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氷の滅慕  作者: SH
四章 覇王
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致命的な怒り



 夜も深まり、西の善き食卓亭では、店主のおやじが店を閉める用意を始めていた。もうしばらくすれば、東の空も明らんでくる時間帯だ。


 真夜中を過ぎた辺りから、ジャンヌは目許のクマの原因でもある神への祈りを、数時(すうとき)に渡り行っていた。

 毎夜日課としている祈りの時間は、夜明け近くまで続けられるため、もの心ついてからジャンヌのクマが消えた試しはない。


 そんな神官娘を置いて、そろそろ帰ろうかという算段をしていたアルフラたちに、カダフィーが提案する。


「どうだい? このあと皆で、マーヌ神殿にでも繰り出さないかい?」


「マーヌ神殿?」


 不審げに聞き返したアルフラに、カダフィーがどことなく厭らしい目で答える。


「知らないのかい? 愛を司る女神マーヌの神官は基本女ばかりなんだけどね、訪れる者に春を売ってくれるんだよ」


「あ……」


 意味を悟ったアルフラが、薄く頬を染め、ぷいっと横を向く。


「私は常連だからね、普段はよほどの上客でなければ相手をしてくれない、娼姫(しょうき)と呼ばれる最上級の浮かれ()達と遊ばせてやることも出来るんだよ?」


 それまでぐったりしていたバイケンが、その言葉を聞き飛び起きる。


「カダフィー先輩ッ! どこまででも着いて行きます!!」


 その叫びに驚いたルゥが、野苺の盛られた皿へ手を伸ばした姿勢でびくりと震えた。

 大人げなく興奮した様子のバイケンに、びっくり(まなこ)を向けた狼少女が不思議そうな顔をする。


「ねぇ、お姉ちゃん。なんの話をしてるの?」


「ん……あぁ。ルゥにはまだ解らない、むずかし~いお話だよ」


 ばつの悪そうな感じで、シグナムが適当にごまかす。


「しょうき、ってなに? こわくないときのアルフラ?」


「ははは。よしよし、ルゥはいい子だねえ」


 ほのぼのとした様子でルゥの頭を撫でるシグナムに、野苺を頬張った狼少女が不機嫌そうにする。


「お姉ちゃん、ボクのこと馬鹿にしてるでしょ!?」


 そんな二人を横目に、アルフラはバイケンの支払をしようと店主に声をかける。


「親父さん、バイケンさんの分だけあたしが払います」


 文字通り、樽ごと奢るつもりだったアルフラは、かなり気合いが入っていた。

 以前に高城から貰った、玉石の詰まった袋を取り出す。その中から小振りの碧玉を選び、店主へと渡した。


「いや……お嬢ちゃん、これ……」


 渋い顔をした店主が、真鍮の杯に碧玉を擦りつけた。

 硬い音が鳴り、杯に一文字の傷が入る。


「本物、だな……。色も濃いし、今日の売上かき集めてもお釣りが出ないよ」


