とある神の独白
今回は、閑話休題。
神様の思い耽りな回です。
投稿時点で
PV837
ユニーク345
ありがとうございます。感謝です。
彼が洗礼を終えた後、何もない空間に神様と呼ばれた存在はしばらくその場にとどまっていた。
いや、柄にもなく物思いにふけっているといったほうが正しいのではないか。
どこか哀愁をも感じさせる神の佇まいには、神と呼ばれるだけのことはあるというべきであった。
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およそ二年と少し
彼を転生させてから経った時間である。
神の一柱としては、特例中の特例を施した。
自らの管理する世界に他の世界の人間を連れ込むなんてことは、、、、
当然、地球を管理する神からは文句を言われたが
そんなことは、たいしたことではない。
では、なぜ俺が彼を連れ込むことになったか
それは特別理由があるわけではない。神々にとって、管理する世界とはただの箱庭育成ゲームのようなものであり如何にして発展させるか、それを自慢しあうだけの一種の娯楽に過ぎない。
そんな中、ある種特別的な発展を遂げている地球に関心を持ち、彼を見つけた。
俺にとって彼はただ、ただ面白いと思っただけなのである。
人の顔色を伺い
人の思うように行動するだけの彼に。
だからといって、自我がないわけではなく、さりげなくあくまでさりげなく自己主張をして
内心では文句をたれていたり、オーバーなリアクションをとっていたり
それを出せばもっと生きやすかったろうに
それを彼はしなかった
感情を表面化せずに、お飾りとしての子供を、金をかけられていない子供を道化のごとく演じていた。
両親は、そんな彼にある種の甘えがあったのだろう。
彼が死んでからは、両親はそれは酷いものだった。
それはそうだろう。
高校生になったばかりの子供が
自らの学費や生活費を稼ぐために、新聞配達をして、熱中症で亡くなるだなんて。
新聞社相手に訴訟を起こしたり、取材を受けたテレビではさも被害者面をしていたが
ネット発信による経済DVの暴露によって
安寧な生活は無くなったようだ。
しかし、両親が行った行為自体罰せられるものではない。最低限の生活は送らせていたし
栄養失調等になるようなことなく、病気になれば治療も受けさせてはいた。ランクとしては最底辺に近いものではあったようだが。
少なくとも、地球の、日本の法に抵触するようなことはしていなかったように思える。
もっとも、法に抵触していないからと言って両親の行為が正しいとは限らない。同時に法に抵触しているからと言って悪であるとも言えない。
そこは、日本ならではというべき道徳、倫理、マナー、モラルなどがそれを許容しないと言ったところか。
そんな、彼の両親の顛末はさておき、神々の中にも序列が存在し
娯楽であるはずの箱庭たる管理世界の発展に左右されている。サラリーマンでいう営業成績みたいなものか。
せいぜい、地球でいう中世ヨーロッパ程度でしかない俺の世界は序列は低く
他の神々に頭を垂れる時間が多い。
そう、彼と同じ、他の神々の顔色を伺い時間を過ごしている。俺自身、自らの境遇を重ね合わせていただけなのかもしれない。
しかし、彼と神である俺とには決定的な違いがあった。彼は前世における境遇を不幸とは認識しておらず、そういうものだと割り切って楽しんでいた節があったのだ。だからこそ、俺は彼を面白いと思い、自らの管理する世界に引き込んだのかもしれない。
彼ならば、この世界に何かもたらしてくれるのではないか、何か変えてくれるのではないかという淡い期待をもって。
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神様は、フッと笑みと浮かべると
何事もなかったかのように、その空間から姿を消した。
お読みいただきありがとうございました。
後書きで、いろいろ補足していけばいいことに気づいたので、補足すべきかなぁと思うことは次回以降していこうと思います。
毎週水曜日じゃなく、土曜日投稿になるかもなので悪しからず。
次回は、主人公が家族へのスキル開示をする回の予定です。
数少ないブックマークしてくださっている読者様ありがとうございます。