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氷の滅慕  作者: SH
三章 死線
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老執事とレディヴァンパイア



 日も沈み、宵闇(よいやみ)静寂(しじま)が辺りを包む夜の中程。高城は細い路地にたたずみ、粗末な一軒家を見つめていた。

 閑散とした住居区のさらに外れに位置するあばら屋。周囲に人の気配はなく、屋内からは淡いカンテラの光がもれこぼれている。



 流れるような足どりで小屋へと近づいた高城は、無造作に扉をノックした。





 水晶球を覗き込んでいた魔導士サダムは、扉の叩かれる音に顔を上げた。

 アルフラの監視を行っている最中だったのだが、周囲には簡素な人払いの結界が張ってある。そのため、常人であればこの小屋に近づこうという考え自体が浮かばないはずであった。

 おそらくはギルドの者なのだろうが、戸外の人物は恐ろしく巧妙に気配を絶っている。よほど隠形(おんぎょう)の術に()けた導士なのだろう、とサダムは当たりをつけた。


「開いておる。入るがいい」


 声をかけると、あまり建て付けのよくない扉が軋む音すら立てず、すうっと開いた。


「失礼します」


 入って来た人物を見たサダムの思考が一瞬混乱する。


――執事?


 なぜ? という思いが先に立つ。背筋を伸ばして美しい立ち姿を見せる初老の紳士は、仕立てのよいスーツにボウタイをしており、年の頃でいえば五十代後半くらいであろうか。


「お前……何者だ?」


 不審に思いはしたが、柔和な笑みを浮かべる老執事から、脅威らしきものは感じられない。


「少々お尋ねしたい事がございましてね」


 サダムの問いを無視して老執事が歩み寄る。

 水晶球を置いた横長のテーブルを挟み、サダムの前に立つ。


「まずはお前が何者なのか、それを語れ」


 椅子に腰掛けたまま、サダムは居丈高に誰何した。目の前の老執事が彼にとって、とても危険な相手だということには気づけない。

 ほとんど魔力らしきものを感じないため、見た目通りの人物だと思っていた。

 なぜ執事がこんな所に来るのだ? という程度の認識しかなかった。


「あなたはここで、何をしていました?」


 ふたたびサダムの問いを無視した老執事が、逆に質問で返す。


「その水晶球で何を覗いていたのですか?」


 ようやくサダムは、目の前の相手が常人ではないのだと理解した。椅子を蹴立てて立ち上がる。


「貴様――――」


「答えなさい。その水晶球で何を、どんな目的で見ていたのですか?」


「貴様はまさか……魔族なのか!?」


 現在、ギルドを慌ただしくさせている魔族たちの話をサダムは思い出した。特に指揮官と(もく)される魔族は、ほぼ完全に気配を絶ち、動員した多くの導士ですら捕捉するに至っていないらしい。

