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8.善意と本意・中

 翌日の昼過ぎになって、ようやく新たな町に到着していた。


 アンバーウッドの名を冠するその町は、森の木々に囲まれた場所に建っており、涼しく乾燥した気候の中で黄色に色付いた木々に囲まれている。

 こういった黄葉樹がここまで立ち並ぶのはこの町ならではで、そのために『琥珀色の町』という通称を持つほどだ。


 こんな風情ある町でも、ブレイディア王国の一部であるだけあって、町の中央にはきちんと円状の闘技場コロッセオがそびえ立っている。

 赤煉瓦で出来た家々が立ち並ぶ大通りを、ロランとイルヴァは並んで歩いていた。


「よーし! 早速大会に参加申請に行くぞ!」


 意気込むロランと、一方でイルヴァは気だるそうだ。


「申請なんていつでもできるでしょ? その前に宿へ行きたいのだけど」


「宿こそいつだって取れるだろ? ほら、行くぞイルヴァ!」


 ロランはイルヴァの手を掴むと、ぐいと引っ張ろうとしてつんのめる形で転んでいた。


「どわっはぁ?!」


 ごろごろと前へ転がるロランを見て、「あ」と呟くイルヴァ。


「なんだこれ。ビクともしない!」


 ロランはガバリと起き上がっていた。

 鎧を着ていない時のイルヴァと同じ感覚で手を引っ張ってはならないと、この時やっとロランは気付いていた。


「当たり前でしょ?加重無効ウェートインバリッドを使っているのだから」


 イルヴァはあきれ返った眼差しをロランに向けている。

 そんな二人の姿を通りすがる人々が見つけて、「おお……アイアン・ティターニアだ」

「本物のアイアン・ティターニアがいる」とひそひそとしながら通り過ぎて行く。


「……良かったわね。まだ噂はここまで届いていないみたい」


 肩をすくめながらイルヴァはそう言っていた。


「だとしても、キミへの視線は相変わらずだな」


 起き上がりながらロランは苦笑していた。


「まあね。無名の“ラッキーソード”とは違うから」


 嫌味っぽく言って、イルヴァは笑ったが、すぐに表情を消していた。


「……とは言え。この町だっていつ噂が来るともわからないわよ。大会が近いからここへ移動しようと考える人は、私たち以外にも幾らでも居るだろうし。……会わなければ良いのだけど」


 あのガルダに。と、イルヴァは呟いていた。


 その呟きが聞こえなくて、ロランは「え?」と聞いていた。


「なんでもない」


 イルヴァは誤魔化していた。


「それよりも、参加申請へ行くなら早く行くわよ。私だって早く宿に行きたいし、それなら早く済ませてもらった方が助かるわ」


「わかった」とロランは頷いていた。





 アンバーウッドのコロッセオは、隣町と違う土地に建ちながらも全く同一のように見える造りをしている。

 ただ、門の左右に吊り下げられている町章の旗だけが、アンバーウッドのコロッセオであるという個性を生み出している。

 赤煉瓦の町並みの中にあって灰色の石を積み上げて作られたその施設は、灰色の石の町並みの中にあった、前の町のコロッセオ以上によく目立っていた。

 その中へロランとイルヴァは足を踏み入れていた。



 大会が半月以内まで迫ったコロッセオというのは、フリーマッチもオフシーズンに入る。

 そのため観客らしい観客はおらず、代わりに、広い玄関ホールが剣闘士たちの受付け場のような形になっている。

 真正面の壁にはでかでかと、『カリバーン杯』という大会名と、開催日時が記された看板が貼り付けられている。

 ホールの奥には特別に設置されたカウンターがあり、そこで職員が受付作業をしている。

 大会まではまだ日が開いているため、参加申請する剣闘士はまだあまり来ていない様子だった。


「ふうん、カリバーン杯をやるんだ」


 看板の字を見上げながら、イルヴァが呟いた。


「参加したことはあるのか?」


 ロランの疑問に、イルヴァは首を横に振った。


「無いけど、そこそこ有名なタイトルよね、この大会って。ロラン、あなた本当に大丈夫なの?」


「なにが?」


「有名なタイトルには有名な剣闘士が集まりやすいのよ。箔が付くからね。まあ……ルーキークラスなんて、有名な大会であってもたかが知れてるでしょうけれど。でも、上位クラスから落ちてきた剣闘士とか、元衛兵とか、元外国の騎士とか……そういう、自信のある経験者が来やすい大会ではあるわよね」


「そうなのか」と、ロランは頷いていた。


 それでも彼は引き返す気が無さそうなので、イルヴァは聞いていた。


「ロランって、剣闘士暦は何年目?」


「……一年も無い」


「じゃあ、無名でも仕方ないわね。でも逆に安心したわ。もしあなたが、何年もやっていてルーキー止まりの剣闘士だったら、私は止めていたわね。この大会には出ない方が良いと言って」