 店主が困ったようにぼやいた。

 エール酒二杯で沈んでしまったバイケンの払いはとても安い。


「じゃあ、あたしたちのお代にあてて」


「ああ、そりゃ助かる。フレインから袋ごと金子(きんす)を預かっていたんだが、全然足りないところだったんだ。それでもこの碧玉なら、結構なお釣りが出るよ」


「また来るから、その時でいい」


「そうかい。後で宝石商へ持って行ってみないと正確には分からんけど、しばらくはただで飲み食い出来るだけの金額になると思うよ」


 ほくほく顔で頷く店主が、懐へ碧玉を仕舞いこむ。


「それにしてもあれだね。最近、玉石の類いで支払するのが流行ってんのかね」


 一連の流れを、すこし驚いた顔で見ていたシグナムが、興味を惹かれ店主に尋ねる。


「そんなにしょっちゅう玉石なんかで支払おうって奴がいるのか?」


「ん? いやね。昨日のちょうど今頃だったかな。やっぱり似たような玉石を置いてった客がいたんだよ」


 そこで店主は、奥の厨房を気にするようなそぶりを見せ、声を潜める。


「それがとんでもない美人でな。入って来た瞬間、店の中が静まりかえって、他の客達が茫然としちまうくらいのね」


「へぇ」


「なんでも道に迷っちまったらしくて、北西にある貧民街への行き方を聞かれたんだが――」


「こら! あんた、いつまでも無駄話してないで、とっとと店じまいの準備をおしよ!」


 店の奥から、女将らしき女性の叱責が飛んできた。


「おっと、いけねえ。まだ仕事が残ってるんでね」



 そそくさと立ち去る店主を尻目に、アルフラたちは西の善き食卓亭を後にした。





 帰路に着いた一行は、そのまま真っ直ぐに宿舎へと向かった。

 途中でカダフィーとバイケンは別行動を取り、さらなるお楽しみへと繰り出して行った。

 何をしに行くのか理解していないルゥだったが、二人の楽しげな様子から、その後に着いて行きたがった。が、もちろんシグナムとジャンヌに止められた。


 四人が宿舎の門をくぐったところで魔術士の少年が声をかけてくる。


「あっ、やっとお帰りになりましたね」


 年の頃で言えば、アルフラよりもやや上といった若い魔術士だった。


「ん? なんか用か?」


「はい。夜中に一度フレイン様が見えられまして、皆さんがお戻りになられたら直ぐに知らせてくれと」


「フレインが?」


 シグナムの問いに魔術士がうなずく。


「ええ。フレイン様が来られるまで、部屋で待っていてくれとのことです」


「場所は分かってるんだから、直接店に戻ってくりゃよかったのに」


 怪訝そうな表情でつぶやいたシグナムに、魔術士はよどみなく答える。


「行き違いになると困るから、とおっしゃられていました。皆さんが戻るまで、ギルドの自室で仮眠をとられているそうです。――フレイン様は最近、王宮での会議に出席されたりとご多忙な様子ですので」