 まさか、という思いが、笑みを深めた老執事の表情から確信へと変わる。


「私はあまり時間がないのですよ。早く質問に答えなければ――」


 その言葉を最後まで聞くことなく、サダムは懐から掌に納まるくらいの布袋を取り出す。その中身は数種の霊草の根を擦り潰し、魔力を篭めた粉末だ。

 サダムは魔術的な封を施された袋の口紐を解き、それを老執事の足元へ投げつけた。魔力を帯びた粉末を触媒(しょくばい)として、無詠唱で魔術を行使するためである。


 ごとり、と妙に重い音が響いた。手首にちりちりとした痛みが走る。一瞬遅れて飛沫(しぶき)をあげた血潮が頬に跳ねた。


「あ――――?」


 呆然と床に転がったみずからの右手を眺め、サダムは間の抜けた声を出した。

 徐々に――焼けるような痛みが、切断された手首の断面を蝕む。


「グッ!」


 老執事はさきほどから一歩も動いていない。その両腕は後ろ手に腰へと組まれていた。そして呆れた表情で(さと)すように告げる。


「人の話は最後まで聞きなさい。質問に答えなければ、次は首を落とします」


 痛みと驚愕に目を見開いたサダムの顔が恐怖に歪む。

 自分が何をされたのか分からなかったのだ。おそらく、老執事の言葉通り首を落とされたとしても理解出来ないだろう。ただそれだけが理解出来た。


「手と違って、首は一つしかありません。それはあなたにとって、とても大切な物だと思いますよ?」


 老執事の問いには、サダムも同意見だった。その口も、これ以上はないというほど滑らかに回りだす。


「私はギルドから、アルフラという少女の監視を命じられたのだ。場合によっては、その命を()てと」


「命を、絶て?」


 老執事の物腰が激変する。肌に痛みを覚えるほどの尋常ではない殺意が、指向性を持ってサダムへと伸ばされていた。

 自分の答えが老執事の逆鱗に触れてしまったのだと悟り、サダムは慌てて言葉を(つな)ぐ。


「待ってくれ! あくまでも場合によってはだ。その裁量は私に任されている。もちろんそんな事をするつもりはない!」


 老執事の目が細まる。


「ほ、本当だッ。それに私を殺しても、また別の者が監視を命じられるだけだ」


「あなたを殺してもなにも変わらない、と?」


「そうだ。その通りだ」


「ならばあなたを生かしておいても、なにも変わらないという事になりますね」


「い、いや、頼む! 命を助けてくれれば、あの少女に決して手は出さんと誓う!」


 サダムは己の首筋の辺りで、かすかな空気の流れを感じた。

 全身から冷や汗が吹き出し、極度の緊張に身を(すく)み上がらせる。


「まま、待ってくれ! 私は――私達魔術士ギルドは魔王雷鴉様と契約を結んでおるのだぞ!! お前も魔族であるなら知っておろう? 中央の盟主たる、あの雷鴉様だ! もし私を殺せば、雷鴉様の盟友を殺すという事になるのだぞッ」


 老執事の眉間に深いシワが寄る。

 恐怖と痛みとに大量の汗を流すサダムが、一歩身を引いた。


「……それは、なかなか面白い話ですね。その調子で契約とやらについて喋りなさい。お前の話にそれだけの価値があると判断すれば、お前の首が落ちる心配も不要となるでしょう」


「わ、わかった! ギルドは数年前から雷鴉様と契約を結んでいるのだ。我々の持つ魔術体系の奥義と引き換えに、爵位の魔族を一人いただいた。今でも数ヶ月に一度は召喚の儀を()り行い、雷鴉様との友好関係は続いている」


 一気にまくし立てたサダムへ、老執事がさらに問いかける。


「他にはどのような取り決めを?」


「現在雷鴉様は、西方大陸に存在する純血の古代人種をお求めだ。その見返りとして、来るべき魔族との戦いの後、このレギウス教国の人間による自治権を認めてくれている」


「なるほど、実に興味深い話だ。もう少し詳しく話していただきましょうか。なに、心配はいりません。まずはその手を拾いなさい」


 よく磨き込まれた黒い革靴で、床に転がるサダムの右手を指し示す。



「綺麗に切断しておきましたので、神殿に持っていけば、すぐ元通りにしてくれるでしょう」





 話をあらかた聞き終えた高城は、魔導士へ釘を刺す。


「あなたを生かしておく代わりに、条件が二つあります。まず一つは、あなたが監視している少女に決して危害を加えないこと。もう一つは、今日ここで私となされた話を他言しないこと」


「わ、わかった。約束する」


「あなたには見張りをつけておきましょう。私同様、気配を絶つ(すべ)に長けた者です。もし、私との約束を(たが)えれば、もちろんあなたは首を失います」


「絶対に約束は破らない! 信じてくれ」


 魔導士の泣き出しそうなほどに怯えた顔を見て、高城も満足する。決して信用した訳ではない。だが、この小心そうな男なら、よほどの事がなければみずからの命を危険に晒そうとは思わないだろう。


