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売れっ子作家は転生して、母校の文芸部に入部するようです

作者: cat

本来投稿はしないと思っていた作品です。

もしかしたら削除します。

感想を頂けたら嬉しいです。

評価は厳しめで結構です。

時は四月一日。

俺は、部屋にある身長計に乗り、自身の身長を計る。

何故、部屋に身長計等というものがあるのかというと、それは、中学合格祝いに、俺が無理を言って買って貰ったのである。しかも、これはとても正確で、㎜単位で計ることが出きるのである。

さて、話を戻そう。俺は緊張した面持ちで身長計に乗る。

結果は、139.9㎝。

おかしい。俺は覚えている。

昨日計った時は、140.0㎝。

…縮んでいる。

普通ならば誤差だと軽くあしらう所であるが、俺にはそれが出来ない。否、俺の前世の記憶がそうはさせない。

ああ、いい忘れていたな。

そう、俺ーー米坂(よねざか) (かすか)には前世の記憶がある。

前世の俺は、作家だった。しかし、致命的な欠陥があった。それは、一つ話を書くと、次に書くまで、半年から一年ほどかかってしまうのだ。普通ならとても作家としてやってはいけない。

しかし、俺は、天才だったらしい。出版社の方も俺を手放したく無かったようで、なんとかしてくれていた。まぁ、そのせいで一人の編集さんが四苦八苦してくれていたのだが。

小説で稼ぎ始めて五年ほどだろうか。その編集さんが過労死してしまった。考えるまでもなく、俺のせいだった。死ぬ間際、俺は、彼女のそばにいた。その時、彼女は、最後にこう言った。

「絶対に一月に一つ話を書いてください。さもないと身長が1㎜縮みます。これは、私が最後の力を振り絞ってあなたに掛ける、呪いです。」

だが、俺はその時182㎝あったので気にせず、残りの人生を過ごした。まぁ、一月とたたずに交通事故に合い、死んだのだが。トラックに跳ねられ、意識がとんだ後、気付くと、赤ん坊の体になっていた。

一年程で、転生したこと、どうやら、異世界では無いこと、俺が死んで、すぐに産まれたらしいことなどを把握した。そこからは、簡単だった。知識などは前世のままなので、そこそこ頭が良いと言われる程に前世の知識の使用を制限して、小学時代を過ごした。

そんなこんなで、一週間後、俺は晴れて前世の母校、私立○○学園に入学を果たすのだ。

しかし、前世の母校のことを考えると、どうしても、前世のことを考えてしまう。そこで、受験前、前世のことを順々に思い出していたら、思い出してしまったのだ。あの編集さんに掛けられた、呪いのことを。思い出した俺は、不安になり、

「もしかしてこの体の身長が低いのは、そのせいなのでは?!」

と思い、計算すると、今までで俺の身長は、15㎝近くも縮んでいるのである。この推測を検証するために、俺は今日、合格祝いに身長計を買って貰ったのだ。

よって今日は、俺にとって運命の日だったのだが、今、俺の推測は確信に変わった。よって俺は、これから毎月話を一つ書かなければならない。

なんと、これから50年生きたとすると、普通の人より60㎝も縮むのだ。恐らくその前に内蔵が圧迫されて死ぬだろう……。

しかし、問題がある。それは、俺は滅多に話のアイデアを思いつけないのだ。だが、まぁ次に縮むまであと29日ある。あと一週間ぐらいで考えれば良いだろう。


一週間後。

何一つ決まらなかった……。

俺は、今、学園の入学式で、無駄に長い校長先生の話を聞きながら落ち込んでいた。どうしようか?このままいくと、また1㎜縮む。何か画期的な案を出さなければ……!

と、そこで、校長先生の話が終わり、入学式が終わった。確か、この後は、新入生歓迎会、まぁ要するに部活勧誘が始まる筈だ。気分転換に少し見てみるか…


しばらくすると、段ボールを被った変な人と、女子学生が出てきた。

「はいはーい!一年生のみなさーん!私たちは文芸部でーす!私は現中学三年の、初瀬院(はせいん) (はるか)です!隣にいるのは文芸部のマスコットキャラクター、みんな大好き『ブンゲイダー』くんでーす!

