表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
212/258

211.ドラゴンへの質問

 エスヴァリーク帝国の騎士団員だと言うセバクターを退けた賢吾も今度はしっかり乗せて、ドラゴンの姿になったレメクは地図の東からだんだん西に向かって飛行して行く。

「何処に行くんだ?」

「この方角だと西向きだね。このまま行くと王都に向かう事になるけど、一体何をするつもりだ?」

 夜空をバサバサと翼を動かして飛行し、並んで飛ぶエリアスのワイバーンにスピードをコントロールして合わせているレメクにそう尋ねる賢吾とエリアス。

 そんな2人に対して、ドラゴンの姿になっているレメクは素直に答える。

『中央にある山の中に私達の棲み処があるの。この姿だと余り人間や獣人の前には姿を見せられないから、今のその棲み処になっている場所に貴方達を案内するわ』

「棲み処……」


 それを聞いた美智子は、ドラゴンが棲む様な場所だから洞窟の中とか森のうっそうとした所とかを勝手にイメージしていた。

 賢吾は賢吾で今の時間帯が夜だと言う事もあり、夜目が利いてまっすぐ飛んで行ってくれるのはありがたいのだが、その後で自分達が食べられてしまわないかをかなり心配している。

 そんな悶々とした心境の地球人2人の横から、このレメクの声と光の手助けによって無事にあの敵だらけの場所から脱出出来たレメクがふとこんな事を思い出した。

「そう言えば、僕達の聞きたい事に対してジックリと私の仲間と一緒に答えるって言ってなかったっけ?」

『ええ。だからその私の仲間に会わせたいのよ。どんな仲間なのかは会えば説明しなくても分かるとは思うわ』

 そう言われてしまうともうああだこうだと質問する事は出来ないので、とりあえず今は大人しくレメクの背中に乗って身を任せる事にする。


 そしてエリアスはワイバーンで上手く横を飛んでいるのだが、何時もよりも明らかに自分のワイバーンが声を上げている事に気が付いた。

 そこで自分の予想をエリアスはレメクにぶつけてみる。

「なぁ、もしかして俺のワイバーンと何か会話でもしているのか? さっきから何か妙にこのワイバーンが声を発するんだけど」

 レメクと横一列で飛び始めた時からその会話(?)らしき声が続いているので、もしかしたらとエリアスがストレートにレメクに聞いてみて返って来た答えがこれだった。

『ええ、私と会話しているわよ。かなり興奮しているみたいだから落ちないようにね』

「興奮……?」

 このワイバーンはオスで、レメクの変身前の姿を見る限りではどう見てもメスのドラゴン。

「異性に恋をするのは当たり前だが、もしかしたらこのワイバーンも……?」


 まさかな……と続けて質問をするエリアスだが、レメクはハッキリと否定する。

『ううん、そうじゃないわ。彼はどうやら私に出会えた事が嬉しくて仕方無いみたいなのよ』

「嬉しい?」

『ええ。私ともう1匹のドラゴンはなかなか世の中に姿を見せていなかったからね。だから竜族と飛竜族の間では伝説になっちゃってたみたいなの』

 私達としては全然そんなつもりは無かったんだけど……と複雑そうな声色で呟くレメクだが、今度は違う方から質問が飛んで来た。

「ねえねえ、さっきから話を聞いているとさ……もしかして言葉が通じてるの?」

 ファンタジーな世界観にはそれなりの知識がある美智子がそう聞けば、レメクは曖昧ではあるもののYESの返答をする。

『そう言われればそうね。ただ……私達竜族とこのワイバーンみたいな飛竜族の言語には少し違いがあるから通じない部分もあるのよ。その辺りはお互いのニュアンスを汲み取って受け答えをしているわ』

「そ、そうなの……」

 例えば地球で「英語」と一括りに言っても、細かく言えばアメリカ英語とイギリス英語では言い方が違ったりする。

 もっと言えば日本の中でも自分達に馴染み深い岩手弁があるし、関西弁や沖縄弁だってある。

 流石に全ての方言と岩手弁で会話しろと言われたらそれは無理な話なので、標準語と言う日本語で会話するのが自分達の常識となっている。

 後はニュアンスの問題、と言われたらそれもそうかと美智子は頷くしか無かった。


「それは良いんだけど、差し支えなければどんな会話してるんだ?」

 賢吾も少なからずその会話の内容には興味があるので、良ければ……と遠慮しがちではあるが自分達の言葉が通じるレメクに話を聞いてみる。

『別に大した話じゃないわよ。この世界に生まれてどれ位経ったんですかとか、最初にこの世界を創った時に苦労した事は何ですかとか、どんな魔術が使えるんですかとか色々ジャンルを問わずにって所ね』

「ああ、そう……」

 女のドラゴンなんだから、年齢を聞いている最初の質問はちょっと失礼じゃないか? と思いはしたものの、その後に『1つ目に関してはそれなりにぼかしたけど』とレメクが呟いたので賢吾も納得した。

 だがその後の2つ目の質問内容が美智子に引っ掛かる。

「ちょ、ちょっと待って。その……最初にこの世界を作ったって言うのはもしかして……」

「あ……」

「え……?」

「世界を……創った?」

 美智子の指摘にイルダーもエリアスも、そして賢吾も一斉にレメクに疑問の視線を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