第十五話 謁見反対!!容量オーバーです。
「あの『紅蓮』が、なぁ…」
一緒に来てくれるってラグが言ってくれて嬉しくて思わず抱きついちゃった時にルキアがぼそっと呟いた。え?ラグが何て?よく聞こえなかったんだけど。
まぁ、いいや。それより今後の予定を確認しなくちゃ!
「ねぇルキア、出発は何時にするの?」
「そうだな…一週間後になると思う。それまでに隊を編成しなきゃなんないし、高梨には陛下と謁見して貰わないと…」
「おい!何でリコリスがレスト王に謁見しなきゃなんねーんだよ!」
私もびっくりしたけど、ラグが過剰反応したのは何で?やっぱり過保護だから?
ルキアは溜め息をついて、呆れ顔だった。
「少なくとも、馬鹿傭兵なら分かるだろ?「誰が馬鹿傭兵だって?」あー高梨、そいつの事は無視してて良いぞ。えっと、お前が妹姫として俺達がリーゼアに送るなら、当然、陛下にも説明しなきゃなんなくなる。結果的には証明するために高梨も陛下に謁見しなきゃいけなくなる」
ルキアが言った事は理解できたけど、妹姫というだけでこの国のお偉いさんと対面しなきゃいけなくのは平凡を貫きたい(この時点でアウトだと思うけど)私には無理。
真剣そのものでルキアを見る。
「ごめん、やっぱりいいや。私にはそんな度胸無いし兄さんの所へ行きたいだけだから」
そう言うこと、真面目だったルキアの顔が微笑んだ。
「良かった。高梨ならきっとそう言ってくれると思ってた。東条の奴から陛下には合わせるなって言われてたし」
「遥から?」
遥からそういう連絡が入っていた事に驚きを隠せなかった。
遥の事はもう許してるけど、あの時の憎しみのこもった笑顔の意味が未だに分かっていないのが現状だった。遥との連絡方法があるのなら何時か分かるよね。
「あぁ。詳しい事は此処では言えねぇけどな。丁度良い機会だし、紫苑先輩にも呼ばれている事だし、騎士団辞めてお前達に付いて行くよ。良いだろ?」
そういえば、ルキアも兄さんと同じでバスケ部だったんだっけ?ルキアにとっては兄さんは尊敬できる人(私はそんな事一欠片も思って無いけど)だから“高梨先輩”ではなくて“紫苑先輩”って呼んでるんだって。
一緒に来るぶんには、私は構わないけど…。そう思いながらラグの方を見た。ラグは難しい顔をしてたけど、答えが見えたのか一つ頷いて口をきった。
「正直、ムカつく奴だけど頼りがいはあるからな。お前、ゼッテーリコリスに変な事吹き込むなよ!『氷刃』」
ラグってルキアの前では素直になれないだけなんじゃないかな?だって今、ルキアの事認めてたみたいだから。
私は二人の手を握って笑った。
「それじゃあ宜しくね!ラグ、ルキア」
二人はちょっと驚いてたけど、笑ってくれた。うん、二人の笑った顔が大好きだよ。
「あぁ、宜しくな。ラグ、“リコリス”」
「俺も。宜しく。ルキア、リコリス」
なんだかんだで仲の良かった二人と兄のいる帝国リーゼアへ向かう事になった。何か凄くドキドキする!
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