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第十一話 この世界に来て初めて歌を歌いました。

やっと、「恋歌」に繋がる部分出てきました!

(≧▽≦)

 森の開けた所で今日は野宿をすることになった。なんだかんだ言って、結局は私のせいで今日中に王都に着けなかった。私が泣き止むまでラグはつき合ってくれたんだもん。凄く感謝してる。

 今日の夕食は携帯食の干し肉とパンだった。固くて美味しいとは言えないけれど、背に腹は代えられない。


「悪いな。こんな物しか無くて。リコリスの分だけ何か美味い物買っとけば良かったな」

「そんなことないよ!私の分まで用意してもらって何か申し訳ないって思う」


 そう言って笑うと、「そっか」って言ってラグも笑ってくれた。

 食事も終わって二人で寄り添って夜空を見ていたら、頭の中で詩が出来上がっていた。

 高校では軽音部に入っていたから、オリジナルの歌をよく友達と作ってたなぁ。私が詩を書いて、他の子達が曲を付けて………。

 そんな事を思い出しながらラグに買って貰ったノートとペンを取り出して浮かんだ詩をサラサラと書いていく。

 隣でラグが不思議そうにこっちを見ている。


「リコリス、何書いてんだ?」

「ん?ヒミツー!」


 私がちょっと意地悪したら、ラグはそのまま拗ねてしまった。失礼かもしれないけれど、ラグって拗ねると可愛い!!

 ちょっと笑いを零してまた詩を書き始める。もちろん、日本語だからラグは読めない。だから、さっきから「何書いてんだ?」「ヒミツー!」のやり取りばっかりしてた。

 三十分ぐらいで詩は出来あがった。もちろん、メロディーはもう考えてある。

 私はこの森の美味しい空気をいっぱい吸って今できたばかりの歌を歌い始める。



〜♪幼い僕が喧嘩したあの日

  頭を撫でたその手の平が

  「ごめんね」と伝えてきた


  帰りたいと思っていても

  帰れないと分かっているから

  「今」を生きてこう、

  自分らしく

  どんな辛い事があったとしても

  「今」を生きてこう、

  後悔しないように


  だって今は「お帰り」って

  言ってくれる人がいるから♪〜



 歌い終わって、ラグの方を見る。

 ラグはそっと瞳を閉じて心地良さそうに聞いていたみたい。目を瞑っている横顔もなんだか綺麗だった。美男(イケメン)は何をしても格好いいんだと思うとなんだか平凡顔の自分が悲しくなってきた。

 瞼が持ち上げられ、露わになった翠の瞳が私を捉える。

 捉えられた瞬間、ドクドクという音が聞こえてきた。ラグから顔を逸らせられないのは何で?

 私が体験したことも無い事に混乱してい時、先に沈黙を破ったのはラグだった。


「もしかして、さっき書いていたのはそれか?」

「う、うん」


 ラグの質問を答えてやっと、視線を逸らす事ができた。それと同時に高鳴っていた鼓動もだんだんと収まる。

 隣から楽しそうな声が聞こえてきた。


「お前の歌声って心地いいな。また今度、聞かせてくれないか?」


 驚いてラグの方を見たけれど、最後の一言が凄く嬉しくて蔓延の笑みで頷いた。


「うん、もちろんだよ!」


 微笑ましそうに私を見てたラグは、私の肩をだいて引き寄せると反対の手で私の頭を撫でた。


「あぁ、約束だぞ。今日はもう遅いから寝ろよ」

「分かった。お休み、ラグ」

「あぁ、お休み。リコリス」


 そういうやり取りをした後、ラグの肩に頭を乗せて目を閉じた。

 明日の王都、楽しみだな。




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