誰彼刻 誰も彼もを血に染めて(前)
修練場で向き合う二人は、拳を構えたまま互いに間合いを計る。
ジャンヌはシグナムを相手に善戦していた。すでにいくつもの拳打を浴びせ、対して自身の被弾はまったくの皆無。しかしここにきて、彼我の体力差が如実にあらわれ始めている。
息の上がり始めたジャンヌは摺り足で後退しながら呼吸を整える。その時間をシグナムがわざと与えてくれていることには気づいていた。だが、持ち前の身軽さで避けつづけることもそろそろ限界だ。足腰の踏ん張りがきくうちに、勝負へ出るべきだろう。
じりと、ジャンヌが間合いを詰めた出足を挫くように、シグナムが口を開いた。
「ルゥから聞いたぞ。カミルがお前の名前を呼びながら、アレしてたらしいな」
「――!?」
言葉で機先を制したシグナムが一気に踏み込む。
反射的に繰り出された右の直突きは、分厚い肩の筋肉にはばまれる。そのまま勢いを殺さずジャンヌの腹に当て身が入れられた。
「ッ――」
鋭く呼気を漏らして神官娘は体を折った。なんとか踏みとどまろうとするが、堪えきれずにすとんと膝が落ちる。
「しばらくは立てないはずだ。すこし寝てろ」
顔を軽く押されると、それだけでジャンヌは地面に倒れ伏した。
「い、いまのは……ずるい、ですわ……」
水月を強かに打たれたジャンヌは、腹を押さえてだらだらとあぶら汗を流していた。
「戦場でそれが通じると思うか? 気を抜くほうが悪いんだよ」
ジャンヌは悔しげに顔をそむける。乱れた神官服の裾が、内腿のあやうい辺りまでめくれ上がっていた。
苦悶に眉根を寄せたその姿は、どこか情交の快楽に表情をゆがめる女の貌を連想させた。
すべらかな肌に浮いた珠の汗もみょうに艶かしい。
シグナムは同性でありながらも、なにかいけないものを見てしまった気分となり、思わず視線をそらしてしまう。
「なんかお前……最近無駄にエロいな……」
「は……?」
「やっぱりカミルとなにかあっただろ?」
シグナムは、そっぽを向いて黙秘権を行使するジャンヌの隣に腰をおろす。
「負けたら話す約束だったよな。あきらめろ」
「くっ……」
不本意そうなうめき声をあげながらも、神官娘はカミルとの一件を語りはじめた。
冷やかすような目で聴いていたシグナムであったが、話が進むにつれ徐々に表情が厳しいものへと変わってくる。
「……てことは、あれか? この戦いが終わったら結婚しようって約束をしちまったのか?」
「ええ。平たく言えば、そういうことになるかと……」
ほんのりと頬を紅潮させたジャンヌを見て、シグナムは苦い顔をする。
「いや、そりゃまずいだろ」
「え……なぜですか?」
「その手の約束をした奴はだいたい死ぬ。あたしら傭兵の有名な縁起担ぎだ」
「縁起担ぎ? ですがそれは、迷信のようなものなのですよね? わたしには武神の加護がありますから関係ありませんわ」
からからと笑いとばした神官娘へ、いつになく真剣な眼差しが向けられる。
「それがな、一概に迷信だとも言えないんだ」
「なにか根拠があるのですか?」
「考えてもみろよ。これから殺し合いをするってのに、戦いが終わった後のことを呑気に夢想してるような奴が、生き残れると思うか?」
「それは……」
「将来的な幸せが約束されてれば、誰だって死ぬのが怖くなる。そうすると戦いの最中に恐怖で体が竦むことだってある。……そういう奴はね、命のやり取りをする場では、びっくりするほどよく死ぬんだ」
ジャンヌはこわばった顔でシグナムを見上げる。
「とくに、色恋なんかにうつつを抜かしてるようだと、まず生き残れない。それは分かるだろ?」
