第二十話 チートじみてるのは兄だけではありませんでした。
更新遅くなってごめんなさい(T^T)
定テでした。
「うわぁ…」
目を恐る恐る開けるとさっきの禍々しいのとは打って変わって神秘的な明るい森が私の目の前に現れていた。
「綺麗!」
「リコリス!」
少し離れた所にいたラグがこちらへ駆け寄ってきて…
「全く…心配したんだぞ……」
力一杯抱きしめてきた。ラグの力が強くて私はもがいてやっと顔だけ出すことができた。けれど、ラグは未だに私から離れそうになかった。
「ええと、ラグさん、苦しいんですけど…」
「ああ、悪ぃ」
そう言ってラグはやっと離してくれた。あれ?顔赤いよ。ラグ、熱あるの?
顔を逸らしてたラグが、何かに気づいて長剣の柄に手を掛けた。私もサーベルの柄に手を掛けるとラグと同じ方向を向いた。
「どうか警戒を解いて下さい」
私達が警戒してた方から、優しそうな温かい声が聞こえてきた。
完全ではないけれど、警戒を解いてサーベルの柄から手を外した。ラグも手を外したけど、殺気のようなものを未だに放っていた。それでも充分怖いよ、ラグ君…。
奥から現れて来たのは、夜のような藍色の瞳で綺麗な緑色の長い髪を上の方で一つにまとめて一種の芸術品とも言えるような髪飾りをつけている女の人だった。もちろん美人さんだ。
………私が男だったら速攻アウトだったな。
女の人の両隣には銀狼が二匹、彼女を守るように立っていた。
「お初にお目にかかります、『紅蓮』ラグナス様、“巫女姫”様」
私の頭には、大量の疑問符がついた。ラグナスって誰?え、巫女姫?
なんとなくラグを見た。ラグは正面を向いたまま顔を青くして驚いて固まっていた。驚いてた顔は段々と険しい表情に変わる。
「何故、俺の本名を知っている?」
「え!?ラグナスってラグの本名なの?」
「おいおい、この流れで気づかねーのかよ…」
「分かる訳無いじゃん!」
結局、私のボケでこの場の緊張感がどこぞへやらと吹き飛んでしまった。
ラグもといラグナス……うん、馴れてるし、呼びやすいからラグのままでいいや。ラグは自分の額に手を当てて溜め息をついた。
それを見ていた女の人は私達を見て声を押し止めて笑っていた。
「ふふ……申し訳ございませんでした。改めまして自己紹介をさせて頂きます、私はシルフィーユ、風の上位精霊でこの森を統治する者です」
そう言うと、女の人…シルフィーユさんは優雅に礼をした。このひと、精霊だったんだね……。更にシルフィーユさんは話しを続ける。
「それでは、何故私がラグナス様のお名前を存じていることについてですが、私は風の上位精霊。他の風の精霊達に話しを聞いておりましたから、あなたがどんな道を歩んで来たのか知っていますの」
ラグは納得したように何度も頷いてシルフィーユさんの話しを聞いてた。私も“ラグナス”のことは納得した。だけど、さっきから気になっていたもう一つの単語“巫女姫”は一体何を示しているのか検討が全くつかない。
「あのー、“巫女姫”って」
「貴女のことです、賢帝の妹さん。まだハルディリカ様…貴女のご友人の遥様からはまだ何も伺っていらっしゃっていないのですか?」
何のことですか?と聞く前に答てくれた。あれ?遥の名前が何か長くなかった?………って、そ・う・じゃ・な・く・て、私が“巫女姫”!?何それ、美味しいの!?………………はい、ごめんなさい。混乱してます。
シルフィーユさんの答えを聞いたラグが代弁してくれるように聞いた。ただ単にラグも驚いてるだけなんだけど……。
「リコリスが巫女姫ってどういうことだよ!そもそも、巫女姫って何なんだ?」
藍色の瞳からさっきの柔らかい雰囲気が消え、真剣そのものが露わになった。纏った雰囲気も威厳があるように見える。
「巫女姫とは、この世界と平行に存在する世界に生まれた者で唯一単独でこの世界を覆う結界“世界壁”を貼れる方のことで、巫女姫が持つ魔力は無限と言われています。先ほどの浄化の魔法で確信致しました」
ラグと顔を見合わせる。ええと、それって私もというよりも私の知り合いってチートじみてるんですね……。
じゃなくて!私の特殊能力は一体何のバグ現象ですか!?
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