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224.作戦会議?

 しかし、セバクターの方はセバクターの方でレメディオスの呟きで思い出した事があった。

「そう言えば、あの騎士団長は「材料が足りないから計画は先延ばしだ……」とも言ってたな」

「ん? と言う事はまだ時間には余裕があるって話なのか?」

 賢吾の指摘に「恐らくな」とセバクターは頷くが、それを聞いていたエリアスが自分のやって来た事を思い出した。

「あ、もしかしてそれってあれの事じゃないか? 俺があの坑道で君達をアディラードで襲う前に、地下の材料庫を破壊したってあの時の話だよ」

「あ、あの時の話な」

 そう言えばそんな事もあったなーと何故か懐かしさを感じる賢吾と美智子だが、あの時材料庫を破壊した事によって計画に支障が出ているのはこちらとしてはありがたい事だった。


 それからイルダーも、さっき話した事とはまた別にレメディオスの呟きを聞いていたらしくそれを思い出してセバクターの回想に続ける。

「僕もレメディオスの話で思い出したんだけど、「あの屋敷を証拠隠滅と責任転嫁の為に燃やしたから代わりの場所を探さなければ」って彼は言ってたっけ」

 それはすぐに賢吾と美智子は思い出す事が出来た

「燃やしたって言えばあのロルフとクラリッサが助けに来てくれた時ね。でも、結局あの2人も敵になっちゃったわね……」

 少し寂しい気もするが、それでも命を狙われたのは事実なので美智子はブンブンと横に首を振った。

「ううん、あの2人も私達の敵なのよ。それはそうと……私達にはそれなりに時間に余裕が出来たから、まずは何処からどうやって騎士団に対抗するかを考えなきゃね」


 この人数では到底太刀打ち出来ない。

 それなら太刀打ち出来る様に、相手の勢力を少しずつでも減らして行けば良いのだとユグレスが口を出して来た。

『いっぺんに敵を全員相手にする必要は無い。相手を少しずつ潰して行けば良いのだ』

「それは分かりますけど……それを具体的に決めましょうよ」

 だからどうすれば良いんだよ、とイライラした口調になる賢吾の横で美智子が顎に手を当てて考える。

「と言っても拠点は潰したしなぁ。あのレメディオスが自分の家にしている屋敷の地下から始まって以前のアディラードの活躍で材料庫も潰したし、私達が回って来た3か所の拠点もそれなりに潰した筈だし……」

「だけどまだ潰していない所があるだろうし、相手は強大な勢力だから立て直すのも早いだろうね」

 そのアディラードを操っていたエリアスが、夜空を見上げて遠い目で呟いた。


 その時、ふと賢吾がある人物の存在を思い出した。

「なぁ、そう言えばエルマンは今どうしているんだ?」

「エルマンなら……あれ、そう言われてみると連絡が無いな」

 色々とバタバタしていたから連絡が出来ていなかったと言うのもあるが、確かにそのエルマンが今いないとなるとまた1から事情を説明しなければならなくなるのでややこしい。

 それに加えて、コック長と言う立場でもあるライオンのシェロフは自分の部下でもある食堂の従業員の安否もそれなりに気になるのだと言う。

 だが、それを聞いていた美智子がここでこんな質問を投げかけた。

「あ、あの……ちょっと質問良いかしら、コック長さんに」

『何だ?』

「貴方ってこのエンヴィルークの使い魔なんでしょ? なのに前は確か私達にこう言ってたわよね。ここで1番長く働いているのは私なんだって。近衛騎士団に甥っ子も居るみたいだし、普通に人間の生活に溶け込んじゃって良いの?」


 仮にも神様の使い魔である彼が、人間の姿になったまま長年生活していたら色々不都合は起こらないのだろうかと美智子は心配になる。

 しかし、その心配はどうやら無用だった様だ。

『それは俺が許可している』

「エンヴィルークが?」

 美智子に対して答えるのは、その使い魔シェロフの主人であるエンヴィルークだった。

『そうだ。人間や獣人の生活をレポートしてくれるから楽しいし、何よりも王国騎士団の食堂で働いていれば世の中の動きもそれなりに分かる。まぁ、たまには元のライオンの姿に戻って貰って俺と一緒に世界各地を見回って貰うけど、余り休みも取れないから主にこのシルヴェン王国内と、領土の中にこの王国を擁しているアイクアル王国を担当して貰っているんだ。アイクアルはこの世界の中でも1、2を争う程に広い領土を持っているから、ユグレスと俺とアンフェレイアは他の国や地域の監視をしている』


 とりあえず管轄があるのは分かったが、今まで良くばれていなかったなーと美智子は謎の感心をする。

 だがその感心を一瞬で消し去ってしまう言葉がシェロフ本人の口から出て来た。

『まぁ、何人かには私の正体がばれているよ』

「へ?」

 だったら不都合な事があるんじゃないのか、と賢吾が心配するもまだその話には続きがあるらしい。

『確かに甥っ子が出来てしまう位に人間の世界に慣れてしまった。人間の女と結婚もしているしな。それにほら、私と仲の良い狼の獣人が居ただろう? あの男にもばれてしまったんだが、私に情報提供等を協力して貰う事で特に何もしないと約束をしている』

「あ、ああそう……」

 まぁ、上手く回っていれば良いんじゃないか……と賢吾と美智子は無理やり自分を納得させるしか無かった。

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