表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/100

第48話 バーサーカー

「撃て!!」



 劉の号令と共に取り巻きたちが一斉に掃射を始めた。無数の弾丸が影に向かっていく。しかし弾丸が影に当たる寸前、突如視界から影の姿が消えた。



「「何!?」」



 劉とガーランド、双方が同時に発する。その時、トントが上空を見て叫んだ。



(上だ、ハリー!!)



 慌ててハリーが目線を上に向けると影がビルの壁面に張り付いているのが見えた。さながら蜘蛛のような姿勢を取っているが、常人ではあり得ないような体勢をしている。


 影は全身の筋肉がはち切れんほどに膨れ上がり、その目は禍々しく赤い光を放っている。両手から鉤爪を射出するとハリーらを見据えて攻撃態勢を取った。



「コイツ…本当に人間なのか…?」



 劉、ガーランド、そしてハリーが同じような感想を漏らす。虚を突かれた取り巻きたちは急いで銃口を影に向け直した。



「ふ、ふしゅううううぅ…」



 影は不気味な呼吸音を上げると口から煙のようなもの吐き出した。その場にいる全員が影の様子を見て固まる。と、その一瞬の隙に影は壁面から地上の取り巻きたちへ向けて降下した。



「構わん、撃て!!」



 我に返った劉は急ぎ号令を下すが、それよりも早く影は取り巻きたちを鉤爪で吹き飛ばした。マシンガンの掃射を浴びながらも手を緩めることなく、一人一人確実に仕留めていく影を前に取り巻きたちは為すすべなく壊滅状態に陥った。


 余りの惨劇に野次馬たちは大パニックになる。劉は他の部下に命じて急ぎパニックの収拾を図ろうとするが、影は劉に向けて突進してきた。



「危ない!」



 ガーランドが取り巻きが落としたマシンガンを拾い、足下へ向けて掃射する。足に銃弾を受けたことで動きが鈍った影を劉が掌底打ちで吹き飛ばした。



「…助かった、ガーランド」


「いえいえ、礼には及びません。しかし…彼奴は一体どうしたというのでしょう?」


「どうやらアンブロアの『処置』が我々の想像を遥かに越えていたようだ」



 劉とガーランドが倒れた影を見てゆっくりと歩み寄る。ハリーもトントを抱いたまま、後ろから続いた。



「奴は死んだのですか?」


「先程の掌底打ちで彼奴の心臓付近を思い切り打ち据えた。胸骨がバラバラになるほどの威力を加えたから仮に生きていたとしても立つことは出来ないはずだ」



 劉がフーッと深呼吸する。とその矢先、影がまたも立ち上がった。劉やガーランドから攻撃を受けているにも関わらず、その足取りには余裕すら感じられる。



「ば、バカな…」


「そ、そんなあり得ない…」



 これには劉もガーランドも驚愕の余り言葉を失った。二人の動揺を他所に影は鉤爪を出して再び攻撃を仕掛けてくる。一瞬の隙を見せてしまった劉に影の爪が当たった。胸辺りを切り裂かれるようにして劉は吹き飛ばされる。



「ぐはぁ!!」


「劉様!!」


「劉!?」



 ガーランドとハリーが劉に向けて叫んだ。ガーランドは慌てて劉の元に駆け寄る。すると影はハリーの方に体を向けた。どうやら標的をハリーに絞ったらしい。



「チッ、野郎…劉を倒すとは…」


(どうするんだ?ハリー。あんなヤツ倒せるのか!?)



 ハリーの足がカタカタと震えていた。此処まで恐怖を覚えるのは久しぶりである。今のハリーは逃げることも戦うこともできない状況である。が、何とか脳内で策を巡らす。



 何か…何か、ないか!?



 と、その時停車していたマフィアの車輌から声が聞こえた。



「ハリー、コイツを使え!!」



 車の窓が開かれ、中から青竜刀がハリーに向けて飛んできた。ハリーはトントを離すと青竜刀を拾い上げる。



「ぐががああああ!!」



 影が咆哮してハリーに襲いかかってきた。ハリーは青竜刀を構えて影の動きを注意深く観察する。影は確かに耐久力や攻撃力は高いが、動きそのものは単調であった。その為、ハリーでも鉤爪の軌道は把握できる。



「今度こそくたばりやがれ!!!」



 影の爪を寸前で避けるとハリーはカウンターを入れるように影の首に向けて青竜刀を思い切り振りかぶった。

 鈍い衝撃と骨肉が切れるような音と共に影の首が飛ぶ。そして首をはねられて残された体から噴水の如く血飛沫が辺りに舞い散った。



「はあ…はあ…はあ…」



 影の返り血を浴びたハリーは呼吸を荒くして呆然と立ち尽くしていた。トントはハリーの元に駆け付けると宥めるようにすり寄る。



「父上!」



 劉を呼ぶ声と共に先程ハリーに青竜刀を投げてきた車輌から紫蘭が出てきた。

 劉はガーランドに介抱されているが、意識はあるようだった。かろうじて致命傷は免れたらしい。



「…紫蘭、心配掛けたな。フッ、私としたことが情けない」


「劉様。余り喋ると体に障ります。まずは傷の手当てを」


「うむ…すまないガーランド」


「ハリー様。救急車を呼ぶので貴方も一緒に手当てを。此方の件は後程話しましょう」


「あ、ああ…申し訳ない」



 ガーランドの言葉にハリーが我に返る。

 ガーランドは残った部下に命じて、急ぎ救急車を手配した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