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第八話 俺の妹分…だよな?(ラグside)

三回目のラグ君サイドです!


 リコリスを保護してからずっとこんな調子だった。アイツの表情一つで焦ったり、嬉しくなったり……まるで俺が俺でなくなったみたいだった。

 リコリスの生活品を買い揃えて宿に戻る途中、一瞬だけリコリスを見る。十七だと言われたがやはり実年齢よりも幼く見える。リコリスが言うには、彼女の身長は平均はあるらしいから、彼女の世界の人間の身長が伺えてしまう。


「ラグ、宿見えてきたよ!」


 そう言って繋いでいた手を離して宿の方へと走って行く。見た目もそうだがその行動もどこか幼く見える原因かもしれないな。


「ラグー!!早く早く」

「あぁ、今行くから待ってろ!」


 無邪気に笑う彼女が可愛いくて仕方がなかった。俺自身妹も弟もいたけれど、いっつもいがみ合っていたような気がする。


『きっと俺はこんな妹が欲しかったのかもしれない』


 そう思い込んで上手く丸め込んだものの、やはりと言うべきか腑に落ちない所があった。

 何故、リコリスの笑顔を見る度に心臓が跳ねるのか。何故、リコリスの行動で俺の顔が熱くなるのか。何故、


………リコリスと離れたくないのか。





=================




 夜、明日の予定を伝えるべくリコリスの部屋を訪れたのだが…。


コンコンッ


「リコリス、ラグだ。開けてくれ」


 リコリスからの返事が全く無かったから、心配で合い鍵をわざわざ借りて来て部屋に入る。

 結果的には俺の取り越し苦労だった。リコリスは風呂からあがって部屋へ戻って来た後、そのまま寝てしまったらしい。

 ドアストッパーでドアを開けた状態で止めてリコリスの所まで寄る。

 気持ち良さそうに寝息を立てて寝ているのをそっと眺める。不意に俺の顔が綻んでいるのに気づき、驚いた、がすぐにいつもどうりに戻す。

 彼女の顔にかかった髪をそっとはらって彼女の頭を撫でる。


「お休み、リコリス」


 そっと彼女に告げて部屋を出た。

 明日はリコリスを連れて王都のギルドに仕事を探しに行こうと思う。きっとリコリスは此処よりも大きな街を見たらきっとはしゃぐと思う。想像するだけでも心が弾んだ。

 でも、上手く逃げ切れるのか?王都はあの人がいる所だ。見つかったら俺だけじゃなくてリコリスも何をされるか分からない。

 いつの間にか、俺自身の事ではなくリコリスの安否を心配していた。



『…当たり前か。だってリコリスは俺の妹分だから』



 たった一日しか一緒に過ごしていないのにリコリスを大切に思ってる自分がいた。




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