「……そういえば、ダレス神の教えの中にもこういった言葉があります。――命を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、と」
「へえ……お前んとこの神様も、たまにはいいこと言うんだな。あたしがこの前、カミルと結ばれとけって言ったのには、ちゃんと意味があったんだぜ?」
からかうふうでもなく、シグナムは真顔でジャンヌに告げる。
「戦いの前には、なるべく心残りを無くしておいた方がいい。じゃないとお前……ほんとに死ぬぞ」
「あ……わたし、カミルのところへ行ってきます!」
立ち上がろうとしたジャンヌだったが、片膝をついた姿勢で腹を押さえてうずくまってしまう。
「しばらく立てないって言ったろ? もうすこし休んでろ」
それきりシグナムは口を閉ざし、沈みゆく夕陽を遠く眺めた。
魔術士の塔から泣きながら駆け去る狼少女を、カミルはきょとんと見送っていた。
「……ルゥさん?」
すぐにその姿は見えなくなり、見習い術士は小首をかしげる。
「どうしたんだろ……」
ルゥのことも気になるが、当面カミルにはアルフラの食事を運ぶという仕事がある。とりあえず厨房へ行ってみると、すでに料理はルゥが運んだと気の良いおばさんから教えられた。
カミルはルゥが泣いていたのを思い出して、すこし心配になり小走りでアルフラの部屋へ向かう。すると、扉は開けられたまま、床にはまだ湯気を上げている食器が置かれていた。
「それ、はやく運んで」
室内からアルフラの声が聞こえた。
「はい、いまお持ちしますね」
やや不可解に思いながらも、カミルはいつものひとなつっこい笑顔で食器を手に取る。
なんら迷いもなく部屋へ入って来た見習い術士に、アルフラはうっすらとほくそ笑んだ。
寝台の横に食器を置いたとき、ひんやりとした手がカミルに触れた。
「アルフラさん……?」
まず感じたのは、こんなに体が冷えてしまって可哀想だな、寒くはないのかな、ということだった。
そんなことを思っている内に、強い力で腕を引かれる。
「わわっ……ど、どうしたんですか!?」
寝台に引き倒されたカミルの背後から、包帯に覆われた腕が回された。
うしろから抱きすくめられる形となり、カミルは狼狽の声をあげる。
「な、なにを……」
慌てて身を起こそうとした耳許に、アルフラのつめたい吐息がかかる。
びくりとすくめた首筋に、ぬめる湿った舌先が触れた。
「ひぁ!? ア、アルフラさん!?」
混乱を見せるカミルには構わず、アルフラの手は薄い胸元を撫ですさる。濡れた舌が首筋を這う。
「あ、ん……だ、だめ、です……」
息も絶え絶えにあられもない声をあげるカミルを見て、アルフラは機嫌良く笑っていた。愛撫でもするかのような手と舌の動きは止まらない。
「……やめ、て……ください」
「どうして?」
「こ、こんなの、だめです」
カミルは胸を押さえつける手を引き剥がして逃れようとする。――だが、腰にはしっかりとアルフラの両足が絡みついていた。
「僕には、ジャンヌさまが……」
「そんなにジャンヌのことが好きなの?」
カミルは苦しげに喘ぎながらも、がくがくとうなずく。その耳をアルフラの笑い声がくすぐる。
「ふふ、ジャンヌなんかより、あたしの方がずっと上手だと思うよ?」
まさぐるように動かされていたアルフラの手が、動きを止めた。
「あはっ、すごい……カミルったら、こんなに熱くてびくびくしてる」
アルフラは目あてのものを探り当てたのだ。
「だ、だめっ……アルフラさん……」
つめたい舌先が、せわしなく脈打つ頸動脈に押しつけられていた。
