閑話 ルキアとクリスマス(ルキア side)
クリスマス特別閑話その2です。
ラグの奴はコートを着るなり出かけてしまった。もしかしたらアイツもクリスマスの事を知ってるのかもしれない。
「今は何もできないからちょっと寝てるね」
「あ、あぁ」
そう言うなり高梨は自分の部屋へ戻ってしまった。
本当にやることがなくなってしまった。仕方なくベッドに寝っ転がってぼうっとしてたけど、クリスマスから連想してあるものを思いついた。
ベッドから飛び起きるなり、コートをひっつかんで走りながら着込む。
商店街で必要な材料を買って宿に戻った俺は、宿屋の厨房を借りて早速作業に取りかかった。
「アイツ等、どんな顔するかな?」
そんな事を思いながら、生地を作っていた。
実はこうやってケーキを焼くの初めてじゃないんだよな。
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「ルキア、ケーキ作るの手伝って!」
「はーい!」
当時まだ五歳だった俺はプレゼントの他に母さんとクリスマスケーキを作るのが楽しみだった。
確か、七歳の時にブッシュドノエルを作った気がする。
一生懸命生地を混ぜたり、悪戯でチョコクリームを舐めたり、クリームを塗ってロール状に丸めたり…。
母さんと作るのがとても楽しかった。
「お兄ちゃん、美味しい!」
「ルキアは上手いな」
「ルキアは将来はパティシエかしら?」
家族に誉められて、凄く照れくさかったけど同じくらい嬉しかったのも覚えてる。
俺が菓子作り魂に目覚めたのもこの時期だった。
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昔の事を思い出してたらいい匂いがしてきたからオーブンの様子を見た。良い色になっていたのを見てそろそろ取り出しても良いと思う頃だった。
昔作ったようにスポンジにクリームを塗って、ロール状に丸めて………。飾りをつけたら出来上がりだ!うん、我ながら上手く作れていると思う。母さんと作った時よりも美味そうに見えるのは自惚れだろうか。
調子に乗ってクリスマス料理も次々と作っていく。シャンパンはどうしようもないから買ってきたけど。
作り終わる頃にラグが帰って来た。
「おいルキア、これ何だよ!」
「俺達の世界では今日“クリスマス”っていうイベントがあってさ。その特別ディナーだよ。部屋に持って行くの手伝ってくんない?」
「荷物置いたらな。クリスマスのことならシオンに聞いたことがある」
なんだ、やっぱり知ってたんだ。でもこうやって祝うのは初めてみたいだからパァっとやってやろうじゃないか。
クリスマスパーティーが初めてのラグとまだ寝てるであろう高梨の反応がどんなか凄く楽しみで準備中ずっとクスクス笑っていた。
ちなみに
「お兄ちゃん、美味しい!」
と言っていたのは弟です。そのうちその話しも。
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