85発目 零れる言葉は泡のよう
パンッ!キンッ!
「?まだはじく力が……」
ガッ!
「なっ!」
パンッ!
あごを拳銃でしたからアッパーし影野を打ち上げてからスタン弾で撃ち抜いた。影野は無防備で地面にたたきつけられた。しかし、これだけじゃ足りない。全然、足りない。
もう動けない影野に対して容赦なく拳銃をふるった……がそれは止められた。超によって。
「あんたに隊長はやらせない!!」
そしてまたヘリコプターが近づいてくる。僕はすぐに逃げれる体勢になって構えた。そして、マシンガンの雨が来た瞬間、跳んで避けた。そのままちょっと下の広い場所に。しかし、もう1回来るつもりらしい。
「いまだ、逢瀬!!」
ピャン!!
甲高い音とともに何かがヘリコプターのマシンガンを貫いた。ヘリコプターからマシンガンが外れ、そのまま下に落ちていった。
「いったい……」
驚かす暇なんてない。もう1回、影野に狙いを合わせて拳銃で殴りにかかる。
「させない!」
また超がかばいに来るが関係ない。あの程度の体格で直接攻撃を防ぎきれるわけがない。思いっきり振り切った僕の攻撃を受けて、超は簡単に吹っ飛んだ。
「影野、終わりだ。」
「隊長!!やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!」
超の叫び声なんて無視して振り下ろす。しかし、またそれを止められた。
「……なんで止める、大和。」
振り下ろした拳銃を受け止めたのは鮮やかな赤色の瞳をした大和だった。拳銃2丁をクロスさせて受け止めている。
「阿呆。お主は暴走が過ぎるんじゃ。そっちのも、誰も殺すなとこれが忠告しとったじゃろうに。またこの厄介なモンスターを止めんといかんのか。」
なんだ。これは誰だ?大和の姿をしているけど、誰だ?……しかし関係ない。僕の邪魔をするなら関係ない。ただ、つぶすだけだ。
下がって突撃を……
「あほなことはやめなさい!!」
「がっ!」
後ろから回し蹴り。しかし軽い。この程度ならば脳震盪などは起きない。後ろを見てみると茅海がいた。拳銃を僕に向かって構えている。
「確かに、敵をかばっている大和はおかしいかもしれないわよ!でも、あんたもやりすぎよ!!敵はすでに戦闘不能なのよ!なのに、なんで追撃してるのよ!そのうえ、大和とやりあって何になるのよ!?落ち着きなさい!!あんたは……」
「お前も邪魔をするのか?」
「え?」
結局、茅海も邪魔をするのか。しょうがない。だったら殺そう。僕は拳銃を構える。
「やる気なの?ちょうどいいわ。あんたとの戦いはいっつも中途半端なところで終るのよ。今日こそ決着付けてやるわ!」
そんな茅海の頭を僕は拳銃で殴りにかかった。
「え?」
反応が遅すぎる。この程度の反応で戦う気か。
「くっ?」
ガキンッ!
大和が片手でその軌道を強引にずらした。
「嬢ちゃん、下がっとくんじゃ。私でも嬢ちゃんを護りながらはきつい。」
「何いってんのよ!私だって……」
「やれると思うんならお主はこの上ない阿呆じゃな。」
「っ!!」
「下がっとれ!」
茅身はどうやら下がるようだ。
「さて、完全に正気を失っとったらアウトじゃったが、さっきの攻撃のスピードが落ちたことを考えるとまだ意識はあるようじゃな。」
「知ったことじゃないよ。あんたもつぶす。」
お互いに拳銃を構える。
「ストップ!翔は落ち着け!」
どこかに行っていた沖川が下から上がってきた。そして、それと一緒に登ってきたのは、え?
「ひ、桧木さん?」
さっき、確かにやられたはずの桧木さんが階段を上ってきていた。体に傷はあるけど、とくに大きなけがをしている様子はない。
「すみません、心配かけました!」
「あ、あ、あ……」
よ、よかった。生きててくれた。
「よくやったぞ、小僧。」
「ありゃ?大和はあっちになっちゃってるの?まあ、あの翔相手じゃ無理ないか。」
よかった。だれも死んで……
かちゃ!
僕、沖川、大和の3人はそれぞれ違う方に拳銃を向けた。
「え!?」
「出てきてくださいよ。殺気が少し出てますよ。」
沖川の言葉で3人が出てきた。僕の前、倒壊した清水の舞台から乍瀬の高尚、大和のいる沖川の上ってきた階段から同じく乍瀬の六車、そして沖川が見ている上に向かっている階段から下りてきたのは、麻上会長だった。