「そろそろ立てそうか?」
シグナムが修練場に座り込んだジャンヌへと手を差し伸べる。
やや腹部を気にしながらも、神官娘は助けを借りて立ち上がった。
「まだすこし痛みますけど、もう大丈夫です。……あら、ルゥ?」
狼少女がすごい勢いで走って来るのが見えた。
「うわぁぁぁん! おねえちゃーん!!」
遠目からでもよく目立つシグナムの許へ、ルゥは一目散に駈けて来た。しかし、その隣にジャンヌがいることに目ざとく気づくと、進行方向を微修正してダッと飛びつく。
「ジャンヌー!!」
ひらりと体当たりをかわしたジャンヌは、うしろからルゥの体を抱きかかえた。
「どうしたのですか、ルゥ?」
泣きはらした顔をのぞきこんだ神官娘は、その目許を指でぬぐってやる。
「うぇぇぇ、アルフラが! アルフラがね……!!」
ルゥは言葉をつまらせてぐすぐすしゃくりあげる。
「うぅ、うわぁぁん!!」
「もう、いったいなにがあったのですか」
「アルフラちゃんにいじめられたのか?」
シグナムの大きな手が、ルゥの頭をぐりぐりとかいぐる。
大泣きする狼少女に、やれやれ、といった仕草をしつつ、ジャンヌとシグナムは顔を見合わせた。とりあえずルゥが落ち着くのをしばし待つ。
「ほら、もう平気か?」
いくぶん泣き声がかすれ始めたころ、シグナムがルゥの背中を撫でながら尋ねた。
「ぐすっ……うん……」
「それで? アルフラちゃんがどうしたって?」
「あ、あのね、アルフラがね……ボ、ボクのこと、食べようとしたの……」
「……はぁ?」
シグナムはあからさまに、何を言ってるんだ、という顔をした。
「ほ、ほんとだよっ! アルフラ、ぜったいボクのこと食べようとしてたもん」
「いくらアルフラでも、さすがにそれは……」
ジャンヌにまで懐疑的な顔をされてしまい、ルゥはむきになって言いつのる。
「ボク、うそなんてついてない! ほんとなんだから!!」
「いや、べつにルゥが嘘を言ってるなんて思ってないよ」
「すこしアルフラの様子を見に行ってみましょうか。もともと夜にでもおうかがいするつもりでしたし」
ジャンヌの言葉を聞いて、ルゥは涙を散らしてはげしく首を振る。
「や、やだよ! ボク、いきたくない!」
その怯えように、シグナムとジャンヌはふたたび顔を見合わせた。
「……まさか、な」
「ええ……」
シグナムが立ち木に掛けておいた長剣を手に取る。
「とりあえず様子を見に行ってみよう」
「そうですわね」
「い、いくの?」
ジャンヌは抱えたルゥを降ろして、手を繋いでやる。
「大丈夫です。なにも怖いことはありません。ルゥはきっと、なにか思い違いをしているのですよ」
シグナムたちは、いやがるルゥをなだめながら、ギルドへと向かった。その門前が見えてきた辺りで、後ろから来た王宮の御用馬車が一行を追い抜く。しかし馬車はすぐに止まり、中から二人の人影が出てきた。辺りには夕闇が降り始め、人の顔が判別しづらい時間帯である、それでもその二人が、フレインとカダフィーであることはすぐに見分けられた。
「あんた、帰って来てたのか」
シグナムがカダフィーへ顔をしかめてみせる。
「ああ、ついさっきね。ギルドの職員が次々と消えるってんで、すっ飛んできたんだよ」
昼夜を問わず馬車を走らせ帰還した女吸血鬼は、まず第一にフレインの安否を確認するため、王宮へと向かったのだ。
「それで、人狼の嬢ちゃんはどうしたんだい? ずいぶんと泣き腫らしてまあ」
真っ赤になった目許を指でこするルゥに、カダフィーの怪訝そうな目が向けられていた。
