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第87話 危険な賭け

 アリア率いるレジスタンスらは内部の協力者の手引きを得て、正門の横から延びている蒸気機関車の線路沿いから夜の闇に紛れて城下町へ侵入することになった。

 衛兵たちが見張りを交代するタイミングで線路をつたい、街中へと入っていく。途中、衛兵の一人に賄賂を渡し見逃してもらいながら、協力者のいる拠点へと到着した。



「…アリア様。ヘイトフルは街の中心部に処刑用の首吊り台を設置して、民衆に見せつけるつもりです。本日の正午、ヘイトフル自らがその場に現れるようです」


「随分と余裕ぶっているのね」


「おそらく…いえ、間違いなく罠でしょう。しかし、我々はあくまでも貴女様に付いていく所存、我々は一蓮托生です」


「ありがとう…本当に感謝するわ」



 アリアと協力者たちが影武者の救出について話し合っている。その脇でハリーとトントはライフルをいじりながら、ぼんやり考えていた。



(…ハリー、うまく行くと思うか?)


「…いいや、思わん。残念だが多分失敗する」


(そうだよな…私も嫌な予感しかしない)


「…だから少し考えた。もしかしたらと思っていることがある」


(?どういうことだ?)



 トントが首を傾げていると、ハリーはアリアの横へ行った。アリアは驚いてハリーを見た。



「どうしたの?」


「アリア、一つ確認させてくれ。フルヘイトとかいう奴とケヴィン、いやジョーカーは何かしら繋がりのようなものはあったか?」


「うーん…確かに変に親密なところはあったけど。やたらとジョーカーの出自に関して根掘り葉掘り聞いていた気がしたわ」


「…なるほど。こいつは使えるかもな」


「…?そんなこと聞いてどうしたの?」


「いや、此方の話だ。気にしないでくれ」



 そういうとハリーはトントの元へ戻った。トントが心配そうな表情でハリーを見る。するとハリーが小声で話し掛けた。



(大丈夫か?)


「…トント、俺が今から言うことをよく聞いてくれ。俺はこれからフルヘイトに会いに行く」


(は?何をいってるんだ、ハリー)


「まあ俺に考えがあるんだ。トント、こいつを見てくれ」



 ハリーは自分のズボンの右足の足元をたくし上げた。するとそこに小さな棒状のものが括り付けられているのが見えた。



(こいつは…?)


「隠し玉って奴だ。パッと見分かりにくいから、簡単なボディチェックもすり抜けられる。というかすり抜けた」


(じゃ…執政院のときも…)


「勿論すり抜けた」



 ハリーらがメトロポリスの執政院に向かう際、念入りにボディチェックを受けた。武器となるリボルバー拳銃は没収され、丸腰の状態でヘンリーと謁見していた。しかし、実際は違っていた。ハリーは隠し玉となる武器を持ち込んでいた。



(まさか…ヘイトフルと刺し違える…気か?)


「どうかな?そこまでは考えてない」



 ハリーははぐらかすようにトントに答えた。どこか飄々としたハリーの態度にトントは心配する。



(もうメトロポリスに戻る気はない、ということか?)


「戻らないとは言わん。まだ()()()()の糞野郎と決着を付けてないからな。マリアの件といい、このまま有耶無耶にするのは気分が悪い。だがな、此処からは俺のやりたいようにやらせてもらう」


(ハリー…)


「トント、心配するな。俺たちはいつだって一緒だ。これからもな」



 ハリーはトントを宥めるように笑った。ハリーはトントの頭を撫でると、懐から手紙を取り出してトントに渡した。



「俺が行ったらアリアに渡してくれ」


(こいつは?)


「俺なりの賭けだ。成功したらグランシステリア王国の件は全て丸く収まるはずだ」


(失敗したら…?)


「俺が死ぬだけだ」



 そういうとハリーはアリアらに見つからないように静かに拠点から出発した。そしてグランシステリア王国の中心部に位置する王宮へと足を向ける。

 王宮はメトロポリスの執政院に近い形をした堅牢な門と、その先にある荘厳な建物から成っていた。門の前には城下町の正門と同じく衛兵が見張っている。ハリーが衛兵たちの前に向かうと衛兵らはハリーに武器を向けて牽制した。



「貴様、此処が何処か分かっているのか?此処はグランシステリア王国の王宮。貴様の下賎の輩が来るような所ではない。直ちに去れ!!」


「…そうはいかない。俺にはこの先にいる()()()()()に用があるんだ」


()()()()()様だ。それなら尚更入れられるか!」


「俺がジョーカーと知り合いだといっても?」



 ハリーから出たジョーカーの名前に衛兵たちは一瞬たじろいだ。ハリーは畳み掛けるように衛兵たちに向けて語り掛ける。



「ジョーカーの名前を出せばフルヘイトに会えるんだろ?ジョーカーから色々土産話を持ってきている。俺がこれから話すことは悪い話じゃないはずだ」



 ハリーは悪巧みするような黒い笑みを浮かべて衛兵たちに迫った。

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