「いいでしょう。では、私はこれで失礼しますよ」


 魔導士の前で無防備に背を向け、扉へと歩く。が、高城の見立て通り、魔導士はなんの動きも見せなかった。


 屋外へ出た高城は、間者たちと落ち合う予定の廃屋へと向かう。歩を進めながら、今後の展望について思案を巡らせていた。


 雷鴉についての情報は、魔導士もあまり詳しくは知らぬようであった。

 ギルドは魔族や古代人種の血を使い、なにやら怪しげな実験を行っているらしい。それ自体は高城にとってどうでもよいことだ。しかし、雷鴉とギルドが繋がっているという事態は、かなりの大事である。

 もし戦禍がこのことを知らない場合、中央の盟主が主君である魔皇には内密で、人間たちと通じていることになる。


 それは明らかな裏切りだ。


 高城は思わぬ所で、魔族の権力構造をも揺るがしかねない情報を入手してしまった。

 事の重大さを考えれば、裏を取っておく必要性がある。


 これから合流する凱延(がいえん)の部下にも、なんらかの手を打たねばならないだろう。


 アルフラが魔術士ギルドの関係者らしいということは、すでに他の間者へも伝えられている可能性が高い。彼等が同僚の死とアルフラを関連付けて考え、それを凱延へ報告すれば、かなりまずいことになる。

 灰塚から借りた間者にしても同じだ。どこからどう情報が拡散するか分かったものではない。


 この王都で間者たちが知った情報は、アルフラの身を危険に晒すだろう。

 それは、後顧の憂いとなりえる。


――場合によっては彼等の口を……


 アルフラのことを考えれば、一刻も早く皇城へ帰還したいのだが、現状は問題が山積みだ。高城には雇い主から命じられた、神殿の動きを探るという仕事もある。


 つらつらと考えをまとめながら、大広場を突っ切ろうとした時、合流場所の廃屋へ向かったはずの間者たちの気配を感じた。


「…………?」


 噴水の前に(たたず)む三人の人影へ近づく。そこは、何か不測の事態が起きた場合に指定した集合場所だった。


「なにかあったのですか?」


 三人はいずれも灰塚の配下の者であった。凱延の部下は二人とも居ない。


「高城殿。魔術士ギルドの見張りについていた者たちの所在が掴めなくなっています。ですので廃屋へ戻ることなく、ここでお待ちしておりました」


「それは…………ッ!」


 口を開いた高城は、新たに複数の気配を感じた。遠方からこの場に近づいてくる、おそらくは魔術師らしき気配。


――数が多い。それに、この妖気は……


「高城殿、どうなさいました?」


「いえ、なんでもありません」


――一定の距離を置き、気配を殺してこちらをうかがっている?


「あなた方三人は一度ガルナへと戻り、あちらに置いてきた者達と合流して下さい」


「かしこまりました」


 指示を出しながらも、魔術師たちが展開する気配が伝わってくる。


――この広場を包囲しようとしているのか


「……これは?」


 間者たちも魔術師の存在を気取(けど)ったようだ。


「問題ありません。――ところで、あなた達が任務を終えて帰還したのち、紅武城(こうぶじょう)の留守を預かる磁朋(じほう)将軍へ、任務中に見聞きした情報を報告する義務がありますね?」


