表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
217/258

216.続・怒涛の暴露ラッシュ

 なのでこの国そのものを滅ぼそうとは思っていないと言い張るエリアスに対し、エンヴィルークは『だからなのだ』と続ける。

『同じくこの国に恨みを持っているのがあの騎士団長……それも、そこの若造とは比べ物にならない程に恨みを抱いて、憎しみの感情を溜め込みながらこの国を壊滅させようとしているんだ。だから同じ憎しみを持つ者同士ではあるが、目指す方向が違うだろう。御前はこの国をより良い方向に変えて行きたい一方で、あの騎士団長はこの国を跡形も無く一旦消滅させてから新たな王国の王になろうと画策している……そうだろう?』

「ええ、そうですね」

 この王国に危機が迫っているのを感じ取ったエンヴィルークが、相棒であるアンフェレイアと自分達の使い魔を駆使して裏から策略を色々と練っていたらしい。

 しかし、それ以上に厄介なのは騎士団長レメディオスのその後の目的だとイルダーがその時の彼との会話を思い出しながら話し始める。


『私には騎士団員以外にも、ランディード王国時代から仲の良い魔術師が沢山居るのでね。その魔術師達も私に色々と協力してくれているのだよ』

『もしかして、イズラルザにもそう言うのが居たりする?』

『ああ。だけどシルヴェンの奴等にぞんざいに扱われている者が殆どだ。私は許せない。私の家族も恋人も、それから仕えるべき主君も全て破滅に追いやってその命を奪った、このシルヴェン王国と言う国がな。だからこうして長い時間を掛けて準備を水面下で進めて来たと言うのに、思わぬ所で邪魔が入った……貴様の様な知りたがりがな!!』

 その時に殴られた事まで思い出して一瞬表情が曇るものの、それでもこのレメディオスの話は全員に伝えておかなければならないと気を取り直してイルダーは話を続ける。


『で……その後は一体何を企んでいるんだ? まさかこの王国を潰して終わりって訳じゃ無いだろう?』

『まさか。この国にはイズラルザと言う魔術が発展した国もあるし、何より隣のヴァーンイレス王国はもう既に滅んでしまった国だからな。この隣国のアイクアル王国、それからヴァーンイレスの逆隣のエスヴァリーク帝国にヴァーンイレスを先取りされる前に、私の手によって蘇った新生ランディード王国が領土を拡大するんだよ』

『そりゃあ、大層な考えをお持ちの様で……』

『魔術師達も物分かりの良い、話の通じる知り合いばかりでスムーズに計画を進める事が出来ていた。しかし、貴様やその知り合い……シルヴェン王国でも有数の大貴族のキーンツ家の1人息子のエリアスだったか。そしてあの異世界からやって来たと言っている男女2人が私の計画を邪魔してくれているのでね。だからここに先に回り込んで、一気に潰してしまおうと言うのだよ』

『ああそうかい。でも、僕にあの地下の魔導砲を見せたのはあんたの部下のロルフが迂闊だったな。僕をその計画のメンバーに加えようとしていたみたいだけど、元々僕はエリアスと面識があってね。その過程であんたの計画を知ってしまったのさ』


 しかし、レメディオスは事前にそれを密偵に探らせていた事でキャッチしていたらしい上に、彼の部下でもある魔術師達が協力してくれてあの転送装置を3か所に準備しているとの話までしてくれた。

『貴様の知り合いだと言うキーンツ家の長男が動いているのは、私の密偵が情報収集をしていてくれたおかげで知る事が出来た。そして私の計画に必要な拠点も探るだろうと踏んだ私は、イズラルザの知り合いの魔術師達を通じて用意して貰った特殊な技術でこうして先回りしたのだ』

『特殊な技術……って、まさか!?』

『察しが良いな。イズラルザの地下、それから王城の地下、最後にこのランディードの王城だった場所の地下にそれぞれ魔法陣を描き、転送装置を作って移動出来る様にしてあるんだ』

『それだったら何でエリアス達を追撃する時に転送装置を使わなかったんだよ?』

『転送装置は私の息の掛かっている者しか知らない事実なのだぞ。大っぴらに言える訳が無いだろう』

『それで……それを知ってしまった僕は最終的にあんたの剣で切り刻まれるのか?』

『分かり切った答えを聞くものでは無いと思うが』


 その後にイチかバチかでレメディオスに対してバトルを仕掛け、まさかの勝利で逃げ出す事が出来る……と思っていた矢先にまさかのレメディオスの部下達の邪魔によって呆気無く敗北してしまった自分を、何時の間にかあの建物に侵入して来ていたアンフェレイアが助け出した……と言う所までを全員に話したイルダー。

 その彼の話を聞かされた他のメンバー達……特にその中でも美智子は、このまま彼の計画が進行すれば別の意味でまずい事になりかねないと考えていた。

「あ、あのさ……私思った事があるんだけど」

『何かしら?』

「その……言っちゃ悪いんだけど、この国って小さいでしょ? しかも大きな国の領土の中にまた領土を持っていた2つの国が合体して出来た訳でしょ? そうなると幾ら魔導砲とか魔物の集団をレメディオスが準備してるって言っても、隣の国を狙っている国が他に色々ある訳だからその競争には負けちゃう未来しか見えないのよねぇ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