「……よくわからないが、アルフラちゃんから食われそうになったらしい」
はっ、とフレインが息を飲む。
「ほらね。私の言った通りだろ。やっぱりあの嬢ちゃんが失踪事件の犯人なんじゃないのかい?」
「いえ、ですが……いくらアルフラさんでも、さすがにそこまでは……」
ギルドへの道すがら、そういった話でもしていたのだろう。カダフィーとフレインが軽く言い合いを始めようとするのを、シグナムが手で制した。
「待て……なんかやけに物々しくないか」
その視線が注がれる先は、魔術士ギルドの正門だった。
数人の術士たちが、いくつもの篝火を据え付ける作業をしている。カダフィーがそちらへと駆け寄った。
「なにがあった?」
「あっ、カダフィー様」
術士たちは女吸血鬼に気づいてぺこぺことお辞儀をし始める。
「いいから、作業を続けな。手を動かしながらでも話はできるだろ。――で、これはなんの騒ぎだい?」
「は、それが……サダム様のご遺体が自室で見つかり――」
「そんな!? なにかの間違いではないのですか!?」
悲鳴にも似た声をフレインが響かせた。それを受け、術士の一人が進み出る。
「あの、私はその場を確認しております。間違いなくあれはサダム様でした」
カダフィーが鋭く問う。
「遺体の状況は?」
「ひどいものでした。狭い戸棚の中に、小さく手足を折り畳まれて無理に押し込めたらしく……」
「血を啜った跡はなかったのかい?」
「……血、ですか? そういえば、首を裂かれていた割には、出血量が妙に少なかったように思えました。最初に見つけた者も、床に付着したわずかな血痕から遺体に気づいたのだとか」
黙り込むシグナムたちの顔をカダフィーが見回す。
「間違いないね。嬢ちゃんだよ、やったのは」
「そんなはずは……」
顔色を青くしたフレインが面を伏せる。
サダムは協力者だ。これまでにも色々と便宜を図ってくれたことはアルフラにも伝えてある。普通であれば、そのサダムをアルフラが害するとは考えにくい。しかし、常人には思いもよらぬことを度々しでかすのがアルフラだ。
「……とりあえず、行ってみよう。アルフラちゃんの部屋に」
「この騒ぎだ。ばか正直に部屋でおねんねしてるとも思えないけどねえ」
「あ……もしかすると居るかもしれません。私はちょうどこのくらいの時間に、アルフラさんと二人で外出する約束をしていました」
「……二人で?」
「はい。シグナムさんたちにも声をかけようと思ったのですが……アルフラさんは呼ばなくていいと」
「お前、それ……」
シグナムが苦虫でも噛み潰したかのような顔をしていた。カダフィーもよく似た表情でフレインの肩を叩く。
「命拾いしたね」
そしてしみじみとつぶやいた。
「今日中に帰って来れてよかった。一日遅けりゃ酷く血色の悪くなったフレイン坊やと対面するはめになってたよ」
「……行こう。急いだほうがよさそうだ」
いち早く駆け出したシグナムのあとをフレインが追う。門を潜りざまにカダフィーが術士へ尋ねた。
「――サリムはどこにいる?」
「敷地内で不審者捜索の指揮を取っているはずですが、場所までは……」
「わかった。戦士達の宿舎に遣いをやって人を集めな。あとの指示はサリムに」
「かしこまりました」
カダフィーと術士のやり取りを横目に、フレインはシグナムを呼び止めて耳打ちする。
「私はサダムの部屋へ向かいます」
フレインは彼が製作した隠形の護符を回収しようと考えていた。その他にも、共にギルドから逃れる算段をしていたサダムの部屋には、人手に渡ると不味い品が残されている可能性もある。
「必要なことを終えたらすぐ合流するつもりです。アルフラさんを宜しくお願いします」
