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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
特訓!!
91/109

90発目 少女はわかっていながら

 放課後、僕は茅海に屋上に呼び出された。話したいことがあるらしい。


 屋上の扉をあけると強い風が吹いた。夕方に近いとはいえ、日光がさんさんと降り注ぐ夏の屋上には1人の人影以外誰の姿も見えない。


 「お待たせ、茅海。」


 「待ってないわよ。」


 そうは言っているが茅海はうっすら汗をかいているし、顔もちょっと赤い。結構な時間を待ったのだろう。しかし、それ以上に気になるのは茅海の表情が暗いことだ。自分ではいつも通りの表情と思っているのかもしれないが、いつもの覇気はない。


 「とりあえず影に入ろう。そんなところにいたら日射病で倒れちゃうよ。」


 そう言って茅海と中の踊り場に入った。


 「あんたに聞きたいことがあるの。」


 入ってすぐに茅海が口を開いた。


 「今までの戦いで、あんたは私が邪魔だと思ったことはある?」


 「ないよ。」


 僕は即答した。どんな質問が来るかなんてわかってる。だったら、即答も簡単だ。


 「どうしてそう言えるの?」


 まさか理由まで聞いてくるとは。でも、僕は心の中を一つ一つ言葉にしていく。


 「初めての、4月の誘拐騒動でも茅海は僕を助けたりしてくれた。5月にあった4校大会でもちゃんと一ノ瀬に勝った。そして、先月はチャオを倒してくれた。茅海が邪魔なんかになるはずないよ。」


 茅海の表情は一瞬明るくなったが、それはすぐに影をひそめた。


 「でも、あの前会長にはああ言われたわよ。」


 「そんなの関係ないよ。茅海は僕らの仲間で、友達だよ。茅海だけ除け者にするわけない。大丈夫。茅海が危なくなったら僕が守ってあげる。」


 「!!」


 「約束するよ。」


 僕は笑顔で手を差し出した。


 「はは……ははは……」


 しかし、茅海はその手を受け取らず笑い出した。まるで自虐でもするように。


 「茅海?」


 一通り笑うと茅海は僕のほうを見た。その表情は何か吹っ切れたような表情だった。


 「そうよね。そうよね。あんたはそういう奴だ。あんたは大和よりも優しい。そういう奴だったわね。私は何を期待してるのかしら。」


 「茅海、いったいどうした……」


 「私ね、あんたを倒すとか言ってたけど、きっと本当の意味であんたを倒すことはできない。だって、私はあんたよりも何倍も弱いもの。」


 「そんなことはないよ。茅海は……」


 「ショウ、覚えときなさい。」


 そう言って茅海は僕を指差した。その表情はいつもと同じように凛としており、強い表情だ。


 「女って、男の嘘を見抜けるのよ。」


 「!」


 僕はなんかわからないけど、何かを感じた。茅海は階段を下りて行った。


 「相談乗ってくれてありがと。おかげで吹っ切れたわ。」


 突然、茅海は立ち止まってこっちを笑顔で見た。


 「私、強くなるから。」


 その笑顔は、僕の今まで見たどんな笑顔よりもきれいだと思えた。


 ぶぶぶぶぶ、ぶぶぶぶぶ


 ポケットの中の新しい携帯電話が振動する。僕はそれに出た。


 「もしもし。」


 『翔か?どうだ?』


 「強くなる、って言ってた。」


 『……そうか。』


 「ごめん。」


 大和に頼まれていたのに失敗してしまった。


 『気にするな。俺が提示してしまって、あいつが選んだ道だ。』


 「でも……」


 『約束してしまったんだ。俺がどうにかする。だから、おまえは気にするな。』


 そうは言われても気になるものは気になる。


 「僕も、手伝うよ。」


 『必要ない。』


 大和は即答した。


 『お前はいつも通り授業と補習でも受けてろ。こっちは、お前が受け持つのとは全然違う場所だ。』


 大和の言うとおりだろう。そっちは僕の受け持つ場所とは違う。でも、僕だって……


 「僕だって、できることがあるはず。」


 『そう思うならさっさと補習を終わらせろ。』


 そういうことをあっさりと大和は思い出させてくれるよね。


 『大丈夫だ。俺を信じろ。』


 「……わかった。」


 ここは大和を信じようと思った。


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