「はい、おっしゃられる通りです」


 周囲を警戒するそぶりを見せながらも、間者は落ち着いた様子で答えた。かなり多くの魔術師たちに包囲されていると気づきながらも、焦りの色は見られない。


 やはり、この者達は優秀だ、と高城は思う。殺すには惜しい、と。


「もし、私がこの王都での出来事を、誰にも話さぬよう命じた場合はどうなります?」


「それは無理です――ただ、灰塚様の使者からは、高城殿の命は灰塚様の命と思え、と伝えられております。ですので灰塚様以外には報告しない、という事ならば可能です」


 なるほど、と高城は一つ頷く。


――ならば、奥様から灰塚様にお話しいただければ、悪い方には転がるまい……灰塚様には本当に感謝せねば……


 あとは行方の知れない凱延の配下をどうしたものか、と考えだした高城へ、間者たちが警戒の声を上げた。


「高城殿ッ!」


「大丈夫、わかっておりますよ」


 高城たちを取り囲むように、七人の抜刀した戦士が包囲の輪を狭めて来ていた。


「あなた達は交戦することなく、このままガルナへ向かい、あちらに置いてきた者と合流なさい。私も一仕事終えてから、すぐ後を追います」


 間者たちは一瞬だけお互いの目を見交わし、了承の意を返した。


 しかし……


「呆れたもんだね。何をのんきにお喋りしてるのかと思えば、逃げ出す算段かい?」


 しっとりとした女の声が響いた。

 高城たちの目の前に、まるで闇が凝り固まるかの如く、一人の女魔導師が姿を現す。


「とっくにね、二十人からの導士が闇に紛れて、お前達を取り囲んでるんだよ」


 凄まじい妖気を身にまとった人外の女魔導師は、楽しげに笑う。


「なるほど、妙な気配が交じっていると思えば、どうりで……。構いません、あなた達は行きなさい」


「はっ!」


 間者たちがそれぞれ別々の方向へと散る。


「この私から逃げられるとでも思ってるのかいっ!?」


「この私を前にして、追えると思っているのですか?」


 強い、風が吹いた。

 周囲の空気が渦を巻き、気流が(はげ)しい気圧差を生み出す。

 強風に煽られ、黒い外套をはためかせて後退(あとずさ)った女魔導師の頬が、ぱっくりと裂けた。


「くッ――!?」


 しかし、その傷口からは血ではなく白煙があがり、見る間に再生していく。


「動かない方がいい。妙齢のご婦人が細切れとなる(さま)を見るのは、私としても忍びないですからね」


 その言葉が終わらぬ内に、周囲から苦悶の叫びが複数上がった。

 かまいたちと呼ばれる現象を、さらに強化したものだ。広範囲に渡る大気の断層が、闇に潜んだ魔導士たちの体を容易に引き裂く。

 この広場一帯は、すでに高城が掌握していた。彼の許しがなければ、誰一人として指一本動かす事は出来ない。それどころか、その命すら意のままだ。――目の前の、強力な妖気をまとった女以外は。


 無数の大気の刃をその身に受け、体中から白煙を吹き上げながらも、女魔導師は状況を見極めようとするかのごとく周囲を見回す。


「これは――!? 動くな! 誰も動くんじゃないよ!!」


「賢明な判断ですな」


 動きを封じられた女魔導師が、凄まじい目つきで高城を睨みつける。


 その瞳が、赤々と輝いた。


 妖魅の魔眼――高位の吸血鬼が持つ、魅了、呪縛、麻痺、神経衰弱、体機能低下といった様々な効果をもたらす、恐るべき魔力を宿した妖視だ。

 魔族といえど、その妖魅の瞳に抗うには相当な精神力と魔力が必要だろう。


 だが、視線に秘められた魔力を軽くいなし、高城は落ち着いた様子で女魔導師を観察する。

 二十代半ばほどの妖艶な美女ではあるが、その身から発する強い妖気は、人のものでは有り得なかった。並の魔族では及びもつかないほどの魔力を感じることからも、それは間違いないだろう。