「わかってる」
シグナムは視界の端にカダフィーを見ながら、深くうなずいた。
灯りの落とされたアルフラの部屋に、シグナムが駆け込んだ。通路の壁から拝借したカンテラで薄暗い室内を照らす。すこし遅れてジャンヌとルゥが戸口に現れた。さらにその後ろから走って来たカダフィーは、絹を裂くような絶叫を聞いた。
「あああぁあぁああああ――――――――!! カミル!! カミル――!!」
部屋の中は、むっと鼻をつく血臭に満ちていた。
血塗れの亡骸にとり縋ったジャンヌの、恐ろしい悲鳴が響く。
仰向けに倒れたカミルの目は、虚空を見つめるガラス玉のようだった。首を深く抉られたことが致命傷となったのだろう。
歩み寄ったカダフィーがカミルの顔を撫で、その瞳を閉ざしてやる。
シグナムは傍らで立ち尽くし、ルゥは戸口にしゃがみ込んだまま動かない。
かな切り声を上げつづけるジャンヌの口が、不意に閉ざされた。
ぬくもりの去った遺骸をかき抱き、立ち上がる。
「ああ! 我は願う!!」
「な――!?」
泣き濡れた声で、ジャンヌはその呪文を高らかと詠じ上げた。
「偉大なる法の守護者、神々の王レギウスさま。汝が敬謙なる信徒たることを、わたしは誓いし者です」
室内にゆるやかな風の流れが生じる
周囲の空気が逆巻くのを感じ、シグナムは一歩身を引いた。
悲痛な声が、天上の神々に訴える。
「どうか! ――どうかお聞き届けください!!」
カミルから贈られた護符を握りしめ、ジャンヌは遺骸の胸に押しあてる。
「気持ちは分かるけどさ、無駄なことはおやめよ。カミルはもう死んじまってるんだ」
カダフィーが嘆息まじりに言った。
「だいたいあんたにゃ治癒魔法なんて使えやしない。そのうえ呪文だって無茶苦茶じゃないか」
女吸血鬼の手が、ジャンヌの肩に置かれる。
「その光溢れる神威を持ちて、カミルに聖なる癒しをお施し下さい……」
一心に祈るジャンヌの体が、淡い光輝を纏う。その光が移ったかのように、肩へ触れたカダフィーの手が炎につつまれた。
「クッ!?」
「清廉妙やかなる奇跡の御業を、いま此処に示したまえ!」
ジャンヌの纏う輝きはその光度を増し、女吸血鬼の露出した素肌から白煙が吹き上がった。
「照らせ、神々の威光を」
「――ッ!!」
聖光に焼かれたカダフィーの口から悲鳴が漏れる。
「や、やめ……」
たまらず外套をかき合わせ、カダフィーは溢れかえる光輝に背を向けた。
「快癒!!」
命を失ったカミルの体に光が流れ込んだ。
首に開いた大きな傷が、目に見える早さで塞がっていく。
「……カミル? ああ、カミル!!」
ジャンヌの表情が歓喜に彩られた。
「目を覚まして下さい、カミル……」
みなが息を詰めて二人を注視していた。
仰向いたカミルの額に点々と涙が滴り落ちる。
しかし、いつまで待ってもその瞼が開かれることはなかった。
「お願いです、カミル。早く起きて……」
たとえ遺骸の損傷を修復できたとしても、失われた命は戻らない。
「……カミル……」
亡骸を抱いて震えるジャンヌに、声をかけられる者はいなかった。
「あなたがいつまでも目を閉じていると、わたしはとても不安になってしまうのです。だから、お願い……」
何度も何度も語りかけてはその頬を撫で、冷めきったカミルの体を自身の肌で暖めつづける。
しかし、わかっていたのだ。ジャンヌにも。
死者は決して還らない。
この世の摂理は覆らない。
ただ、認められないだけだった。
――やがて、己の欺瞞に堪えられなくなった頃。その口から低い怨嗟の声が吐き出された。
「アルフラぁぁ……」