「ふーん」


 気のないそぶりでうなずいたシグナムの横を、やはり興味なさ気にアルフラが通り過ぎた。

 さらに、その後に続いて宿舎へと向かうジャンヌを目にしたシグナムが声を上げる。


「おい! なんでお前まで部屋へ戻ろうとする。ちゃんと家に帰って寝なよ」


 ジャンヌは聞こえなかった振りをして、そそくさと宿舎へ入って行った。


「僕はフレイン様を呼んで来ますので、部屋でお待ちになられて下さい」



 慌てて追おうとしたシグナムの背に、少年魔術士の声が届いた。





 部屋に戻ったアルフラは、少々食べ過ぎたお腹を抱え、くたりと寝台へ倒れ込んだ。

 室内では、耳を引っ張られながらシグナムに説教をされるジャンヌが涙目となっていた。


「ねぇ。ボク、ジャンヌと一緒がいいな」


 部屋から追い出されそうになっているジャンヌをルゥが庇う。どうやらジャンヌを、かわいい子分の一人だと思っているようだ。


「いやいや、四人で寝るのはいくらなんでも狭すぎ……」


 言いかけたシグナムはルゥを見て硬直する。狼少女のお腹は、傍目にも分かるほどぽっこりとしていた。


「なあルゥ。さすがに食べすぎだ。食い物は逃げないんだからさ、あんまりがっつくなよ」


「うん。ボクね、それがずっと不思議だったの」


「え?」


「なんで人間の街には、冬のあいだでも食べ物がいっぱいあるの?」


 ルゥはまるいお腹をさすりながら首をかしげる。


「……それのどこが不思議なんだ?」


「だって冬場は獲物がすくないでしょ? 森にいたころは、雪がつももる季節になると、十日くらいなにも食べれないことなんてしょっちゅうだよっ」


「ああ、なるほど。ルゥは雪狼だもんな。冬は獲物が少なくて狩りが出来ないのか」


「うんっ。だからね、食べれるときにはぜんぶ食べとかないと、雪解けまでもたないの」


 ルゥの異常な食欲の原因が分かり、シグナムが深く納得する。


「あたし達人間はね。冬が来る前に肉や果物なんかを乾燥させて保存しているんだ。ほかにも穀物や日持ちする野菜なんかを蓄えてる」


「人間てかしこいんだねー」


「ああ、農村なんかじゃ家畜を飼育してて、それを街まで運んでるから、冬でも新鮮な肉や乳製品を食べれるのさ」


「すごい! ねえっ、それってボクたち獣人族にもできる?」


 シグナムの説明に、ルゥはいたく感動したようだ。


「農地と家畜があれば誰にでも出来るよ。まあ、ある程度の知識は必要だろうけどね」


「それってどうやったら手に入るの?」


「うーん……穀物の種や家畜は市場でも買えるけど、農地は地方の領主に金を払って借りたり、許可を得て自分で開墾しなきゃいけないな」


 よく分からない、といった感じでルゥが首をひねる。


「ルゥは農地が欲しいのですか?」


 ジャンヌが困った様子のルゥに尋ねる。


「うん。冬でも食べ物がいっぱいあれば、一族の人たちが飢えて死なないですむもの。お腹がへるとすごくつらいの」


 悲しそうな顔をするルゥの髪を、シグナムがくしゃくしゃと掻き混ぜる。


「ルゥは族長の娘だもんな。――偉いね。意外と考えてるんだな」


 すこし思案したジャンヌが、ぽんっと手を打つ。


「わたしが口利きすれば、開墾された農地を貸してあげられると思いますわ」


「そういやジャンヌの親父さんて、南部の領主でもあるんだっけ」


「ええ、アルストロメリアは肥沃な農耕地が多いですから――」


 それまで、寝台に寝転んでうつらうつらしながら三人の会話を聞いていたアルフラが、突然上体を跳ね起こした。


「どうした? アルフラちゃん?」


 アルフラは答えることなく口を引き結び、気配を探るように壁の一点を見ていた。

 ただならぬ雰囲気を感じさせるアルフラに、シグナム達も息を潜める。


 声をかけることをためらわせるような緊張感が、室内の空気を張り詰めさせていた。


 アルフラは寝台の脇に立てかけてあった細剣を掴み、戸口へと歩み寄る。その手が扉へと伸ばされたのと、外側からノックの音が聞こえたのは、ほぼ同時だった。

 動きを止めたアルフラの前で、静かに扉が開かれる。


「ア、アルフラさん?」


 強張った表情のフレインが、そこに立っていた。

 アルフラの視線は、じっとその胸元へ注がれている。


「……なに? あなた、なにを持ってるの?」


