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223.協力するんだよ

「それで俺達の会話を聞いていて、様々な事が発覚してこれはおかしいぞと思って協力を?」

 賢吾の指摘にセバクターは頷く。

「そうだな。ずっとそこの林の中に隠れていたんだが、この山の中は静かだから嫌でも声が響いて聞こえて来る。それよりもまさかこの世界の神に出会えるとは……」

 感無量と言った表情を見せるセバクターではあるものの、今の一行に取っては時間が無いので協力してくれると言うのであれば協力して欲しい所だ。

「それは良いんだけど、協力するに当たって何か自分に出来そうな事ってあるか? 君は俺達の敵だった人間だからまだ信用する事は出来ないし、何よりもこの国とは別の国の騎士団員だからむやみに他の国の事に首を突っ込んだら外交問題の危険性だってあるよ?」

 エリアスの言う事はもっともだ、とその他のメンバーもセバクターを含めて頷くが、それを分かった上でセバクターは先程「エスヴァリーク帝国の代表として協力したい」と申し出たのだと言う。


「それは分かる。俺達エスヴァリーク帝国だって好きでこっちの内戦に介入する気は無い。だが……あの騎士団長が内戦に打ち勝った後の計画に、他国への攻撃が含まれていると聞こえて来たらこちらも黙っている訳にはいかない。しかもその計画が俺達エスヴァリーク帝国に及ぶとなれば尚更計画を止めないとな」

 セバクターにはセバクターなりの考えがあっての申し出なのだろうが、それでもいまいち乗る気にはなれない一行。

 しかし、そんな空気をエンヴィルークの声が打ち破った。

『悩んでいる暇は無いと思うぞ。こうしている間にもあの騎士団長は着々と準備を進めているかも知れないからな』

 そう言われてみればそうだ、と賢吾はそのエンヴィルークのセリフを聞いてから改めてセバクターに向き直る。

「分かった。今はあんたを信じる。だけどもし俺達を裏切ったりあんたがレメディオスのスパイだったりしたのが分かったら、その時は全力であんたを潰しに行くからそれだけは覚えておけ」


 つまり前回のタイマンは逃げる為に倒すだけで終わったが、次は無いぞと忠告する賢吾。

 だが、その忠告を聞いてもセバクターの引き締まった表情は変わらない。

「良いだろう。さっきも言ったが、今の俺はエスヴァリーク帝国騎士団……いや、エスヴァリーク帝国の代表としてあんた達に願い出をしている。もし俺が裏切ったり敵になる様な事があれば、その時は躊躇せずに帝国に言いつけるなりなんなりすれば良い。ここに誓おう。エスヴァリーク帝国騎士団の第3師団の師団長、セバクター・ソディー・ジレイディールが君達に最大限の力を貸すと」

 真っ直ぐな目つきでそこまでハッキリと宣言されてしまえば、一行も断る理由が今の所見つかりそうに無いので承諾する。

『話は決まったみたいね。えーと、それじゃあ出発する前にこの後の計画を立てましょう』

 アンフェレイアの提案で、まずはシルヴェン王国騎士団に立ち向かう為にはどうすれば良いかを考える事にする。

 ドラゴン2匹の協力を得るのは難しいと分かっている以上、作戦も無しにただ突っ込んでもすぐにやられるのがオチだ。


「目標はレメディオスとロルフとクラリッサ率いる第3騎士団だ。だけど、この第3騎士団は王国騎士団の中でも1番数が多いから圧倒的に人数差では不利だ」

 エリアスが話を始めるが、ここでイルダーがバッと挙手をする。

 そしてそんな彼の口から出て来たのは、この第3騎士団を敵に回す事にプラスされる思いがけない事実だった!!

「ちょっと待った。敵はそれ以上に居るぞ」

「えっ、そうなの?」

 美智子が目を丸くして問うとイルダーも頷く。

「ああ。僕があのランディード王国の王城でレメディオスから直接聞いたから間違い無いよ。頼りになるのは近衛騎士団の団員達だけって言っても良いだろうね」


 そう言うイルダーにセバクターも同意する。

「そう言えば俺もこんな話を聞いた。あの騎士団長は既に王城の守りを固めていて、第1騎士団と第2騎士団の団長達にも話を通していると」

「それじゃ、王都に侵入するのも一苦労じゃないか?」

 絶望的な状況にも程がある……と賢吾は頭を抱えるが、その横ではエリアスが別角度から同じく「絶望的な状況だ……」と呟いていた。

「そ、それって途轍も無くまずいと思うよ。だって……あの王城の地下にある魔導砲の狙いは王城なんだろう? しかも中庭から王都の城下町を一望出来る場所もあるとなれば、それはつまり城下町に向かって魔力をエネルギーにした砲弾を撃ち込む事が可能だろう」


 レメディオスは一石二鳥のやり方を狙っているらしい、とこの時に気が付く一同。

 実際に賢吾と美智子と一緒にあの地下の砲台を見学(?)したコック長のシェロフも同意見だ。

『あれだけの大きさの魔導砲を準備すると言う事は、他国への砲撃をするには届かないにしても王都を潰す位なら造作も無いだろうな。むしろあれは王都から他国に攻撃する物じゃなく、王都に攻め込んで来る他国の軍勢を迎え撃つ為に設計されていると言っても良いだろう』

「じゃあ、計画に邪魔な第1や第2の騎士団員達や王族を全て消し去ってから王城を破壊するのも……」

『可能だろうな。その後すぐに地下に魔導砲を格納してしまえば大したダメージも受けないだろうし、後で解体すれば別の場所で組み立ても出来る』

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