 イルヴァは笑ったが、むしろロランは不思議に思っていた。


「何故止めるんだ? もし俺が実力不足としても、大会で死んだ方がキミにとって都合が良いだろ? なにしろ俺との奴隷契約が破棄されるんだから」


「そんなに都合良く行かないわよ」と言ってイルヴァは首を横に振った。


「大体、あなたとの奴隷契約が破棄になったところで、あなたを殺した勝者に私の権利がスライドするだけなのよ。そのどこにうま味があるというの?」


「でも、その人は俺のように腑抜けではないかもしれないぞ。キミが望むように、キミを蹂躙じゅうりんしてくれるかもしれない。剣闘士らしく」


 そう言って笑ったロランはどこまで本気なのかわからなくて、イルヴァは呆れ返っていた。


「あ、あのねえロラン。私は好き好んでそれを望んでいるわけではなくて……」


 イルヴァは途中で言葉を止めた後、「……まあ良いわ」と呟いた。


「でもまあ、私がお詫びすべきなのはあなたであって、それ以外の剣闘士ではないのよ」


 イルヴァは腕組みをしてそう言った後、溜息をこぼしていた。


「それなのにロランと来たら、ろくに慣例を守らせてくれないのだもの。慣例さえ守ってくれたら、後は好きな死に方をすれば良いわ。……もちろん、契約を終わらせてからね」


「あはは……どうかな」


 ロランは曖昧な返事しかしなかったが、イルヴァは腹を立てなかった。

 彼のそんな態度は予想の範囲だったし、余りに当たり前すぎるせいで、なんとも思わなくなってしまっていた。


「しかしまあ、誰も居ないみたいだし、申請するなら今のうちだよな」


 そう言ってカウンターの方へ行くロランの後をイルヴァはついて行った。

 この町の職員は若い女性であるようで、二人の剣闘士の姿を確認するとぱらぱらと帳簿を捲り始めるようになった。


「アイアン・ティターニアさんと……ええと……」


 慌てながら捲っている辺り、新米なのだろう。

 やっぱりここでも知名度の差が出るのかと思って苦笑いを浮かべるロランと、一方でイルヴァは腰に手を当てて「あ」と言った。


「私は参加しないから。こいつだけで良いわ」


「え。しないんですか?」


 職員は目を丸くする職員に、イルヴァは当然と言いたげに頷いていた。


「当たり前でしょ。今の私が参加しようと思えば、ロランの名前が要るのよ? その上、どこそこのロラン・ノールドの眷属の~なんて舞台上で審査人に高らかに読み上げられるの。嫌に決まっているでしょ」


