第六話 街に着きました。
目的地のファージという街に着いたのは真夜中だった。
真夜中って聞くと同年代の某アイドルグループのあの曲とか、某忍者少年のアニメのエンディングとかを思い出す。JーPOPが好きだった私は、つい数時間前のことなのに思い出しただけで郷愁にかられていた。
そんな顔をしていたのか、ラグが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「だ、大丈夫、大丈夫!ちょっと馴れない所来て今後一人になった時大丈夫か心配になっただけだから!」
「本当か?それともうそんな先のこと考えてんのか?当分はそんなことねぇからもっと気楽にいけよ」
何だか見透かされてる気もするけど、それ以上に呆れられてるような気がする。
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宿の受け付けを済ませたラグが私の所へ戻って来た。二つ持っている鍵のうちの一つを私に渡して、部屋まで連れて行ってくれた。ラグは隣の部屋にいるらしい。
今日は色々あったから凄く疲れてたみたい。せめてブレザーぐらい脱げば良いものをベッドにダイブした瞬間に寝てしまった。
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次の日、朝日と共にラグに起こされた。元いた世界では、家から高校が近かったから冬でも起きた時には既に朝だったんだよね…。お陰で凄く眠い………。
最初に連れて来られたのが婦人服屋だった。お金についてある程度の知識を教えてもらい、お金をもらってラグには外で待ってもらった。
「いらっしゃいませ!!」
うん、どの世界でも挨拶と営業スマイルは大切みたい。
そんなことを考えながら手っ取り早く服を選んだ。
ラグと一緒に旅をするんだからと動きやすさを重視してズボンにする。女の傭兵もいるから女性用のズボンもあるんだって!!
上下三着ずつプラス寝間着を買ってそのうちの一着をその場で着て外へ出た。
今の私は、白のブラウスに茶色のボタン付きベスト、赤の細いリボンタイにズボンもブーツカットの茶色の長ズボン。
「ごめんラグ、待たせちゃった?」
急いで私はラグの元へ駆け寄る。ラグは、そんな私のことを微笑ましそうに見ていた。
「いや、そんな…って言いたいとこだけど、ちょっと長いような気がしたから待ってる間に俺の用事も済ませて来ちまった」
「え!?結構待ったって事だよね?ごめん…」
「大丈夫だって、そんな落ち込むなよ!クスッ…リコリスってそういう所が可愛いよな」
そう言って私の頭を撫でるラグ。昔よく兄がやってくれていたそれは何だか心地良かった。
「うん、十二歳くらいの妹がいるっていうのも何か良いかもな」
「へ!?」
ラグの発言に驚いた。今、十二って言ったよね?あれ?まさかとは思うけど………。
「ねぇラグ、私って何歳に見える?」
「え、十二だろ?」
うん、やっぱりそうだ。間違われてる。あ、でも反応面白そう!
「私、十七だよ」
「えっ…………」
はい、凄くあっけらかんとした顔をしました。
…………こりゃ、誤解を解くのが大変そうです。