしまった。

 じいやは僕の体の採寸するとジョルジュ兄様と一緒に昼から、買い物に行った。

 僕は森の奥へ行きハンバーグの材料を狩って帰って来た。お料理魔法でミンチにした肉をいつも通り煮込みハンバーグにして、メグと遅い昼食を楽しんだ。

屋敷を囲む結界に不具合が生じたらしい。

 屋敷が揺れている。

用心深く結界を壊そうとしてる魔獣の後ろに回りオーク2体を確認すると、ウインドスラッシュで首チョンパした。

 解体して臓物といらない部位を穴を掘って焼いて埋めると、戦闘の痕跡さえ残らずまた、日常へと戻った。


じいやとジョルジュ兄様は、ケガはなかったかと、それはそれは心配していた。

 ハンバーガーとカツサンドをジョルジュ兄様に渡して帰らせたら、翌日、父上と料理長とジョルジュ兄様が朝早くから僕を訪ねて来た。

まずは、オークの集落探し。


 昨日じいやとジョルジュ兄様が買ってくれたアングリーアントの皮鎧を装備して気配察知でいつもは行かない森の奥へとオークの住み家へと近づく。

約150体ほどの集落だと解ると父上と料理長が正々堂々と剣を片手に突っ込んで行き、ジョルジュ兄様と僕は二人の討ち洩らしを剣と魔法で処理する簡単なお仕事です。


 ジョルジュ兄様は得意の剣で父上と背中合わせに戦い、僕は料理長と協力しながら、オークジェネラルを5頭倒した。料理長が解体包丁でオークジェネラルを叩いてクラクラさせている間に、僕が足の腱を切りひざまずかせて首チョンパする。


「アスコット坊ちゃま、お上手です!」


レベリング接待のようでいたたまれない。とか思い悩みながら、戦ってたら、とうとう最後の敵、オークキングに4人で襲いかかる。

 ジョルジュ兄様がトドメを刺せばいいのに、またもや接待プレイで僕がトドメをさすはめに。


すねてると、ジョルジュ兄様が僕のステータスを見たいと申し出た。


「アスコット、真面目な話なんだ。レベリングを無理矢理させたのは悪かった。でも、そうしないとアスコットが、今から生きていけないんだ」


泣きじゃくるジョルジュ兄様をなだめる父上。・・・イヤな予感。


父上が、マジックバッグに討伐したオークを入れると僕の隠れ家に行った。


ジョルジュ兄様はずっと泣いてるし、料理長と父上は難しい顔をしている。

 父上が応接間のソファーに座り僕を手招く。

テーブルを挟んで座ったら話が始まった。


「まず、アスコット、お前に詫びなければならない。すまん!ヨークシャーの謀を止められなかった!1週間、目を離したら西の辺境伯家との養子縁組が決まっていた」


「それは、とりかえしがつかないだんかいなんですか?」


「いやらしいことに、去年の凶作の支援をする契約まで、結んでいて・・・断るにはデメリットしかないのだ。このとおりだ、エメルシー辺境伯家へ、行ってくれ!頼む!」


「わかりました。おまかせください、ちちうえ」


父上と料理長とジョルジュ兄様は、僕を抱きしめて別れを惜しんでいた。


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