 それは、細く上擦ったような――この中では一番付き合いの長いシグナムでさえ、初めて聞くようなアルフラの声だった。


「あ、あの……」


 緊張した面持ちのフレインが、導衣の中から(てのひら)大の懐紙を取り出す。

 引ったくるような勢いで奪い取ったアルフラが、小刻みに震える指で懐紙を開く。


「なんで……」


 掌の中の銀髪を見詰め、アルフラが低い声で問う。


「なんであんたが白蓮の髪を持ってるのよ!?」


 瞬時に、身震いの来るような冷たさが、室内を支配した。


「こ、これは、白蓮様がアルフラさんに渡してくれ、と……」


「会ったの? 白蓮はどこっ!?」


 他の者が、口を差し挟めない程の剣幕さでアルフラが詰問する。


「あ、あの……アルフラさん、まずは話を――」


「白蓮はどこに居るのかって聞いてるの!!」


 凄まじいまでの怒声が、明け方の宿舎に響き渡った。


「す、すみません! 白蓮様はすでにお帰りになられました」


「な、んですって…………?」


 一瞬、大気が凍りついてしまうのではないか、と思わせるほどの緊張感が走った。

 手を伸ばせば、届く距離にある致死の気配が、フレインの顔から血の気を引かせる。


 もし仮に、アルフラの白蓮への想いがほんの少し薄ければ――わずかでも正気ならば、すでにフレインの命は無かったかもしれない。

 だが、今のアルフラには、路傍の石ころを踏み砕く余裕はなかった。一分の隙もなく、愛しい人の行方だけで、すべての思考が満たされていた。


「どいてっ!!」


 アルフラが戸口に立つフレインの肩に手をかけ、押しのけようとする。


「待って下さい。まずは話を聞いて下さい」


 アルフラの行く手を阻もうとしたフレインへ、シグナムが焦りを帯びた声で命じる。


「フレイン、どけッ!」


 ディース神殿で、凱延に向けられた物と同質の殺気が、アルフラからこぼれ出していた。


「で、ですが……」


 アルフラの右手が、フレインにではなく細剣の柄へ伸ばされたのを見て、シグナムとルゥが走った。


 アルフラの背へ飛びついたルゥが、腕の動きを封じるようにしがみつく。だが、腰を落としたアルフラが、上体の捻りだけでルゥを投げ飛ばす。

 そのままの勢いで抜き打ちされた細剣が白刃を煌めかせた。


「…………ッ……!!」


 あわや、というところでシグナムがフレインの裾を掴み引き倒す。


 弧を描いた刃は、それまでフレインの首が存在した場所を正確に通過し、戸口の木枠に食い込む。

 力任せに薙ぎ払われた細剣は、壁を飴細工のように断ち割り、細かな漆喰(しっくい)の破片を周囲にばら撒いた。


 後も見ずにアルフラは駆け出す。


「待って下さいアルフラさん!」


 制止の声を発したフレインをシグナムが怒鳴りつける。


「馬鹿野郎ッ!! お前、死にたいのか!?」


「え……? あ、ああ。――――し、死んだかと、思いました」


 青ざめた顔で、いまさらながらに震えだしたフレインが、ふらふらと立ち上がった。

 そして、覚束ない足どりで歩きだす。


「待てよ、どこ行くつもりだ?」


「アルフラさんを追わないと……」


「お前……ほんとに殺されるぞ! やめとけ、次は確実に首が飛ぶ」


 心底呆れた顔をしたシグナムが、もっともな忠告をする。


「いえ、私は白蓮様から言伝を(つか)わされています。どうしてもアルフラさんと話をしなければなりません」



 霜が降りそうなほどの寒気に見舞われた室内で、事情を知らぬジャンヌは、何が起こったのか分からずに茫然としていた。





 アルフラの後を追ったフレインたちは、宿舎の入口で途方に暮れるその姿を見つけた。


「アルフラさん! お願いです。話を聞いて下さい」


 昇り始めた明け方の陽光を受け、茜色に(うつ)し出されたアルフラからは、剣呑な怒気が陽炎(かげろう)のように立ち上がっていた。

 振り向いたアルフラが口早に詰問する。


「白蓮はどっちへ行ったのっ!? 東!? 南!? 街道!? それとも丘の方!?」


「お、落ち着いて下さい。その白蓮様から伝言があるのです!」


 アルフラの手に握られた抜き身の細剣が、怒りに呼応し輝きを増す。

 致命的な――比喩ではなく、命へと到りかねない怒りを帯びた鳶色の瞳が、フレインへ据えられる。

 それはアルフラを追って来たシグナムたちが、思わずフレインから身を引いてしまうほどに、致命的な視線だった。


