昔話
昔々、小さな狼の群れがありました。その群れは周りの動物たちと比べると、とても強く、まさに恐れるものはない。というものでした。
しかし、その群れの中に1体、周りの狼たちから「最弱」と呼ばれる、赤い狼がいました。
赤い狼は群れの狼たちに最弱と生まれた時から言われ続け、とても悔しく、絶対に強くなるんだと毎日毎日頑張っていました。しかし、自分はいつまでたってもダメなんだと、いつしか諦めるようになりました。
そんなある日、一輪の緑色の花を見つけました。
赤い狼はその花に話しかけました。緑色の花は狼の話を聞き、狼が最弱と呼ばれていると聞くと、疑問を持ちます。
「どうして、赤い狼は最弱なの?いったい、誰がそんなことを決めたんだい?」と、
狼はハッとしました。そして、不思議と心が軽くなったのです。
赤い狼はボロボロ、涙を零します。そして、狼は、緑色の花と、いつまでも一緒にいるようになりました。
「それで?それでどうなったの?」
畳の上、着物を着た若い男性の横で、5歳くらいの少年はワクワクした様子で話の続きを若い男性に食い気味で訪ねます。
「そうだねぇ・・・。ごめんね、この続きは、僕も分からないんだ」
「えー!師匠が考えた話じゃないの?」
「うーん・・・僕が考えた訳ではないと言えば、そうだね」
「・・・よくわかんね」
少年は拗ねて、男性の横にあぐらをかいて座ります。男性はその様子が面白かったのか、クスクス笑って、少年の頭を撫でます。
「でもね、このお話は、きっと君にも関わってくることになる。いつになるかは分からないけどね」
「それじゃもっと訳がわからないよ!」
「フフッ、君はまだ知らなくていいことさ。まだ子供だし」
「あー!また子供扱いかよ!」
少年は子供扱いされたことが気に入らないのか、怒ります。男性はまた、クスクスと笑って、その様子を見ます。少年は「師匠のばかー!」と言いながら男性をポコポコ叩きます。
木の根っこを枕にし寝ていた緑色の髪の青年は、目を覚ましました。
「・・・行くか」
外套についた土を払って、青年は歩き出します。