「そうなのか?」


 イルヴァに問い返したのはまさにロラン本人だったので、イルヴァはうんざりしていた。


「……相変わらず、何も知らないやつ。そこの職員に聞けば全て答えてくれるわよ」と、イルヴァが指差したのはいまだに一生懸命帳簿を捲っている職員である。


 やがてぴたりと職員の手が止まり、「あ」と彼女は呟いた後、食い入るようにその帳簿を見つめるようになった。


「え、え、ええ。アイアン・ティターニアさん、負けたんですか?!」


 今更職員はその事を知った様子で、驚愕の声を上げてきた。


「……負けたかと言われると、素直にそうですよと言いにくいけれど」


 イルヴァはムスッとした表情を浮かべていた。


「はは……。思い切り手加減されていたからな、俺」


 ロランは苦笑いを浮かべていた。


「これは一大事件ですよ!」


 ばん! とカウンターを叩いて職員が真剣な目をしてイルヴァに言ったため、イルヴァは苦笑いしていた。


「っていうか……あなた、新人? ここまで職員に馴れ馴れしくされたのは初めてだわ」


「あ……す、すみません。私、アイアン・ティターニアさんのファンでして」


 えへへ、と照れ臭そうに職員は笑った。

 その後、ロランを睨んでくるようになった。


「こんなパッとしない浮かない剣闘士に……。これは何かの間違いではないですか?!」


「でも、その帳簿に全て書いてあるんでしょ?」


 イルヴァの指摘に、職員はぐっと言葉に詰まった。


「そ、そうですけど」


「それが全て。職員は剣闘士のする事に無駄な口出しはしない。わかった?」


 イルヴァのテキパキとした指摘に、「は、はい」と職員は口を噤んだ。


「キミは正論で誰でも叩きのめすよな」


 ロランはのん気に笑っていたため、イルヴァはイラッとしていた。


「良いから、あなたが参加するんでしょ? 早く申請してほしいのだけど。私は急いでほしいのだけど」


 イルヴァが苛立っていることは火を見るより明らかだったため、「わ、わかったよ」とロランは慌てて申請の手続きを始めることにした。


 職員に名前を名乗って、帳簿から見つけてもらって、問題が無ければ申請書を受け取って記入事項を書き込み、申し込みを終わらせる。

 その作業をイルヴァは後ろから見守っていると、「あれ」という声が背中から掛けられた。


「アイアン・ティターニア・スレイヴ《奴隷の鋼鉄女王》のイルヴァじゃない。あんたも参加するの?」


 その声に、ギョッとしてイルヴァが振り返ると、そこには一番会いたくない人物が立っていた。


「あ、あなたはガルダ族の……」


 イルヴァの目の前には、あの鳶の翼を持った黒髪の少女が立っていた。

 東方の衣服を身につけており、腰には二振りの造りの異なる短い剣が差してある。


「覚えていてくれたの? ありがとう」とその少女は笑った。


「っていうか。スレイヴ《奴隷》って付けないでよ!」


 思わず怒鳴ったイルヴァに対して、その少女はカラカラと笑っている。


「そんなに嫌だった? なら、負けなければ良かったのに」


「うっ……」


「そこのロラン・ノールドのこと、みんなはラッキーソードと呼ぶけど、私はそうは思わないわ。だってアイアン・ティターニアはラッキーで勝てるような相手じゃない。本当は隠しているだけで、かなりのやり手なんでしょ?」


 少女は好奇心で生き生きとした目を向けてきたので、イルヴァは苦笑していた。


「いえ……まあ、そうでもないんじゃないかしら」


「またまた」


 少女が本気にしないうちに、手続きを終えたロランが振り返っていた。


「イルヴァ、終わったぞ。……あ」


 ロランは歩みを止めていた。

 そして、誰? みたいな目をして少女とイルヴァを見比べている。


「あー、初めまして! 私は、イルヴァの友達の……」


 言いかけた少女の言葉を止めて、「赤の他人! 知らない人!」とイルヴァが言い切った。


「えー……ひどくない? この前、せっかく助けてやったのに」


 ぶ然とした表情を浮かべる少女をよそに、イルヴァはロランの方へ駆け寄っていた。


「そういうことだから、行くわよ! 急いでほしいんだから!」


 少女を一生懸命スルーしようとするイルヴァをよそに、ロランは少女の方へ歩み寄っていた。


「初めまして。俺は、ロラン・ノールドです」


 にこにこ笑って言うロランを見て、イルヴァは腹立たしくなっていた。


「わざわざそんなご丁寧に、挨拶なんてする必要無いでしょう?」


「そうはいかないだろ。失礼なのは良くないぞ」


 ロランはそう言い返したので、イルヴァは口を閉ざしていた。


「ふうん?」と言って、少女は小さく笑った。


「アイアン・ティターニアとは随分タイプが違うんだね。でも、私もソコはアイアン・ティターニアに同意。丁寧さなんていらないよ。タメ口で良いよ、ヒューマンくん」


 そう言いながら少女が歩み寄ってきたため、ロランはたじたじとなっていた。

 なにしろこのガルダ……とにかく胸がよく目立つ。メロンが二つ並んでいる。たぷたぷ揺れるそれを気にする様子もなく、両手を後ろで組んで、少女が近付いてくる。

 そしてすぐ目の前まで来ると、じーっとその黒目がちの瞳をロランに向けてきた。


「へー。平凡だ平凡だと思っていたけど、よく見たら可愛い顔してるじゃない」


「へ、平凡……」


 あはは。と苦笑いするロランの姿に、イルヴァは溜息をついていた。


「またそうやって、へなちょこなリアクションをする……。もう少しビシッとしなさいよ、ビシッと」


「あれあれ? スレイヴのイルヴァがなんでご主人様に説教垂れてるの?」


 ニヤニヤと笑う少女をイルヴァは睨み付けていた。


「だから、スレイヴって言うなってば! あと、何を勝手に呼び捨てにしてるのよ!」


「まあまあ」と少女は笑ってイルヴァをたしなめた後、自分の胸をぽんと叩いて言っていた。


「私も呼び捨てて良いからさ。……あ、私はクレハ・タチバナって言うんだけどね。こっちは名前が最初だよね? 私の国は苗字の方が先だったからさー。本当は立花紅羽って言うんだよ」


