第十九話 精霊の森で。
投稿が遅くなってごめんなさい(T^T)
結局、私の世界にいた時の兄の話しができなかった。ラグの驚いた顔が見れなかったのが残念だよ。
「それじゃあ、リコリス入るぞ」
「うん」
私達は神聖な筈なのにどこか暗い森の中へと入っていった。
森の中へ入って行って、私達は愕然とした。とても幻想的な筈なそこは、黒に近い紫色の霧が禍々しさを醸し出していて近寄りがたい雰囲気だった。
その雰囲気のせいなのか無意識のうちに一歩下がってしまった私の手をラグはぎゅっと握ってくれたけど、微かにラグの手は震えていた。
意外だった。やっぱりラグにも怖いものがあると思うと何故だかほっとしてる私がいた。
ラグと私の目が合って、お互いに微笑んで頷く。そして、私達は手を堅く繋いだまま森の奥を目指した。
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「岩よ、彼の者を砕け『ロックシュート』!」
私の目の前に魔法陣が展開されてそこから十数個の拳くらいの大きさの岩が生成された。
「行け!」
号令と共に開いている左手を相手の方へ突き出すと拳くらいの岩は突き出した方へ飛んで行った。
紫色の水晶が集合したような魔物エレメントは私の放った岩の飛礫に当たって、次々に砕け散った。
エレメントは属性で色が別れていて、赤が炎、青が水、今倒した紫が雷、橙が地、緑が風、黄色に近い白が光、紺に近い黒が闇、色が無くて透明なのが無なんだとか。もっとも、光、闇、無についてはめったにいないらしい筈なんだけど…。
一方、私の後ろではラグが風属性を相手にしてた。
『燃やせ!』
ルキアと喧嘩した時のように長剣に魔力を流し込んで、一気に畳み掛ける。目に留まらぬ速さで一閃する。ラグの速さに追いつけないのか長剣に纏わせた炎が尾を引いて剣の軌跡を辿った。
炎の軌跡が消える前に次々に一撃を加えていく。ラグの周りの炎の線が龍が舞っているように見えた。
って、そんなボーッと見てる場合じゃなかった!錐がないっていうくらいの数のエレメント達が次々と攻撃を仕掛けてくる。
「バリア!」
面倒なので詠唱破棄。私の前に透明な壁が展開されて、エレメント達の攻撃を防いだ。
私は早口で詠唱する。
「水で生成されし矢よ、
来たれ闇に染まりし剣よ、
破邪の力をその身に帯びて、
妖魔が宿ししその力にて、
魔なる者を貫け
偽善の光をかき消せ
『スプラッシュアロー』!
『ダークネスソード』!」
流石に二重詠唱は長い!時間を凄く費やした気がしてなりませ。
私の正面には青い光を帯びた魔法陣が、エレメント上空には黒い魔法陣が浮かび上がった。次の瞬間、青い魔法陣から無数の矢が、黒い魔法陣から無数の剣がエレメント達を襲った。
そこにいた炎のエレメント達とめったにお目にかかることのない筈の光のエレメント達はガラスが割れるように砕け散った。
「この辺りは終わったみたいだよ、ラグ」
そう言ってラグの方へ寄って行った。ラグは剣を納めながら私の方を向いた。
「これじゃあ、錐がないな。浄化の魔法が使えたらいいんだけどな」
「そんな魔法があるの!?」
「あるにはあるけど…」
「今まで通りイメージすればできる?」
ラグに浄化の魔法があると言われ、思わずラグに迫ってしまった。慌てて私は身を引いたけど、ラグはその後も固まっていた。
「ごめん。で、ラグ聞いてる?」
「ああ、悪い。ちゃんと聞いてた。できない事はねぇけど、魔力もかなり使うし、イメージしにくい」
「分かった、ありがとう!駄目もとでやってみる」
「ああ、分かっ…、えぇ!?オイ、ちょっとまt…」
私はラグの近くから離れるとすぐに詠唱を始めた。
「天地を包む清めの光よ、此処に集え。いかなる者にも苦しみを与える邪気を払い、この地の命の流れを戻せ『クリアブレス』!!」
私が叫んだと同時に私を中心に魔法陣が森の隅まで展開されてそこから真っ白な光が発せられる。あまりにも眩しい光に目を開けられなくなった。
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