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203.行くしかない、この敵の本拠地に

 イルダーが巡回の警備の騎士団員に捕まってから少し後、エリアス、賢吾、美智子の3人もシルヴェン王国の東にある、そのランディード王城「だった」城に辿り着いていた。

「王都の城にも負けず劣らずの大きさだな」

「本当ね。でも元々はここがそのランディードって王国の城だったんだからそれも当たり前よね」

 賢吾と美智子がヒソヒソと城を遠目に見ながら感想を述べているのを横目で見ていたエリアスは、気を取り直してその城の周りの様子を望遠鏡で確認する。

(見張りは……居る事には居るが、やけに数が少ないな。もしかしたら待ち伏せを仕掛けている可能性もあるかも知れない)

 しかし、それ以上に気になったのは肝心のイルダーの姿が見当たらない事である。

 その事実には賢吾も美智子も気づいていた。

「そう言えばさ、イルダーがここで待っているんじゃないのか?」

「そうね。でもイルダーが見当たらないわね」

「俺もその予定だったんだが……待ち合わせの場所を変えたのかな?」


 エリアスも首を傾げるが、その瞬間ふっ……と頭の中に過ぎった1つの予感があった。

「まさかイルダーの奴、敵に捕まったんじゃあ……!?」

 そう考え始めると一気に不安な気持ちが押し寄せて来るエリアスだが、もしかしたら何処か違う場所で待っているだけかも知れない。

「とにかくこの辺りに息を潜めているかも知れない。余り近付き過ぎると見張りの騎士団員に見つかる可能性があるからな」

「それもそうか。じゃ、俺と美智子は向こうを探してみるからエリアスは向こうを頼む」

「分かった」

 なかなか物事がスムーズに進まない状況に内心でイライラしながらも、イルダーと合流しなければ話が進まないので城の周辺に広がっている林の中を探し出す3人。


 だが、その途中で賢吾と美智子のコンビが巡回をしていた騎士団員に遭遇してしまう。

「な……っ、お前達もあいつ等の仲間か!!」

 慌ててその場から立ち去って援軍を呼ぼうとする騎士団員の足に飛び掛かり、美智子が地面に引っ張り倒す。

 その騎士団員の背中に賢吾が馬乗りになり、懐から取り出した手作りのノコギリを首筋に突き付けてイルダーの居場所を吐かせる。

「おい、俺達の仲間の若い銀髪の男は何処だ?」

「貴様等に教える必要は……ぐぇ!?」

「答えなさい!!」

「言えば良し、言わないなら殺す。どちらかを選べ」

 美智子も同じ様にノコギリを突き付け、賢吾は更にノコギリの歯を騎士団員の首に食い込ませる。


 観念した騎士団員の男は、素直にイルダーが連れ去られた場所を吐いた。

「あ……あの男ならあの大きな木のそばにある隠し通路から城内に連行した。後は俺は知らねえよ……ほ、本当だ!!」

「そうか、ならこうだな」

「がはっ!?」

 賢吾は用済みになった騎士団員の首を一気にノコギリで掻き切って絶命させる。

「俺達はレメディオス達から命を狙われているんだ。それにここで生かしておいたら潜入出来なくなってしまうだろうが」

 既に息絶えて死体となった騎士団員に賢吾がそう告げ、2人はイルダーと合流する。

「えっ、イルダーの奴が連れ去られたって!?」

「ああ、早くしないとこの城の連中に何をされるか分からないぞ!!」

「早く隠し通路に向かいましょう!!


 急いでイルダーの後を追い掛ける事にした3人は、騎士団員から教えられた通り木の根元にあるフタを開けてその先の階段から城内に続く隠し通路を抜ける。

 はっきり言えばこのシチュエーションはデジャヴなのであった。

「うあ……あ?」

「何だここ?」

「さっきまで居た場所とは似ても似つかない……と言うかここって……」

 申し訳程度のライトしか無い通路から明るくなった部屋に抜け出た3人が目を開けると、そこは見慣れない石造りの部屋であった。

 そして周りを見渡せば、眩しく光っている目に余る程の財宝の山。

「ここって宝物庫……っぽいな」

「そうだな。しかしこの量は凄いな」

「うわぁ凄いね。これだけあれば金持ちになれそうだけど、それは犯罪だから止めておきましょう」


 美智子が1人で会話を終わらせ、3人は唯一設置されている扉に顔を向ける。

「あそこしか出入り口が無いみたいだな」

「ああ。とにかく進んでみない事には始まらないから、あのドアから先に行ってみよう」

「そうするか」

 先頭で進む賢吾がドアを開けると、さっきの下り階段とは逆で今度は上り階段が現れる。

 そしてそれを上がって行くとまたもや1つの扉に行き着いた。

 3人はそれぞれ用心をして、同じく賢吾がそっと扉を開ける。

「……何処かの通路か?」

「ああ。城の中の通路っぽいな」

「見回りの兵士が居るかもね。ここは慎重に行きましょう」

 その先には石造りの通路が広がっており、何が出て来ても良い様にそれぞれ自作のノコギリと弓を構えて進んで行く。


 そうして突き当たりの角を曲がると、またもや目の前に扉が現れる。

「何だか、城って言うよりも中世の要塞っぽいな……」

 歩きながらそう呟いた賢吾に、この城の事情を少し知っているエリアスから説明される。

「ここがまだ現役だった頃は、小さい国の城だからこそ堅牢な造りを第一に考えて設計されていたらしいよ」

「そうなのか。それで……この先に進んで行けば何処かに出るのか?」

「んー、とりあえず先に行けば何かが分かるかも」

 進んで行った先にはまたまた扉があったので進む事にした3人だったが、その先に待ち受けていたのは信じられない光景だった。

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