私たち、文芸部は、地下一階の茶室で、木曜日と、金曜日に活動しております!

私たちが歓迎するのは、小説を書いてみたいな、今現在書いているけど読んでくれる人がいないな、といった人や、人の小説を読みたい、静かな部室で本を読みたいといった人まで、様々な人を勧誘しておりますっ!

活動は割りと自由で、ゆるーい部活なので、気張らなくてオーケーでっす!

入りたい部活がまだ決まっていない方、この説明を聞いて入りたくなった方、いつでも来てくださーい!仮入部もできますよー!

それでは、ブンゲイダーくんから一言!」


「ブンッ!ゲイダー!」


「ありがとうございましたー!それでは、我々の文芸部をよろしくお願いしまーす!ではー!」


……すごくテンションの高い紹介だった。周りの人もどんな反応をすればいいのか戸惑っている。だが、小説を書いてみたいな、と思っている人、か。仮入部もできるようだし、放課後いってみるか。

その後は各自教室に戻り、担任、副担任やクラスメイトとの自己紹介、ロッカーの場所決めなんかをして、あっという間に解散となった。

両親には先に帰って貰い、一人で茶室まで行き、扉を開く。

「失礼しまーす。仮入部したいんですけどー」

と、声をかけると、

「新入部員?!史絵ちゃんに続いて二人目?!豊作!豊作だわ!!」

という、聞き覚えのある、大変テンションの高い女の人の声と、

「お、落ち着いてください!先輩!今来た人がまともな人なら先輩のテンションにはついていけませんから!」

という、どことなく疲労を感じさせる男の人の声が聞こえた。

どうすればいいのかわからず、そのまま立っていると、中から眼鏡をかけた男の人が出てきた。

「やぁ。新入部員さん。僕の名前は二宮(にのみや) 悠斗(はると)。中二だ。とりあえず中に入ろうか。」

そう言うと二宮先輩は俺を中に入れてくれた。中に入るとぴょんぴょん飛び跳ねている、新歓の時の人と、もう一人女子がいた。二宮先輩は、飛び跳ねている人を指すと、

「このテンションの高い人が初瀬院 遥。中三。一応先輩だよ。」

と、紹介してくれた。

「一応ってどういう意味なのかな?ニートくん?あ、後輩くん。ニートっていうのはこいつの最初と最後の音を合わせたあだ名よ?ニートくんって呼んであげるといいと思うわ!」

なるほど。『に』のみや はる『と』か。ひどいあだ名だ。

「先輩!僕の不名誉なあだ名を後輩にまで広めないでください!先輩が大声で呼ぶせいで同級生にまでニート呼ばわりされるんですからね?!」

二宮先輩、いや、ニート先輩は、溜め息を吐いた後、もう一人の女子を指して、

「こっちは君と同じ中一の、九段(くだん) 史絵(しえ)さんだ。」

紹介してくれた。

九段を見ると、あちらもこっちをみていて、

「よろしく。」

と、声をかけてきた。

「こちらこそ、よろしく。俺の名前は米坂 幽だ。」

俺は、自己紹介をして、彼女の隣に座る。ニート先輩とは、机を挟んで正面だ。

「それで、ニー……二宮先輩、俺たちって何をすればいいですかね?」

危ない、危ない。つい心の声だけでなくニート先輩と呼んでしまうところだった。まぁセーフだろう。

「セーフじゃないよ?!今完全にニート先輩って呼ぼうとしたよね?!」

ニート先輩がなんか言ってるけどここはスルーだな。

「あっはっはっは!幽くん、良い性格してるねぇ!良かったじゃん!ニートくん!ニートの名前を知っている人がまた増えたよ!あ、私のことは遥先輩でいいよ!二人とも!」

遥先輩もいい性格していると思うけどなぁ。

「それで、何をすればいいですかね?」

最初からほとんど喋っていない九段が地味に怖いから、なんかやることをください。

「どうします?先輩?」

ニート先輩は、もう人生に疲れた、とでも言いたげな顔をしていた。そんなに俺にニート先輩と呼ばれたのが堪えたのだろうか?

