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錬金術師のどうぐやさん  作者: あるけみすと
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ゲゼニアの秘薬

「ゲゼニアの秘薬?」


店の主、レイン・モートルクはサイズの合わない眼鏡を指で持ち上げながら聞き返した。


「おう。割と報酬の良いクエストでな。しかしゲゼニアの秘薬なんて聞いた事がねぇ……こりゃあ旦那に聞くっきゃなぇと思ってな」


カウンター越しに立つ大柄な男は参ったように頬をポリポリと掻きながらそう言ってため息をついた。


「ゲゼニアの秘薬……作れないものじゃないですが、素材が足りませんね」


レイン・モートルクは眼鏡をかけ直してそう言った。


「素材? なんなら俺が取ってくるぜ?」


「無理ですよ。グルカノさんじゃ返り討ちです」


大柄な男グルカノはレイン・モートルクの言いように少し怒り、しかし恩人たるレイン・モートルクの前で暴れるわけにもいかないと口を尖らせて不貞腐れた。


「ケッ。俺ぁこれでもギルドランクBのレンジャーなんだがねぇ」


「ドラゴンを倒せるって言うなら可能ですよ、このクエスト」


「無理無理無理無理! ドラゴンなんて化物、倒せるわけないだろうが!……ん? まさかそのゲゼニアの秘薬って……」


何かに気付いたグルカノが怒りでわなわなと震えだした。秘薬の素材に見当がついたからだ。


「はい。竜の心臓にユニコーンのたてがみが必要です。特に竜の心臓は鮮度が命ですからね。竜は捕獲しなければなりません。……割と良い程度ではやらない事をオススメするクエストですね」


レイン・モートルクから淡々と語られた事実にグルカノは大きく溜息をつくのだった。


「旦那への借金返済プラス夜街のお遊び代くらいにゃなると思ってたんだがなぁ……」


「別名不老不死の妙薬がそんな二束三文なわけがないじゃないですか。大方違約金を狙っての詐欺でしょう」


「はぁ……地道に働くのが正解って事かぁ……ん?ちょっち待ちな旦那」


話は終わりと、店内を掃除しようと立ち上がったレイン・モートルクだったが、グルカノが立ちふさがった。


「今わりと凄い事を聞いたんだが、それマジなのかい?」


「違約金がですか?」


「違う違う! 不老不死だよ不老不死!それがマジなら凄いことじゃないのか!?」


興奮したように尋ねるグルカノにレイン・モートルクは溜息をついた。


「本当の意味での不老不死ではありません。別名と言うよりあだ名、とでも言えば良いでしょうか。ゲゼニアの秘薬は若返りと老化防止の秘薬で、死ぬ瞬間まで老いないだけの詐欺紛いの秘薬です」


所詮そんなもんか、と頭を垂れて店を去って行くグルカノに聞こえないくらいの大きさの声でレイン・モートルクは呟いた。





「ま、不老不死になる方法じたいはあるんですがね」


手に赤い石ころを転がしながら、レイン・モートルクは店仕舞いを始めるのだった。


アイテム図鑑



『ゲゼニアの秘薬』


別名不老不死の妙薬。


竜の心臓にユニコーンのたてがみ、その他神獣クラスのモンスターの素材があれば制作可能。

ゲゼニア地方の原住民が作り出した霊薬で本当の不老不死の効果はないが老化防止と若返りの効果があるが寿命は変わらず、寿命で死ぬ際に一気に老け込む副作用がある。


貨幣に変えるなら国が買える程の価値を持つ

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