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第十二話 隣のアイツは騎士でした。

 私達が王都ファーランドについたのは昼すぎだった。

 王都はとても綺麗で華やかかつ賑やかだった。街は赤茶色の髪の青年が主人公の某RPGの王都みたいで、中世ヨーロッパ風のお城に色とりどりのレンガの家、広場は綺麗に整えられていて街全体が一つの芸術品みたいだった。


「すっごーい!綺麗……」

「な、綺麗だろ?」


 街に見とれていた私をラグは微笑ましい物見るように見ていた。そんなラグの顔を見てちょっと私の眉間にしわが寄る。ついでのように羞恥で顔が熱くなったのは言うまでもない。


「何こっち見てるの?恥ずかしいから見ないでよ!」

「悪い悪い。つい…な」


 そう言って、ラグは笑ったけどちょっと照れてるみたい。この数日で分かったけど、ラグって照れると自分の頭をかく癖がある。今だって、頭をかいてるもん。


「ラグ、行こう!」


 ラグに手を差し出す。ラグはちょっと躊躇ったけれど、そっと微笑んで


「あぁ、行こうか」


 私の手をとった。



=================



 私は只今、一人で街を散策中です。

 本当はラグについて行きたかったけど、大事な用事だから駄目って言われちゃった。その代わり、明日傭兵ギルドに連れて行ってくれるって!これで仕事ができたら万々歳だよね!人に頼ってばかりの駄目人間にならなくて済むんだよね!

 やっと仕事ができると思うと凄くテンションが上がった。明日が楽しみ!

 上機嫌にスキップしながら色々なお店を見て回った。

 菓子屋や装飾品屋に本屋とか…。兎に角色々見て回った。欲しい物は沢山あったけど、いつもの癖で色んな所を見てから一番安い物を買ってしまう。

 まぁ、高校生ってお金使って友達と遊びに行きたい時期だから、いっつも金欠なのよね。こういう事するのも高校生ライフが関係してるんじゃないかな?

 それよりも、別れ際のラグが可笑しかった。「無駄遣いするなよ!」とか、「知らない人にはついて行くな!」とか、「変な奴に捕まりそうになったら兎に角逃げろ」とか、何か凄く過保護だった。正直、どうにかしてってくらいに。

 売り物を見てファージよりも物価が高いなと思ってたら、聞き覚えのある声がした。


「高梨!」


 聞き覚えはあった気がしたけど、私の事を呼んでなかったみたいなのでもちろん無視。


「高梨!!」


 どんどん声がこっちに近づいて来ているような気がするけど、リコリスという私の名前を呼ばれてないのでやっぱり無視。


「高梨、無視すんじゃねーよ!」

「高梨って誰…って、え!?」


 声の主は私の肩を強引に引っ張った。

 私は高梨なんて名前じゃないから人違いだって訴えてやろうと思ったけど、相手の顔を見たらそれも言えなくなった。

 だって、目の前にいるのは…


「ルキア…?」

「それ以外誰がいるんだよ」


 目の前にいる黒髪の青年は、高校で私の隣の席にいた天城ルキア(アマギルキア)だったのだから。


「それよりも、何でシカトしたんだよ?」

「え!?私の事呼んでたの?」


 あくまでも私は名前を覚えていないから、自分の事を呼ばれても私の事だと分からない。

 ルキアは名探偵みたいに左手を顎にあてて考え込んだ。

 その後、私の腕を掴むとそのままスタスタと何処かへ行こうとする。


「え!?どこ行くの?」


 ルキアは何も言わずに私を引っ張って行った。



=================



「へぇ、じゃあ今はリコリスって名乗っているのか」

「うん、そう。自分が呼ばれてたなんて思ってなかったの。ごめんね」


 ルキアに連れて来られたのは喫茶店だった。場所を移したかったらしい。ちゃんと言ってくれればいいのに。

 ルキアは二年前に私みたいに遥に突き落とされてここに来たんだって。で、遥からの課題(後日発表)をクリアすれば自由にこっちとあっちの世界を行き来できるらしい。ちなみにルキアはこの国の騎士団長なんだって!…凄い。

 さっきルキアが言ってた高梨はお察しの通り私の名字です。

 久しぶりのクラスメイトとの世間話で盛り上がっていたら、過保護なあの方の声がしました。


「リコリス、こんな所でなn…」

「ラグ?どうしたの?」


 ラグは私の後ろを見て、固まった。


「こんな所に何の用だ?『紅蓮』のラグ」

「それはこっちの台詞だ。俺んとこのリコリス連れて何してんだ?『氷刃』ルキア」


 えっと、ラグとルキアは知り合いなの?それとなんだか二人が怖い。

 このままだと、私に死亡フラグが立ちそうなので店からそっと退散させていただきました。



新キャラクター登場です!

タイトルの『隣のアイツ』は隣の席のアイツって意味でした。

ルキアの他にもあと三人はリコリス達の世界からのトリッパーを登場させようかと考えています。

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