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ココアのような恋物語  作者: 夏輝 陽
プロローグ
2/29

ギョロ目の彼女


 自分の割り当ててある部屋は、奥の左側の部屋…閉まっている扉の対面であった


 つまり奥の右側の部屋には既に宿泊客が寝泊まりしているのだ


 ま、まぁ隣接してるよりはマシかな…なんて


 相当人見知りを拗らせてる男

 天宮 夏向〈あまみや かなた〉はそう思った



 取り敢えず自分の部屋に荷物を置き、夕飯にするにも時間的に早いので、ゆっくり備え付けの風呂を満喫することにした…



 風呂は露天風呂になっており、ここから外の景色が楽しめる


 しかし夕日は綺麗だけど、下は見渡せど緑ミドリ…みどりで埋め尽くされている


 せめて秋の紅葉シーズンに来れば良かったな


 とはいえここの露天風呂、空気は綺麗で湯も心地よい

 今日は風も少しあたって気持ちがいい


 このまま目を瞑り、首を後ろに倒して軽くうたた寝する事にした



 タクシーでの事でちょっとした苦い想いを、一時間程度の風呂で浄化させた夏向


 食事をしに部屋を出た


 食事は、館内の食事処で食べてってと支配人に勧められたので、言われたままに食事処へ向かう


 八つの長方形のテーブルが並べられていて、それぞれに椅子が四つ並べられているけど

決してぎゅうぎゅうに詰められている訳ではなく、歩くスペースも十分といった広めの食事処であった


 自分は入口から一番遠い窓側角の席に腰を下ろした


 和食をメインに蕎麦や寿司、うどん、揚げ物とその他ラーメンや炒飯などがある

 自分はメニュー表にデカデカと、人気ナンバーワンとロゴが貼ってあるざる蕎麦に決め、呼び出しベルを鳴らし注文した


 注文して少しした後

 人の気配が近づき———


 「———あっ、す…すみません」


 「あ、いえいえ…」


 女の子の声に反射的に気にしてないよ風に応えた


 ハイトーンでアニメ調な声で可愛いな…なんて思い顔を見て驚いた…が、顔に出さないようグッと堪える


 黒髪で後ろ髪が肩まで伸びてて斜め三十度にパッツン、細身で———ギョロ目の四白眼の少女がこちらを見据えていた


 困り眉で見ている…がしかし、目の圧がハンパない

自然と目を逸らしてしまった


 …流石に失礼だと気付き視線を元に戻す

 既に女の子は後ろを向いて辺りをきょろきょろ見渡している


 座りたい席を見つけたのかそこへ向かう


 少し罪悪感を感じた夏向はその子が腰を下ろした直後、その子のとこへ向かった


 「えっ、なんですか…?」


 「あの…」


 なんて言おうか少しの間悩み


 「いつも俺のいたとこで、食べてたのかな…?」


 「あっ…は、はいっ」


 「席、交換してもいいよ?…拘り?とかないから…」


 「いえ!私も、拘りとかではありませんから…」


 大丈夫です…消え入るようにそう続いた


 ならいっかと女の子の席を後にしようと背を向けたが、目を逸らした事に対して謝ろうと再び彼女を見て


 「さっきは目を逸らして、ごめん…」


 「えっ…」


 特に気にしてはいなかったようだ


 杞憂だったかな…いつもあれこれ心配するなと両親に言われるけど、どうしても気になってしまう


 タクシーの件もぶり返しちゃうし、やっぱり難しい


 「あの、嬉しいですよ…そう言ってくれて…」


 「嬉しい…?」


 「い、今まで謝ってくれた人なんていなかったから…って、すみません、貴方は悪くないのに…ご、ごめんなさい」


 「いや、そちらも謝らなくていいから…」


 お互い話し下手なのをお互いが理解しながらも、お互い俯いて沈黙が十秒ほど続く


 「あの———」「私———」


 同時に声を発した


 「ふっ、ふふ…」


 「?」


 「あ、す、すみません…なんだか、おかしくて…」


 女の子は笑いを堪えている


 「俺、天宮 夏向って言います」


 笑ってる姿を見て安心したのか、名乗ってしまった


 「あ、はい…私は、黒瀬 唯希〈くろせ ゆき〉って言います…」


 「く、黒瀬さんだね」


 「よろしくお願いします…かなたさん…あっ、あまみやさん!」


 「いや、どっちでも構わないよ?」


 「あ、じゃあ、かなたさんで…」


 「あ、俺も、唯希さんって呼ぼうかな…?」


 「あぇ…?…じゃ、そ、それで」



 名前呼びしてしまった唯希さんに、変に合わせた夏向さんの物語





 館内の間取りは変更する箇所が出るかも知れないのでアバウトに書きましたが現時点で、二階は西にバルコニーがありその他は宿泊部屋がある感じです


階段は南西角にあり、十五階段と踊り場にまた十五階段あります


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