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第71話 光の射す方へ

 時空転移装置によって執政院上空に発生した光の球体は次第に大きくなり、執政院周辺を囲むくらいになった。突然の出来事にマフィアの連合軍は勿論、執政院の警備隊や影たちまでもが驚きを見せている。



「コイツは一体何だ…?」


「相手方も動揺しているようですね。何か天変地異の前触れなのでしょうか?」



 エリックとガーランドも上空を見上げて、球体の正体を考察する。膠着状態にあった両陣営も一時休戦となり、手に持った武器を降ろす。


 光の球体の表面からは火花や稲妻がほとばしり、次第に光が強まっていく。やがて目が開けられないくらいの輝きとなり、ドンドン両陣営を飲み込むように膨張する。


 エリックとガーランドは我に返ると慌てて部下たちに球体への攻撃を命じた。執政院側の陣営も連合軍から狙いを球体へ向けて攻撃を命じる。両陣営から一斉に球体へ攻撃が加えられるが、球体は縮まるどころか更に大きさを増してくる。



「くっ、攻撃が通じない!?どうすればいいんだ?」


「エリック様、やむを得ません。一時撤退しましょう!」


「ダメだ!全員退くより前にコイツに飲み込まれる!」



 エリックとガーランドは球体へ攻撃しつつも部下たちを退かせようとする。執政院側も退却を命じているのか、建物側への避難を開始している。


 ハリーたちは執政院のビルへ移動するとその足で上の階層へと登っていった。ひたすら階段を駆け上がり、最上階へと登り詰める。すると最上階のフロア全体が巨大な機械に埋め尽くされているのが見えた。



「これは…何だ?」


「時空転移装置…」


(「えっ?!」)


「時空転移装置よ。間違いないわ!」


(「な、なんだとコイツがそうなのか!?」)



 ハリーとトントは時空転移装置を見て驚愕した。装置は轟音を挙げながら稼働している。コイツを使えばアリアは帰れるのか?



「ハリー!装置を一旦止めましょう!」


「…そうだな。このままじゃ暴走して執政院全体が飲み込まれてしまう」



 ハリーとアリアは装置の電源らしきものを隈無く探した。装置には幾つのもの計器やらスイッチがある。どれをいじれば止まるのだろう。



「とにかく色々いじってみよう!」


「分かったわ、やってみる!」



 ハリーたちは手分けてあらゆる装置をいじってみた。が、球体の膨張は止まることなく、やがて執政院のビル最上階を覆い尽くそうとしていた。そうこうしている合間に光が最上階の中へと入ってくる。



「まずい!光が入って…くる!」


「ハリー!トント!急いで…逃げましょ…う!このままじゃ飲み込ま…れて…しまう…」


(ハリー…!アリア…!ダメ…だ、間に…合わない…)



 ハリーたちもろとも時空転移装置の光の球体は執政院のビル最上階を取り込む。そして爆発するかのような閃光を放って球体は破裂した。

 光の中でハリーたちは必死に互いを呼び掛けた。が、やがて互いの声は掠れて途切れてしまい、姿も声も光の中へと消えてしまった。

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