表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

211/258

210.限界バトル

 戦い始めたセバクターと賢吾。

 この世界の人間から見て異世界人である賢吾は、そのセバクターのロングソードが振るわれる前に左ハイキックから入る。

 勿論セバクターもロングソードを持っている両手でそれをブロックするが、賢吾はそれを見越した上で今度は右のハイキック。

 だがこれはセバクターに屈んで回避された。

 しかしそれも賢吾はうすうす予想はしていたので、今度はハイキックを空振った勢いで身体を横に1回転させてセバクターに向き直りつつ、振り下ろされるロングソードを持つ手を左手で掴んで空いている右手でセバクターの顔面に右のパンチを入れる。

「ぐぅ!?」

 一瞬怯むセバクターだがまだまだこの程度では終わらない。

 それに賢吾もそれだけの相手だと言う事を今の動きで見抜いたので、15年以上の武術経験を持って本気で相手をする。


 そのまま今度は追撃でミドルキックに持ち込みたかった賢吾だったが、セバクターの方が背が高いのでリーチの差で負ける。

 その証拠にセバクターにミドルキックを繰り出したものの、カウンターで腹に同じくミドルキックを食らってしまい賢吾は土の地面を後ろに転がった。

「ぐっほ!」

 チャンスとばかりにセバクターは賢吾に向かって来るが、賢吾は立ち上がらずにその体勢を利用してブレイクダンスの要領でセバクターに足払いをかける。

「ぬあ!」

 セバクターは倒れ込むが、賢吾もまだ完全に立ち上がってはいない。

 それを見たセバクターは素早く立ち上がり、賢吾も足を回しながら若干アクロバット気味に立ち上がる。


 そしてもう1度ロングソードを構えて賢吾を迎え撃とうとしたセバクターだったが、そんなセバクターの胸目掛けて賢吾は全体重を乗せたドロップキックを炸裂させるのであった。

「うぐぅっ!?」

 物凄い衝撃がセバクターの胸を襲うが、エスヴァリーク帝国騎士団でほぼ毎日鍛錬を積んでいる為にそこまでのダメージも無くまた立ち上がる事が出来た。

 一方の賢吾は背中から落下してもきちんと受け身を取り、跳ね起きで立ち上がりセバクターに一気に接近。

 セバクターの懐に飛び込んで、今度は自分の得意分野……と言うよりもこれしか戦い方を知らないのでその中で出来るパンチのラッシュでセバクターに攻撃。


 セバクターもそれを避けたりガードしたりするが、次に賢吾はセバクターの頭を掴んで腹目掛けて右の膝をぶちかます。

 更にそれに続いてその叩き込んだ右足を振り上げつつ、右足のくるぶしの部分を今度はセバクターの顔面に勢いをつけてぶち当てた。

「ごはっ……」

 それによって勢い良く背中から廊下の壁に叩きつけられたセバクターは、肩で息をしながらも何とか体勢を立て直そうとする。

 が、その視界に飛び込んで来たのは回し蹴りを自分に向かって繰り出す賢吾の姿であった。


 賢吾がセバクターの顔に回し蹴りを突っ込んでいる間、2人の戦いにむやみに加わる事が出来ないと判断したレメクと美智子とエリアスは、先にエリアスの相棒とも言うべきワイバーンと合流しに向かっていた。

「急いで賢ちゃんの所に戻らないと!!」

「分かっている!!」

 自分の相棒にまたがってレメクの背中のスペースに余裕を作る事にしたエリアスに対し、早く早くと急かす美智子。

 まさかこのタイミングであの中庭で出会った騎士団員が追いすがって来るなんて、と自分達のモタモタ話し込んでいた過去を心の中で呪う美智子。


「ぬん!!」

 セバクターに突っ込んだ回し蹴りは何と寸前で回避されてしまい、お返しにロングソードが賢吾に向かって突き出される。

「ちっ!!」

 咄嗟に賢吾は突き出されたロングソードを手で弾きつつ、クルリと横にクイックターンしてそこから踏み込んで接近戦に持ち込み、セバクターの顔面に思いっ切りストレートパンチを入れる。

「ぐはっ!」

 そこから賢吾は一気に反撃を開始。

 よろけたセバクターに近付いて再び右のパンチを顔面に入れ、更に両方の拳をいっぺんに顔面に入れてから左のパンチを喉に突っ込み、そのまま軽く回転して右の肘をムエタイの如くセバクターの胸に入れる。

 それから攻撃を止めずに右の裏拳を肘を入れた直後に入れ、左、左、右、右とパンチをそれぞれ1発ずつ胸と顔面に入れて、最後におまけで右の裏拳を男の胸へと入れた。

「ぐほっは!!」


「ぬおおおおおおっ!」

 更に雄叫びを上げながら賢吾はセバクターに一際強い膝蹴りをかましてから足払いをかけて地面に倒し、彼が立ち上がって来る前に足の裏で踏みつける。

「ぐふっ!」

 急所に衝撃が来るのだけは避けたい、と何とか身体の位置をずらして直撃を回避したセバクターだったが、そんな事は賢吾に関係無いので更にセバクターに追撃をかけようと身体を反転させながら肘落としを繰り出した。

 しかし、これもまた寸での所でセバクターがゴロゴロと転がって回避。


 肘落としを空振ってしまい地面に倒れたものの、それでも起き上がって来た賢吾に対してさっきのドロップキックのお返しとばかりに、セバクターもドロップキックをかまして後ろにぶっ飛ばす。

「ぐほえ!?」

 素早くそこから体勢を立て直して、苦痛に顔を歪めながらも起き上がって来た賢吾を仕留めるべくロングソードを突き出した。

 が、その突き攻撃をギリギリで回避した賢吾はロングソードを空振ったセバクターにミドルキック。更に右ストレートを顔面に。

「ぐぉう!!」

 顔を押さえて悶絶するセバクターにダッシュし、ムエタイの映画で見た事がある飛び両膝蹴りをセバクターの胸に叩き付ける。

「ぐぇうっ!?」

 衝撃に耐え切れずに足をもつれさせて崩れ落ちたセバクターと、ワイバーンと合流して戻って来た他の3人を見て賢吾はそこで攻撃を止め、逃走を再開する。

「レメク、退散するぞ!!」

『分かったわ!!』

「賢吾、行くぞ!」

 賢吾は3人と合流して、今度こそ逃走する為にレメクの背中にしっかり飛び乗った。


 ステージ9 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