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第92話 メトロポリスの最も長い一日 その1

時系列は第71話直後へ遡る

 メトロポリス執政院の上空に突如現れた時空転移装置の光の球体はハリーたちを飲み込むと、巨大な閃光を放って破裂した。その様子を執政院の敷地の外へ避難したエリックとガーランドたちマフィア連合軍が呆然と眺めていた。



「皆無事か!?」


「ええ…何とか避難できたようです」


「とりあえずは良かった…が、あれは一体何だったのだ?」


「…分かりません。しかし、執政院側の連中もあれが何なのか把握できていなかったみたいです」


「…新手の兵器でないことを祈りたいが、ひとまず態勢を立て直して再び執政院へ進軍する!全員準備はいいか?」


「ハッ!!!」


 エリックの呼び掛けに部下たちが一斉に声を上げる。エリックはガーランドに目配せするとガーランドもコクリと頷いた。



「連中も混乱しているようですからね。攻め込むなら今でしょう」


「良し。皆のもの、続け!!!」



 エリックの号令と共にマフィア連合軍が再び執政院の敷地へとなだれ込む。対して執政院側の警備隊や影たちの間には未だ動揺が続いているのか、迎撃の統率が執れておらず完全に後手に回っていた。この隙を逃すまいとエリックとガーランドは部下たちに一斉砲撃を命じた。


 マフィア連合軍による自動小銃とショットガンの乱れ撃ちで警備隊並びに影たちが一斉に蜂の巣と化していった。更に追撃を掛けるが如く、マフィア連合軍の装甲車の一団が突っ込んでいく。だが『処置』を施されていた影たちは銃弾を受けながらも態勢を立て直すと、鉤爪を出してマフィアたちに反撃を開始した。警備隊も影たちに続くようにマフィアたちに砲撃を始める。


「エリック様!奴等、反撃を開始してきました!」


「構わん!!突っ込め!」



 執政院前の敷地は戦場と化し、警備隊や影たち、そしてマフィアの構成員たちが入り乱れる地獄絵図となった。エリックたちの元にも影が襲い掛かってきたが、エリックも自動小銃で応戦し、トドメにガーランドが火炎放射器で影を火だるまにした。



「助かった、ガーランド」


「いえいえ、礼には及びません」


「よし、そろそろ執政院ビルの中に突入するぞ!」



 マフィア連合軍が優勢のまま、戦いは執政院の敷地から執政院のビルの中へと舞台を移していく。と正面玄関口に連合軍が進軍したタイミングで一人の男が大階段の前に現れた。男は前髪を一房垂らした刈り上げにビシッとした紺色のダブルのスーツに身を包んでいる。更に顔には弾痕らしき傷が目立っており、その眼は真っ赤に不気味な光を放っていた。



「待っていたぞ、エリック。それにガーランド」



 男はニヤリと笑い、エリックらに語り掛けた。男の姿を見たエリックとガーランドが驚愕して固まる。



「ま、ま、まさか…ケヴィン…!?あれだけの傷を負って生きていたと言うのか!?」


「バカな…リバーサイドパークで蜂の巣にしたはず…アンブロアの『処置』の成果が此処までとは…」



 ケヴィンの生存を目の当たりにして二人は言葉を失った。二人の動揺はマフィア連合軍にも影響が及び、一時的に動きが止まる。



「ククク…俺が生きているのが不思議で仕方ないみたいだな」


「ぐっ…幻覚や亡霊…ではない。本物のようだな」


「当然だ。そう簡単に俺がくたばってたまるか。あの時の礼をたっぷりさせてもらうぜ。覚悟しろ!!」



 ケヴィンはそう叫ぶと全身に力を込めた。すると体中の筋肉がはち切れんばかりに膨張し、スーツが内側からビリビリに破れた。体の色は浅黒くなり、髪も逆立っている。もはや人間とは思えないほどの異形の姿にケヴィンは変貌した。



「さあ、お遊びは此処までだ!!!今度こそ貴様らの息の根を止めてくれる!!」



 動揺するマフィアの連合軍に向けてケヴィンが戦闘態勢でゆっくりと近づいてきた。いち早く我に返ったエリックが慌てて部下たちに銃撃の指示を出した。



「ケヴィン…わが義兄弟よ。今こそ決着を付ける!もう一度地獄へ送り返す!!」

残り数話で完結の予定です。

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