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第97話 バック・トゥ・ザ・メトロポリス

 グランシステリア王国の遺跡の力で発生した光に包まれたハリーとトントはアリアに別れを告げて、閃光と共に再び別の世界へと飛ばされた。閃光からハリーが目を開けると、目の前に巨大な機械に埋め尽くされた建物の中らしき場所が見えた。


 巨大な機械が動きを止めているのか、建物の中は不気味なまでに静まり返っている。対照的に外からだろうか、銃声やら爆音、更に悲鳴らしき声が聞こえてきた。まるで遠くで戦争しているかのような錯覚に陥る。


 ハリーとトントはゆっくりと辺りを見回して、此処が何処なのかを確認する。ハリーは建物の端にある窓辺に向かい、外の景色を眺めた。

 そこには無機質ながらも天を貫くように悠然と立ち並ぶ高層ビル群と眼下に武器を持った人間たちが激しくぶつかり合っているのが見えた。


 外の景色を見たハリーはトントと顔を見合わせて、思わず微笑む。



「やっ、た…やったぞ、トント!帰ってきたんだ!俺たちはメトロポリスに…!!」


(本当に良かった…大成功だな、ハリー!!)



 ハリーとトントは抱き合って無事に帰還できたことを喜ぶ。が、それも束の間、ハリーはすぐに動きを止めている巨大な機械に目を向けた。



「…さて、と。そろそろコイツをどうにかしないとな」


(そうだな…時空転移装置がある限り、私たちは安心して暮らせないもんな)


「これ以上奴の思い通りにはさせん」



 ハリーたちは巨大な機械のど真ん中に設置されている操作パネルらしきものに向かう。と、その時、トントが非常階段の方に目を向けた。



「トント…?」


(ハリー…下から誰か来る!)


「何!?くっ…とりあえず隠れよう!」



 ハリーとトントは巨大な装置の影に身を隠した。しばらく待っているとトントの言う通り、階段から息を荒くして登ってくる音が聞こえてきた。ハリーは階段の方に視線を向ける。


 階段から上がってきたのはスキンヘッドに黒いローブに身を包んだ壮年の男だった。余程焦っているのか、一目散に装置の操作パネルへと駆け寄る。そして何かをブツブツ言いながらパネルをいじり出した。

 男の姿を見たハリーが驚愕する。



「や、奴は…ヘンリー・ダマスカス…?」


(えっ!?どうして此処に…?)


「分からん…が、何やってるんだ?」



 ハリーとトントはヘンリーに気づかれぬよう、もう少し操作パネルへと近づく。するとヘンリーの独り言が聞こえてきた。



「…やはり座標がずれている…誰かがいじった痕跡があるな…通りで途中で球体が破裂した訳だ」



 ヘンリーは背後に隠れているハリーたちに気づいていないのか、一人でブツブツ言っている。



「…これでいい。後は発動のタイミングと座標の範囲、そして脱出時間を計算して…と。メトロポリスそのものを消すのは忍びないが、私の計画を邪魔するのであればやむを得まい」



 ヘンリーの独り言を聞いたハリーが生唾を飲み込む。トントが心配そうにハリーを見つめた。トントの視線に気づいたハリーがトントの頭を撫でた。



「…どうやら、奴と決着を付ける時が来たらしい」


(ハリー…)


「奴の今の話を聞く限り、このまま奴を見逃すと取り返しの付かない事態になりそうだ。とにかくチャンスは今だ。今やるしかない」


(分かってる…此処に帰ってきたのはその為だもんな)


「…行くぞ、トント」



 ハリーは足元の短筒を取り出すと、ゆっくり装置の影から姿を表す。そして操作パネルの設定に夢中になっているヘンリーに銃口を向けた。



「ダマスカス執政議長!!」



 ハリーの呼び掛けに驚いたヘンリーが慌てて後ろを振り返る。そしてハリーの顔を見たヘンリーの表情が大きく歪んだ。



「ジュ、ジュニア…!?貴様…何故此処にいる…!!?」


「あんたのせいで俺たちは色々苦労したんだよ。此処で会ったが百年目だ。決着をつけさせてもらうぜ!!ダマスカス執政議長(クソオヤジ)!!!」



 ハリーは短筒の引き金に指を掛けて叫んだ。

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