 周囲には騒ぎを聞き付けた多くの戦士や術士たちが集まって来ていた。

 だが、声をかける者も、近づい来る者おらず、すべての者が遠巻きにアルフラの様子をうかがっている。

 常人よりも感覚の鋭い彼らは、今のアルフラが、ガルナで見た凱延よりなお危険な存在なのだと直感していた。


 その中でフレインだけが、土気色をした顔で踏み止まる。


「あ、あの方は――白蓮様は、ふたたびアルフラさんに会うため、この王都に訪れるとおっしゃっていました」


「え……?」


 指向性を持ち、フレインへ注がれていた殺意が、わずかに揺らいだ。


「それまでは、戦いから身を遠ざけ待っていて欲しい、必ずもう一度会いに来るからと、アルフラさんの身を案じておられました」


「白蓮が……あたしの心配してくれてた……?」


「はい」


「ほかにはっ!?」


 渦巻いていた激しい怒気が、希望めいたものへ、殺意が恋慕へとその質を変えていく。


「あたしに会いたがってた? いたわよね!?」


「それはもう、非常に心を痛められているご様子でした」


「じゃあ……」


 和らいでいた怒りが、ふたたび鎌首をもたげる。


「なんで会いに来てくれないのよ! なんであんたとは会って、あたしには――――っ!?」


 どっと汗をかいたフレインが、死相にも近い顔色で言葉に詰まる。


「そ、それは…………白蓮様はこうも言っておられました。今は共に暮らせないが、戦乱が終わればそれを可能に出来るよう、いろいろと考えている、と」


「また一緒に、暮らせるの……?」


 アルフラの視線はフレインを通り過ぎ、遠くに見える幸せな情景に心奪われていた。


「白蓮様は、アルフラさんと共に生きてゆきたいと言われていました。そして、ふたたび王都を訪れるまでは、アルフラさんのことを宜しく頼むと私におっしゃいました」


 その言葉で、アルフラの意識が現実に引き戻される。そして、なにか汚らしい物でも見るかのような目を、フレインへと向ける。


「あんたになんか、よろしくして欲しくないわっ! 顔も見たくない!」


 アルフラが宿舎の戸口に立つフレインへと歩を進める。


「あんただけ白蓮に会って……絶対に許さないんだからっ!!」


 細剣の柄が、容赦なくフレインの胸へ叩きつけられる。


「グ――――ッ!」


 打ち倒されたフレインを、底冷えのする眼差しで睨みつけ、アルフラは吐き捨てた。


「やっぱりあの時……殺しておけばよかった」



 アルフラは後も見ず、宿舎の中へと去っていった。





 胸を押さえうずくまるフレインを、シグナムが肩を貸して助け起こそうとする。


「おい、大丈夫か? 立てるか?」


 苦しげに浅い呼吸を繰り返すフレインが、切れ切れにつぶやく。


「あの、時とは……どういう……」


「あ?」


 苦悶に顔を歪めながらも立ち上がったフレインの口許へ、シグナムが耳を寄せた。


「殺して、おけば……よかったと……アルフラ、さんが……」


「ああ、あれな……」


 すこし言いにくそうに言葉を切り、シグナムは答える。


「お前、最初にアルフラちゃんと会った時のこと、覚えてるか? 魔族の斥候を追ってた時だ」


 言葉を発するだけでも胸部に激痛の走るフレインは、無言でうなずく。


「あの時な、アルフラちゃんはお前が魔族を横取りしに来たんだと思って、すごく邪魔に感じたらしい」


「…………」


「あたしも、ちらっと聞いただけだからよく分からないけど、多分その時のことだと思う」


「そう……ですか……」


 呼吸を整えながら、フレインが呻く。


「私は……初対面の時から、これ以上ないほど嫌われていたのですね……」


 傷が痛むのか、心が痛んだのか、ふたたびフレインが膝を折り、激しく咳込む。


「お、おい! 骨がいってるんじゃないか!?」


 慌ててシグナムがジャンヌを呼ぶ。



「治癒を頼む。肋骨が折れてるかもしれない」

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― 新着の感想 ―
この狂気が良いのだ
[一言] 主人公がゴミクズ過ぎて流石にもう読む気失せたわ
[一言] フレイン…、お前、かわいそうな奴だなぁ
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