地味な幼馴染が“中の人”って、誰が信じる?「耳を当てたら、終わった」
この物語には、
・地味で感情の薄い幼馴染
・でも実はセクシー系Vチューバーな“裏の顔”
・そして、それを知ってしまった俺の“理性崩壊記録”
……が含まれます。
ギャップ萌え、
理性がバグる青春ラブコメ、
ちょっと刺激的な“はじまり”を──
どうぞ、ごゆっくりお楽しみください。
──喘ぎ声が、聞こえた。
夏の昼下がり。
俺は今、幼馴染の部屋で……壁に耳を当てている。
これってヤバいよな。
自分でもそう思う。
でも、聞こえちまったんだ。
あの声が──
「っ……あ、んっ……そこ、ダメ……っ♡」
いやいやいやいや。
その声、絶対おかしいだろ!?
俺、毎晩聞いてるからわかるんだよ。
あれ、“ネム猫ちゅーぶ。”の声だ。
猫耳Vチューバー。甘えたボイス。登録者10万人。
夜に聴いたら絶対寝られない、俺の理性の天敵。
……で、なんでその声が、幼馴染の部屋の隣から聞こえるんだよ。
朝比奈 澪。
黒髪ロングの地味メガネ。クラスでも無口。
“女”を捨てた女子代表。
そして……俺の幼馴染。
今、その彼女の部屋の隣から、
俺の“推し”の喘ぎボイスが流れている。
……もう、何も信じられねぇ。
俺の理性、今、完全にバグった。
そんなバカな。
俺の幼馴染が……“ネム猫ちゅーぶ。”なわけない。
いや、ないって。絶対に。
確かに澪の声、少しだけ似てる。
でも──
「……っ、だ、め……そこは……にゃん♡」
──似てるとかじゃねぇ。完全一致じゃねぇか。
背筋がゾワっとした。
汗が首筋を流れる。
理性が、「やめろ」って喚いてるのに──
気づいたら、俺の耳は壁にくっついてた。
終わってる。人として終わってる。
でも、仕方ないだろ……あれは、俺の推しの声なんだぞ?
時間を巻き戻そう。
高校入学2日目。
俺、相原悠真は──人生初の彼女ができた。
相手は桐島ひなた。
明るくて、可愛くて、いつも笑ってて……
まさに、学年のマドンナ。
入学式の日に席が隣になって、気づけばLINE交換してて、
帰り際にいきなり「私、悠真くんと付き合いたいな〜って思ってた♡」とか言われて──
……なんか、よくわからないうちに付き合ってた。
世の男たちがブーイングするのは分かってる。
でも本当に、俺が一番ビビってんだよ。
で、そんな俺の隣の家に住んでるのが──
朝比奈 澪。
地味メガネ。黒髪ロング。
背は低め。表情はいつも無。
話しかけても「あ、はい」とか「うん」とか、返事が1ビット。
女として見たことなかった。
ていうか、見れなかった。
家族ぐるみで付き合い長いし、姉2人は陽キャ爆弾なのに、
澪だけ時代から取り残されたような“静”の存在。
俺の中では、完全に「空気」だった。
なのに──
今日。
夏休み初日。
宿題を一緒にやろうって誘われて、
久しぶりに澪の家に来たんだ。
リビングにいたのは、マスク姿の次女・芹さん。
風邪ひいてて声が出ないって、メモで指さされたのが2階の部屋。
「澪の部屋、こっちだったな」と思って、階段を登った。
ノック。反応なし。
でもドアがちょっと開いてて、誰もいなかったから、そっと入った。
──そして、隣の部屋から、声が聞こえた。
「にゃん♡……ご主人さま、ちゃんと我慢できてるぅ?」
「ねぇ……今日はどこまでして、いい……?」
……その時点で、俺の理性はギリギリだった。
でも、声だけじゃなかった。
視線を逸らした先、机の上に置かれたパソコンモニター。
映っていたのは──
猫耳カチューシャをつけた女の子。
ゆるふわ巻き髪。肩出しのセクシーニット。
可愛さと色気の暴力。
でも、画面の右下。そこに小さく映った“顔”が──
……澪だった。
一瞬、息が止まった。
なんで、そこにお前がいるんだよ。
なんでそんな顔して、
あんな声出して、
「にゃん♡」とか言ってんだよ。
いや、俺の知ってる澪じゃねぇだろ。
敬語でぼそぼそ喋って、メガネかけて、
「……プリント、出てます」とかしか言わねぇだろ、お前は!
なのに──
「今日は……ご主人さまを、甘やかしてあげるにゃ♡」
──なんだその甘え声。
なんだその笑顔。
誰だよ、こいつ。
それでも、知ってる。俺は、もうわかってる。
これが、朝比奈 澪の“本当の顔”なんだってこと。
この夏。
俺の初恋は──
“女を捨ててた”はずの幼馴染に、ぶっ壊された。
俺の理性は、今もずっと、バグったままだ。
──第1話・完。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
第1話、いかがでしたか?
「地味で空気だった幼馴染が、実は超人気Vチューバー」
そんなギャップに、
思わず理性がバグった男子高校生・悠真の視点でお届けしました。
あなたにも、
「女として意識したことなかった相手が、急にヤバく見えた」
そんな経験……ありませんか?
この作品では、そんな“男心のリアル”と“青春の不安定さ”を、
笑いとキュンで描いていけたらと思っています。
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ぜひ次話も、読みにきてくださいね。