第九話 王都に向けて出発しました。
朝起きていきなりの事だったから、急いで荷物を纏めていた。
「何よ何よ何よ!何でいきなり『あ、今日王都に行くから』って言うのよ!!昨日のうちに言えっつーの!!」
文句タラタラ言いながらも荷物を纏める手の動きが鈍くならないのはサボり癖の酷い兄がいたからだと思う。
本当、兄さん大丈夫かなぁ?家事全般はできないし、部屋に籠もって大人しいと思ったらゲームしてるし、気づいたら私のおやつ食べてるし!!
あー、やっぱあの駄目兄貴の事考えてたらムカついてきた。
今日は朝から腹がたちっぱなしなのに。
「リコリス、支度終わったか?」
はい、来ましたよ。私が朝からムカつかなきゃいけない原因を作った張・本・人が!
「終わりましたけど、何か?」
「もしかして、おこっt「当たり前です!!!」
ラグが言い終わる前に言ってやった。そのまま立て続けに文句も言ってやる。
「だいたいねぇ、今朝いきなり言うのがいけないのよ!!昨日のうちに言いに来るとか「言いに来たけど、リコリス寝てたし」五月蝿い!だったら起きてるときに言ってよ!私の準備が遅くなって出るのが遅くなるでしょ!?そうなったらできるモノもできなくなるでしょ!!」
途中口をはさまれたがマシンガンのごとく言ってやる。だって、このぐらい言わないと絶対次もこんな感じで出るの遅くなるもん。
「いい?分かった?」
「ハイ………」
返事をしたのは良いものの、部屋の隅っこで膝抱えてラグが落ち込んじゃったから更に出発の時間が遅くなったのは言うまでもないと思う。
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「あ、そういえば魔法について教えて無かったな」
「え!?この世界には魔法があるの?」
道中、ラグが思い出したように言ったセリフに思わず目が光った。
だって魔法だよ!魔法が有るんだよ!ゲーマーや中二病なオタクなら一度は使ってみたいアレですよ!
「リコリスのいた世界には無かったのか?」
「魔法っていう考えじたいはあったけど、無かったよ」
そう言うとラグは興味深そうな顔をした。
「分かった。それじゃあ、基本的な所からな。まず、魔法を使役するには自身の魔力を消費するんだが、それは個人で差が有る。そんでもって、魔力を多く消費することによって強力な魔法を使役することができるんだ。但し、魔法を使役し過ぎて魔力が無くなってしまうと、最悪命を落とすから気をつけてくれよ。………と、こんな感じかな?」
ラグの説明で魔法と魔力については分かった。魔法を使い過ぎるって怖いね。
「分かった。ねぇラグ、属性とかは無いの?」
「まぁ、待てよ。それを今から説明するんだろ。………属性についてだが、炎、水、地、風、雷、光、闇、無の八属性が有るんだ。そのうちの五つは炎→水→雷→地→風→炎のような感じで強弱関係がループ状になっていて、光と闇はお互いを打ち消しあう関係。無属性は有利不利は無くて、相手の属性に関係なく一定の効果を使えるんだ。でも発動時間も規模も他の属性に比べて小さいっていうデメリットが有るのを忘れないで欲しい」
「うん、分かった!」
「最後に使用方法だけど、基本はイメージ。詠唱はイメージしやすくするためだから、できるなら要らないんだ」
ラグに魔法について一通り教えてもらった後、ちょっと試してみたら規模が小さいのは、一通りできた。
今度は実践でって思っていたら丁度良く魔物が出てきた。
「リコリス、実践してみるか?」
「うん!!」
私が頷くと、ラグは長剣を私はサーベルを抜いた。