 ぺらぺらと喋るそのガルダ――クレハは、随分とお喋りな印象だ。


「苗字が先……もしかして、東方のアマツヒ王国出身か?」


 ロランの質問に、クレハがぱあっと表情を輝かせた。


「そう、それ! よくわかったね! こっちじゃマイナーな国なのに」


「あ……ああ。父がアマツヒ・ガルダとブレイディア・ヒューマンのハーフだったから」


「へー、そうなんだ」


「俺の剣技も、東方の流れを汲むものを父から教わったものでな。キミのそれ、片方はショートソードだけど、もう片方はコダチ(小太刀)だろ?」


 ロランが指差したのは、クレハの腰に差してある小剣のうち片方の東式剣で、クレハの表情が益々輝いた。


「わかるの?! すごいね! 言い当てたブレイディア人は初めてだよ!」


「うん。俺も東式の剣を持っている人を見たのは初めてだよ。俺も本当は東式の剣が持ちたいんだけどな。この国じゃ、どこにも売ってないからさ」


「そうなんだ。確かに、この辺の武器屋さんは西式しか扱っていないもんね。この剣は母国から持ってきたんだよ」


「へえ。キミの国には刀匠ってのがあるんだろ? キミのもやっぱ、名前があるのか?」


「えへへ、私のは数打ちなんだけどね。でも自分で名前を付けたのよ。『桜切り(さくらぎり)』と呼んでいるのよ。ほら、鍔に桜の花があるものを使っていてね」


 クレハは腰の剣のうち小太刀を引き抜くと、ロランに近付いて見せている。

 その距離はかなり近く、今にも肩同士が触れ合いそうだ。

 その上話が弾んでいる様子でロランまで楽しげに喋っているので、イルヴァからすると全く楽しくなかった。

 大体、何故ロランはよりにもよって、イルヴァの尤も苦手な種族と和気藹々としているのか。


(そもそも)


「ロラン。いつまで喋っているの? 私、急いでほしいって何度も言っているわよね?」


 イルヴァに腕を引っ張られ、ロランはやっと思い出していた。


「あ、ごめん。そうだったな。えっと、クレハ。大会には参加するのか?」


「ええ」とクレハは笑顔で頷いた。


「ミドルクラスに出るよ。ロランは?」


「俺はルーキークラス。そっか。なら、格上なんだな」


「そうみたいね。ロランなら優勝できるよ。頑張ってね!」


 クレハに手を振られ、ロランは笑顔で手を振り替えしていた。

 そんなロランの手を、イルヴァはぎゅっと引っ張っていた。


「いつまでデレデレしているの。行くわよ」


 ムッとした様子で睨まれて、ロランはキョトンとしていた。


「そ、そんなつもりは無いんだが……」


「言い訳なんていらないわよ。ほら、さっさと歩く!」


 イルヴァに手を引かれる形で、ロランはこの場を退散していた。

 最後にクレハに対して改めて手を上げて挨拶するのを忘れなかった。

 その結果、闘技場から出たと共にイルヴァに怒られてしまった。


「ロラン! なんなの今の?!」


「へ? お、俺、何か変な事したか?」


 戸惑うロランに対して、イルヴァの機嫌はかなり低い場所にある。


「急いでほしいって言っているのに、あんな風に知らない剣闘士の女の子と話し込んで……。私の事なんてキレイさっぱり忘れていたわよね?」


「そ、そんなことは無いぞ」


「嘘。信用できない」と、イルヴァはロランを睨んでいたが、すぐにその視線を背けていた。


「……まあ、それは後でも良いわ。先に宿を取りましょう。いっておくけど、今度は都合を譲らないから! わかったわね!」


 イルヴァにまたグイと手を引っ張られ、「あ、ああ……」とロランは頷きながらもよろよろついて行った。


(むちゃくちゃ力が強いなぁ……)なんて思って困り果てながら。





「私が払うから私が選ぶ」と言うイルヴァが選んだ宿は、前に宿泊していたものとそう代わらないランクのものだった。


「もう少し安いのを選んでもらわないと、いい加減、俺が返し切れなくなるんだが……」


 ほとほと困り果ててしまうロランに対して、イルヴァはロビーのカウンターへ向かいながら、淡々と言い返してきた。


「いい加減、そうやって自分のルールを通そうとするのは止めなさいよ。私はあなたのモノなの。だから、私のお金はあなたのお金なの。認めれば楽になるわよ」


「あのなあ、イルヴァ。俺はキミの為を思っているんだろ?」


「私の為にならないって言っているじゃない」


「それはキミの誤解だよ。キミだって搾取されるのは嫌だろ」


 今日はいつになく反発するなあ。なんて思いながら、ロランはイルヴァを追いかけた。

 最近だとイルヴァは、ロランの言うことに対してあまり積極的に反論しなかったから、逆にロランを戸惑わせたのだ。


 そんなロランを睨み付けて、「偽善者」と、イルヴァが言った。


「っ……――」


 呆気に取られるロランをよそに、イルヴァはお金を払って部屋を取ってしまった。


「綺麗事ばかり言わないで、いい加減、本当のことを言いなさいよ。本音を言いなさいよ。本性を出しなさいよ。そろそろ私も我慢の限界なのよ」


 ロランの方を振り返って、イルヴァはキッパリとそう言った。


「本性……って」


 キミは俺を信用していないのか。と思って、ロランは戸惑っていた。

 そんなロランの手を引っ張ると、「行くわよ」とイルヴァは言った。


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