8発目 笑うなら笑え
「さすがだな。」
笑うとか以前にあきれたように大和が言った。
「僕だってそんな展開になるとは思わなかったんだよ。」
そんなことを話してるとタイミング良くか、悪くか神宮寺さんが入ってきたが……
「ふんっ!」
すぐに荷物を置くとどこかへ行ってしまった。でも、本当に、ふんっ、って言った人を見たの初めてだよ。
「完全に来てるな。」
「来てる?誰が?」
「とにかく、この状況はやばい。まともに話を聞かないなら縛ってでも聞かせない限りああいうのは聞かない。しかも、あれを捕まえるなんて2人がかりでも難しいし、できたとしてもまともな話なんてできるわけがないだろうな。」
「……もっと簡単に言って。」
「八方ふさがり。」
「……何となくやばいことはわかった。」
その言葉の意味はわからないけど。
「俺があいつに話すチャンスぐらいは作ってやれるけど、正直、口下手……というかバカなお前が1回の会話程度で説得できるとは思えないな。」
「僕はバカじゃない!」
「まあ、ここの意味のない反論は置いといてだな、沖川はどう思う?」
「そうだね。確かに呼び出すのは容易だけど……」
「ちょっと待って!いつから沖川はそこにいたの!?」
僕の斜め後ろ。そこには当たり前のように沖川が立っていた。
「最初っからずっと。」
こいつはあれか?忍者とか目指してるのか?
「僕が目標を定めるわけ、ないじゃないか。」
「だから、なんで僕の周りの人間は読心術を心得ているのさ!?」
「それは読心術じゃなくて単純にお前がわかりやすいだけだ。」
どうも大和のいい方にはとげがある。それじゃあまるで、僕がいつも考えていることを顔に出しているバカな子見たいじゃないか。
「その通りだ。」
「……さっきのはノーリアクションでお願いします。」
ここまで心を読まれると悲しくなってきます。
「さて君たち、そろそろ話を元に戻そうじゃないか。この場合、僕でも大和でもとにかく戦おうとでもいえば簡単に来てはくれるだろうね。」
「ならそれで……」
「あほか。そんな呼び出し方をしたところでまともに話ができると思ってるのか?」
「うっ!」
「それで話をしようなんて言った途端、君の頭から暖かい脳味噌が出てくるんじゃないかな?」
「うっ!うっ!!」
「それ以前に、こいつの頭には脳味噌はあるのか?」
「うっ!うっ!!うっ!!!」
ひ、否定できない。確かにそんな呼び出し方をして話をしようとした途端、頭に銃弾を撃ち込まれて空っぽの頭に穴が開けられる……ん?
「僕にだって脳味噌はあるよ!!」
「やっと気付いたか。」
こいつ!いつか絶対に殺してやる!
「ねえ、この3人ならちゃんと話すきっかけを作れるんじゃないの?」
「えっ!ホント!?」
そんなに画期的な案があるなら何で言ってくれなかったんだ!
「……あるにはあるけどな。」
「何でそんなに言い淀んでいるのさ!早く実行に移そうよ!」
「お前はかなりの負担になると考えれるぞ。」
「少々の負担なんて大丈夫だよ!」
「……そこまで言うならいいか。」
どうやら乗り気になってくれたようだ。これで話せる!