56.エピローグ
それから一年後――剣暦二百二十七年。
先住種族の里に対する保護条例が制定される。
これにより里在住の先住種族たちも法の元で保護されるようになった。
前剣王一族によって引き起こされた先の事件を重大なものであると見直した文官省の手によって、先住種族の里があった場所は調査され、これを教訓とする為に慰霊碑が建てられたのだ。
また、これまで剣王が所有していた過剰な権力を適正化する助けとなる「非暴力制定」が定められた事については、国中を沸き立たせるニュースとなった。
それはこれまでの剣王が絶対に認可せず、制定に至らなかった法である。
これを期にブレイディア王国は新たな剣闘士時代に突入する事になった。
時の剣王は建国以来の優れた人格者として、また新時代の先駆者として後世に伝えられる事となる。
彼こそが真の剣闘士であり、彼の信念こそが後の剣闘士たちの芯となり繋がって行く。
しかし、その土台となったのは、彼の妻である先住種族の魂であったとは誰が知ろうか。
そして――今も脈々と受け継がれて行く。
剣闘士たちの高潔たる魂が。
fin.
剣闘士の物語はこれにて終了です。
9月末頃より、およそ五ヵ月の間、連載させて頂きました。
初めてのWeb小説なので、色々と勝手のわからない事が多くありましたが、なんとか無事に終える事ができ、ホッとしています。
ここまで読んで頂き、ありがとうございましたm(_ _)m