「すみません。さきほどの言葉は訂正しましょう。――あなたを刻むのは、なかなか骨が折れそうだ。しかし、周囲を固める魔導士たちは、存外脆そうですな」


「くッ――貴様はいったい何者だ! これほどの力を持つ魔族が、なぜこの王都へ!?」


 高城は目の前の女が多数の魔導士を従えていることから、おそらくギルド内でも高い地位を持つ者だろうと想像した。

 先刻入手した情報の裏付けを取るには、適した相手といえる。


「私はね、あなた方と敵対する者ではありませんよ」


「なにを()れ言を!」


「雷鴉様を、ご存知ですね?」


 明らかな動揺を見せる女へ、高城はさらに告げる。


「私はさるお方の密命を受け、皇城からこの王都へとやって来たのですよ」


「それは……?」


「あなたならご存知ですよね? 魔族の領域中央に位置する皇城のことを。そして、その中央の盟主が誰であるかも」


「まさか、お前は雷鴉様の……」


 望みの反応が返ってきた。雷鴉は黒だ。そう高城は判断した。


「言ったでしょう? “密命”を受けた、と。主の名を明かすことは出来ません」


 おちゃめなところのある高城は、嘘はついてませんよ、と内心で舌を出す。


「お分かりいただけましたか? 我々が争う理由がないことを」


「し、しかし、なぜ雷鴉様がそのようなことを……?」


「契約相手の素行を調べることなど、あなた達人間でもやっている事なのではないですか?」


 人間を辞めて久しいであろう女は納得がいかないといった顔で問い返す。


「なら、さっきの魔族はなんなんだい!? あの二人は凱延の手下だと言っていたよ」


 行方が分からくなっていた二人の間者。その居場所を、この女魔導師が知っているのだと高城は悟る。


「……ほう。あなたはどうやって彼等の口を割らせたのですか?」


「こっちの質問が先だ」


「我が主は灰塚様と懇意にしております。ですから数名の手勢をお借りしただけですよ」


 警戒しながらも臨戦態勢を解いた女が、高城の言葉を信じてよいものかと思案する。


「次は私の質問に答えて貰いましょう。凱延殿から借りた二人の間者をどうしました?」


「……殺したわ。でも雷鴉様に刃向かうつもりでやった訳ではない。奴らは雷鴉様のことなんて一言も言ってなかったから……」


 女は、もし高城が本当に雷鴉の部下だった場合を考え、かなりまずい事をしてしまったのではないか、といった表情で言いよどむ。


「いえいえ。それは構いませんよ。むしろ手間が省けました」


「どういう意味だい?」


 高城は口元をほころばせる。気の進まぬ仕事が知らぬ間に解決していたのだ。


 雷鴉の叛意(ほんい)も確認出来た。それを土産にすれば、神殿を探るという任務の代わりになるだろう。そちらはおいおい、ガルナへ向かわせた間者たちを呼び戻し、彼等に任せてもいい。


 山積みだったはずの問題が、このわずかの間で一気に解決していた。


「あなた達と私の利害は、それほど遠くないところにある。そういう事ですよ。……さて、そろそろおいとま願ってもよろしいでしょうか?」


「ちょっとお待ちよ! こっちにはまだ聞きたいことが――」


「私はこう見えてなかなかに多忙な身なのですよ。それとも、力づくで口を割らせてみますか?」


 これみよがしに周囲を魔風が吹き荒れる。あらゆる角度から命を刈り取ろうとする大気の刃が、広場に存在する者全員の胆を冷やした。


「私はね、逃げると言っている訳ではないのですよ? むしろ、あなた達を見逃してやろうと言っているのです」


「くっ……」


 まるで石像と化したかのように動けないでいる戦士たち。高城はその間を悠然と歩み抜ける。


「そうそう。しばらくの間、私の手勢がこの王都で活動を行います。なるべく目立たぬように伝えておくので、その辺りは見て見ぬふりをしてやって下さい」


 なおも恨みがましい目を向けてくる女へ、高城は軽く一礼し、親しげな笑みを浮かべた。


「なあに、あなた方の不利益になるような事はいたしませんよ。ご安心下さい」



 それだけを言い残し、高城はガルナへと向かった間者たちの後を追った。

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[良い点] 高城が強いの嬉しい
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