255.最後のバトル!!
それを見たレメディオスは不敵な笑みを浮かべる。
「なるほど、それが御前の選択か。しかしこの魔導砲は十分過ぎる程の魔力を溜め込んでいるから、御前に見せてやる為にもう1発王都に撃ち込んでやろう」
「な……させるかっ!!」
即座に操作を止めさせようとする賢吾だが、レメディオスは懐から取り出した投げナイフを賢吾に投げつける。
「うおっ!?」
ギリギリでそれを回避したものの、それだけで十分な時間稼ぎが出来たレメディオスは魔導砲についている赤いボタンを力一杯押した。
するとその瞬間、まばゆい光が魔導砲に収束して大きな衝撃と音が地下に響き渡る。
「うおっ!?」
「きゃっ!!」
『え……ま、まずい!!』
賢吾は思わず両手で耳を塞ぎ、離れた場所で戦っていた美智子も驚く。
そしてアンフェレイアが大声を上げたが既に遅し。
魔力のエネルギー弾……それも特大のビームとなったものが発射された。
そのエネルギー弾は空に向かって発射されたものの、王都の上空で弧を描く軌道になった。
そしてまた王都の一角を……城下町の住人や味方の魔物や騎士団員を巻き込んで着弾した場所を一瞬で肺にしてしまった。
「どうだ、これが魔導砲の威力だ」
「この野郎……何が騎士団長だよ!! 何がランディード王国の生き残りだよ!! あんただけは絶対に許さないからな!!」
しかし、レメディオスは次の瞬間思いもよらない事を言い出した。
「はっ……この魔導砲の威力は他の2つとは違う。御前のおかげで強くなったとも言えるな」
「……は?」
自分のおかげでこの魔導砲が強くなった?
目の前の男がさっぱり何を言っているのか分からない賢吾に、レメディオスは魔導砲の一角を指差した。
「これに見覚えが無いか?」
「あ、こ、これは……!!」
赤く光り輝く、自分の拳に握る事が出来る位の固形物。
それがスッポリはまっているのを見て、賢吾の記憶が一気に蘇る。
「まさか……まさかこれって、吸魔石!?」
レメディオスはその回答に満足気な笑みを浮かべた。
「ああ。御前がこの石を持った状態で私の部下から魔力を吸い取ってくれたおかげで、その分の魔力をこのエネルギー弾にする事が出来たんだ。それに……この王都で魔力を持っている生物が死ねば死ぬだけ魔力もこの吸魔石に溜まって行く。この地下で御前の仲間が倒しているあの騎士団員や魔物の魔力も全てだ」
「くそっ……悪魔だな。何処までも!!」
「何とでも吠えれば良い。御前には魔力が無いから役に立たないし、さっさと死んで貰う!!」
レメディオスはその言葉を言い切ると同時に左手を前に突き出し、ファイヤーボールを賢吾に放って来た。
「うぉ!?」
魔術は自分の身体に効果が無いと分かっていても、つい火のイメージに負けて反射的に賢吾は避けてしまう。
ファイヤーボールをギリギリで身体を横に向けて避け、賢吾はレメディオスに向かう。
しかし賢吾の目の前にレメディオスは居なかった。
「遅い」
後ろから聞こえたその言葉に反応するかしないかと言う所で、賢吾は背中と後頭部に衝撃を受けて倒れる。
「ぐあ……!」
後ろから蹴られた賢吾は気絶こそしなかったが、仰向けに足で身体を反転させられ首を踏みつけられた。レメディオスはファイヤーボールで賢吾の注意をひきつけつつ後ろに回り込み、後ろから前蹴りで賢吾の背中と後頭部を蹴りつけたのだ。
さほどダメージは無いがまさに一瞬の事だった。
「魔術か……!!」
「言っただろう、私は剣しか使えない訳では無いと」
足の先端でグリグリと賢吾の顔を突きつつ、レメディオスは薄気味悪い笑みを浮かべる。
「観念するのはどうやら貴方の様ですねぇ……」
しかしそんなレメディオスの様子を見た賢吾は、足の先端に彼の意識が向いていると踏んだ。
そこで力を振り絞って、両手でレメディオスの足を掴んで思いっ切りバランスを崩す。
「うわっ!?」
一瞬の出来事で攻撃された賢吾が、一瞬でレメディオスに攻撃し窮地を脱出。
倒れ込んだレメディオスを尻目に賢吾は立ち上がり、彼の顔面にサッカーボールキックを入れる。
「ぐへぁ!?」
素早くそれでもレメディオスも起き上がったが、賢吾がそんなレメディオスに一気に近づきミドルキックでレメディオスのロングソードを吹き飛ばす。
「くっ……!!」
「おらあっ!」
それで隙を見せたレメディオスに、賢吾は肩を掴んで逃げられない様にしてからジャンプして頭突きをかまして怯ませ、彼のズボンを掴む。
そして懐から取り出した手榴弾をボタンを押して起動させ、レメディオスのズボンの股間に押し込んだ。
「や、止めろ!」
「今更もう遅い!」
まさかの展開にうろたえるレメディオスを、賢吾は渾身のハイキックで蹴り飛ばした。
「うわああああーっ!」
低くではあるもののレメディオスは宙を舞い、魔導砲に背中からぶつかって地面に倒れ込んだ。
そして次の瞬間、物凄い爆発音と共にレメディオスの身体が魔導砲を巻き込んで爆散する。
「くうっ……!!」
咄嗟に後ろに飛び退いた賢吾だったが、その爆発だけではどうやら終わってくれそうに無かった。
「……えっ!?」
『な、何よこの揺れは……』
あらかたの騎士団員と魔物を倒した美智子とアンフェレイアも、突然揺れ出した部屋に思わず動きを止める。
「何かやばい気がするな。とにかく脱出しよう!!」
「そ、そうね!!」
『こっちよ、急いで!!』
あの地下通路に向かって走り出した3人の背後で、揺れている部屋が今度は魔導砲のあった場所から爆発し始めた。
3人は振り返る事をせず、一目散に出口に向かって地下通路を駆け抜けて行った。