「そうだ!今から二人に三題噺を書いて貰って、私たちが読むってのはどうかしら?」

え''?

「勝負にしませんか?どっちが面白いのか先輩方に評価してもらう、といった形式の。」

うぉい?!なんで、さっきまで、ほとんど喋ってもいなかったのに目を輝かしてるんだ?九段?!

「良いわね!史絵ちゃん良いセンスしてるわ!幽くんもそれで良いわね?じゃあ今から一時間で書いてね!お題は『前世』、『お仕事』、『呪い』!文字数制限はなし!じゃあスタート!」

遥先輩は、嬉しそうに宣言した。

だが、俺は、それどころではなかった。

今、遥先輩は、『前世』と言った。そして、『呪い』とも言った。この先輩、俺の前世のこと、知ってるのか?!

「先輩のお題はいつも適当だから、大変なんだよね……。頑張って!」

ニート先輩……!

もし遥先輩が本当に適当に言ってるのだとしたら、それはそれで怖いんだけど、気にしたら負けなんだろう。

まぁ、このお題なら俺の前世のことを少しアレンジさせればいいだけだし、書けるかな?


しばらくして。

「「先輩出来ました!」した!」

くっ。少し遅れたか。

「二人ともちゃんと書けてるみたいね!今から読むからちょっと待って頂戴!」

まず、俺のをニート先輩が、九段のを遥先輩が読む。

「幽くん面白いじゃん!」

ニート先輩が誉めてくれた!

「本当ですか?ありがとうございます!」

まぁ、前世では売れっ子作家だったから当然だ。でも誉められると嬉しい……。

二人は読み終わったようで、交換する。

と、そこで、二人の表情が一変した。

「「は?!」」

どうした?どうした?

「どうしたんですか?先輩?」

俺は、聞いたが、先輩二人は、

「「ちょ、ちょっとまって?」」

と、言ったきり、答えてくれない。

九段も不審そうな顔をている。何があったのだろう。お、読み終わったみたいだ。

「とりあえず、二人とも。お互いの小説を読んでみてくれない?話はそれからだわ!」

仕方がない。読んでみるか。

「「は?!」」

今度は俺と九段の表情が一変する番だった。

なんと、九段の小説には、あの編集さんの人生が書かれていたのだ。そして、あの呪いも全く同じ内容。これはーーー


「二人とも事前にどんなものを書くか話し合って決めていたのね!そんなサプライズ私たちは驚かないわよ?」

遥先輩は、冷や汗を流しながら胸を張った。

「全く、二人とも知り合いだったなんて……。最初から言ってくれよ……。二人とも他人のふりが上手過ぎやしないかい?僕たちは見事に騙されてしまったよ。あー、びっくりした。僕たちはそろそろ帰るよ。それじゃあ、明日からもよろしく。」

ニート先輩は、一息にそう言ったあと、遥先輩と一緒に茶室を出ていった。

あの編集さんは、俺と同じように生まれ変わっていたらしい。記憶をそのままに。

「お久し振りです。先生。」

そうだ。確かに彼女は俺のことを先生と呼んでくれていた。

「ええ、久し振りですね、編集さん。」

俺もまた、彼女のことを編集さんと呼んでいた。

「懐かしいですが、前世は前世です。過去のことは水に流しましょう?今の私は、九段 史絵、と呼んでください。

それに、あなたに掛けた呪いは立派に仕事を果たしてくれているようですし……ね。」

彼女は俺の低い身長を見て、嘲笑った。前世では俺が見下していたのに……!今は逆だ。彼女の背は高い方に入るだろう。呪いによって14㎝も縮んでいる俺が勝てる訳がない。くそぅ。

「じゃあ、改めてよろしく。九段さん?」

俺が手を出して言うと、彼女も、

「えぇ、米坂くん。こちらこそ。」

と言って、俺の手を握り返してくれた。

どうだったでしょうか?

くだらないと思ったらそう書いてくださると嬉しいです。

元々、中学の部活の部誌で提出する予定だったので、更新の予定はありません。

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