第80話 三匹の会議 その2
「さてこれからお二人は何処へ行くつもりかな?」
アラン・スミシーがハリーとトントに問い掛ける。ハリーたちはまずアリアと合流することを選択した。
「もう一人の仲間の居場所へ連れていって欲しいんだ」
「お安い御用だ。でも…」
(?何かあるのか?)
言葉を濁すアラン・スミシーにハリーたちは首を傾げる。アラン・スミシーはハリーをチラリと見た。
「異世界へと渡る際には光の渦を通らないといけない。そして光の渦はこの世界の遥か上空にある」
「うわっ…またあんなキツイ思いをしないといけないのか」
ハリーは身震いして先程のことを思い返していた。トントも此処に来たときのハリーのやつれ具合を見て、少し青ざめる。そんな二人の様子にMr.ウルヴァリンたちは顔を見合わせた。Mr.ウルヴァリンの方は若干興奮気味である。
「サイクロップス君、聞いたかね!?この世界の遥か上空に異世界へ渡れる門があるそうだよ。うまく行けば我々も異世界に渡れるんじゃないかな?」
「おいおい、落ち着けって。そもそも上空にそんなもんがあるなんて聞いたことないぞ?」
ダニーは冷静にMr.ウルヴァリンに突っ込む。これに対してアラン・スミシーがダニーたちの方に向いた。
「あー…その話についてなんだが、光の渦を渡るには条件がいるんだ」
(「「条件?」」)
ハリーとダニー、トントの声が重なる。アラン・スミシーは空を見上げて、フーッと深呼吸した。
「光の渦は選ばれし者しか受け付けてくれない。仮に迷った飛行機が飛び込んだとしても、ただ通過するだけで簡単に異世界へは行けないんだ」
「そうなのか?」
「うむ。少々難しくいうなら「常識の壁」を越えた者といった方がいいかな」
(常識の壁…)
「この条件を満たす者は中々いない。この世界でいうなら異世界転生者くらいかな」
「チートねぇ…残念ながら今の我々では無理なのか」
「仕方ないだろ。仮に異世界転生者だとしても俺はゴメンだ」
Mr.ウルヴァリンが溜め息を付いた。どうも思い通りに行かなかったらしく、ガッカリしている。一方でダニーは冷めた様子で返した。それらに対してハリーとトントは頭にクエスチョンマークを浮かべた。
「待ってくれ。それならさっき俺が光の渦を通過できたのは何でだ?」
「ハリー君。奇しくも君は「常識の壁」を越えたからだ。巻き込まれたとはいえ、異世界転移者となった。それが光の渦を通過する条件を満たしたんだ」
「…嬉しいやら嬉しくないやら」
「ともかくトント君も光の渦を越える条件を満たしている。今の君らは何の問題もない」
アラン・スミシーはハリーたちに向けて微笑む。
「さ、どうする?君らに覚悟があるのなら私と共に光の渦を渡るとしよう。ま、まだ待ってほしいなら構わないよ。しばらくこの世界を満喫するのも悪くはない」
「おー、そうだね!案内は私に任せてくれ。是非とも諸君に見せたいものが沢山あるんだ!」
「おいおい、Mr.ウルヴァリン。勝手に決めるな!」
元気になったMr.ウルヴァリンが食い気味にアラン・スミシーの前に出る。その影でハリーとトントは困惑しつつも、ある結論に達した。
「行こう、アリアの所へ」
(そうだな。我々は本来此処にいるべき存在ではない)
決心したハリーとトントは同時に頷いた。




