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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
修学旅行編
84/109

83発目 融けるように少しずつ

 自分でもこのネタのやめ時が分からなくなってます

 パンッ!キンッ!パンッ!ガッ!


 影野は強いのかと思ったが、実力だけなら沖川やほかのメンバーのほうが強い。劣化版一ノ瀬みたいな感じだ。しかし、この気配の消し方は厄介だ。なんせ、気配どころから姿まで闇に溶け込ませてくる。今は感覚で追えるからいいけど、これでもっと強かったらやばかったかもしれない。


 「どりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 「あんたはうっさいのよ!!」


 茅海とチャオミンの戦いは熾烈を極めているようだ。いや、あの声からはわからないかもしれないけど、結構激しい戦闘をしているからね。そもそも、茅海はスピードバトルが得意。そして、チャオミンも同じタイプだったらしく、ありえないほどの高速戦闘になっている。


 「ちゅぼりらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 「意味のわかんないこと言ってんじゃないわよ!!」


 ……すごいんだけどね。


 パンッ!キンッ!


 「余所見をしているから狙えると思いましたが、やはり無理ですか。ならば……」


 何をやろうとしたのかが予想できたので、すぐさま狙い撃って距離をつめた。影野はすぐに距離をとった。


 「本当にあなたも厄介ですね。私が桧木を狙おうとしても、チャオをフォローしようとしてもすぐさま対応してくる。本当にあなたは学生ですか?」


 「もちろん。ただ仲間が傷つくのがいやで、そして自分がいたいのがいやな普通の学生ですよ。」


 拳銃を向けたまま、警戒態勢で膠着こうちゃく状態に入った。


 「ソロモンよ、私は帰ってきたぁぁぁぁあああ!!!」


 「一生戻ってくるな!!!」


 聞こえるのは騒がしい戦闘の音だけ。それにしても茅海はこれだけいろいろなことを考えているのに全然反応しないな。こっちの読心術をする暇もないほどぎりぎりの戦闘をやってるのかな?


 パンッ!


 「あぶなっ!」


 「なんかさびしそうだから撃ってあげたわよ。」


 「いらないお世話!!」


 それにしても、茅海もこっちの相手ができる程度にしか疲弊していない。さすがにおかしすぎないか?いくら偵察、暗殺が専門の部隊だからといってここまで弱くていいものなのか?


 「あなたの思ってることはわかります。どうして私たちがこんなに弱いのかと思っているのでしょう?」


 「……そうですね。」


 「おかしくなんかないんですよ。そもそも、国連警察の部隊に専門なんてありません。」


 「え?」


 でも、確かに大和は偵察や暗殺が専門と言ってたよね?……言ってたよね?


 「私たちの部隊はいわゆるはきだまりの部隊。凄腕のエリート部隊とは違って、ここは一般で入った人間がほとんどです。そして、私はここの隊長に選ばれてしまいました。ちなみに、ここの隊長は通称、左遷隊長って呼ばれて、面倒ごとを押し付けられてしまっているんですよ。」


 左遷?たしか……なんか残念なんだっけ?


 「そして、そんな私は自分の力を皆に教えることにした。それがこの能力。敵にばれることなく近づく能力。もちろん、私ほどのことができる人間は生まれませんでしたが私たちの隊は十分有名になれました。」


 暗殺部隊が有名になっていいのかわからないけど、いいんだろう。そんな適当な感じだし。


 「彼女、チャオはもともと死ぬはずの少女でした。彼女と始めてあったのは中国でした。中国で物を盗んで、そうしなければ生きていけない。そんな環境で彼女は生きていました。しかし、栄養失調でいずれ死ぬのは明白。そんな彼女を私は拾いました。」


 中国は日本が拳銃の所持を許可され始めてからどんどん都市部が発展していて、逆に農村部は貧困層がどんどん生まれているらしい。おそらく、そんな状況に巻き込まれてしまったのだろう。


 しかし、それならばあの異常な背の低さも納得できる。栄養失調の人間は背を伸ばすのにまわす栄養が足りなくなって、身長が120cmなんて当たり前だとか聞いたことがある。……それなら、何で茅海の身長はちっちゃいんだ?


 パンッ!


 ……頭の上を銃弾が通り過ぎていった。


 「……茅海、戦いに集中してね。」


 何であれだけ激しいスピードバトルをしているのに僕のほうを狙えるんだ?


 「私たちはあなたたちのように特別な才能はないのです。だからこそあなたたちよりも弱い。しかし、失敗するわけにはいかないのです。この件を失敗すればすべてを失うことになりかねないからです。」


 向こうの事情はよくわかった。しかし、僕にはどうすることもできないし、僕だって仲間を見捨てるつもりなんてさらさらない。


 「でも、その説明が本当ならここで戦うなんて不利なんじゃないんですか?それとも、ここで戦わなきゃいけない理由でもあるんですか?」


 後ろから桧木さんが言った。僕もそこが疑問だった。2VS3。さらに場所はそれほど隠れる場所が多くないところ。今の状況はどう考えても、あっちには不利にしか働かないような場所だ。


 「私たちはただ自分の覚悟を示したくてここにしただけです。」


 「覚悟?」


 「はい。古来から言われるでしょ。『清水の舞台から飛び降りる気持ち』って。」


 そういわれて少し下を見た。……はしに行かないと見えなかった。


 「どういう理由でこんな面倒な場所を用意してくれたのかと思ったら、結局は個人の理由か。つまらないこと、この上ないな。」


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