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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
修学旅行編
83/109

82発目 すべてが許されるような気がして

 液体火薬?なんか聞いたことはあるかもしれないけど、マイナーすぎてよく覚えていない。


 「液体火薬。マイナーですが存在しているものですよ。その最大の特徴は火薬の純度の高さによる安定した威力と燃焼の効率のよさ。どんなにがんばっても不純物の出てしまう通常の火薬に比べて不純物を限界まで取り除いたこと、さらに液体であるための熱の伝達性の高さ。その2つがそろったことによって実現された少量での高威力。まあ、難点として扱いが難しいんですけどね。」


 そういえばアメリカかどっかが実験的に液体火薬を使った銃弾を作ろうとしたというのを聞いたことがある気がする。結局、一般人の適当な手入れじゃ無理だと判断されたらしいけど。


 「そして、それに桧木自身の能力が加わることでより最強になる。」


 桧木さんの能力?いったいなんだ?


 「それが視線に対して異常なまでの反応を見せること。誰かが桧木を見ていればそれがどこから見られているか、完璧に把握できる。ただし、完全に焦点を合わせられているときだけみたいですけどね。」


 つまり見られているだけで相手の位置がつかめる。信じられない能力だけど、そんな力を持っていたとしたなら、茅海との戦闘での違和感がなくなる。茅海のスピードに完全に対応していた能力。茅海は走っているときは視界の端にとらえているだけだけど、撃つときはさすがに焦点を合わせて見据えないといけない。その瞬間に回避行動を取ればおかしい点もなくなる。


 「しかし、わかっていればそれほど対応の難しい能力じゃありませんよ。常に視界の端で意識する程度にしておけばいい。ちょうど焦点を合わせておけばいい人間もいますしね。あ、もちろんあなたのことですよ、都築 翔くん。」


 僕の名前もすでにチェック済み。まあ、当然といえば当然なのかな。


 「都築くん、ここはいいですからあなたは茅海さんのほうを……」


 「それは無理。あの状態の茅海は加勢しないほうが絶対強い。」


 「だったら……」


 「無駄話とは余裕ですね。」


 すでに影野は視界から消えていた。


 「しまった……」


 カキンッ!


 僕は感覚的に相手の銃弾を叩き落した。


 「な!?」


 「そこ!?」


 パンッ!


 なんとなく撃ったみたいだがあっていたらしい。よけられたけど。


 「……何者ですか?」


 ピピピ……


 緊迫ムードを破るように携帯電話が鳴り出した。なんというかテンプレな電話の呼び出し音で、こんな音を使っているのどこのドイツだ?まあ、予想はつくけど。


 「誰なのよ!?こんなときに!?」


 「って、お前かよ!チャオ ミン!」


 ここは影野のだろ。


 「ちなみに私はGUN HEAD GIRLSが大好きです。」


 「そしてお前はアイドルグループか!もうちょっとキャラを大事にしろ!イメージを大事にしろ!」


 「はっ!?え!?」


 そんなツッコミをしているといきなりあせったようなチャオミンの声が聞こえた。


 「なんなのよ、いったい!?」


 『それは、俺らがお前らの想像の外にいたから不可能と思うだけだ。俺らにとってはいつもどおり、そして可能なことだ。』


 突然、スピーカーから聞きなれた声が流れ出した。間違うはずもない。間違いなく大和の声だ。そして、僕にとってもこれはいつもどおりじゃない。


 『おい、何も考えずに飛び出して京都の町を迷子になった挙句、最後は運よくたどり着けたけど結局何も考えずに飛び出したバカコンビと、自分さえ犠牲になったらどうにかなるんじゃないかと考えた大バカ。』


 「「何でわかってるの!?」」


 あいつは僕にGPSでもセットしているんじゃないんだろうな。そして、そんなことはないと否定できないから困る。


 『そこに急ぎ気味で向かってやるから、それまではうまくやっとけ。お前らがそう簡単に死ぬとは思わないが、がんばれ。そして、敵さんへ忠告だ。誰も殺すなよ。うちのモンスターが覚醒しちまうからな。』


 「は?」


 『以上だ。諸君らの健闘を祈る。』


 その会話の後、下から発砲音が聞こえだした。たぶん大和たちだろうな。なんかよくわからないけど、やることは1つ。


 「全力でかかる!!」


 「当然よ!」


 「え?え?え?」


 桧木さんはついていけてないみたいだが、僕もついていけてないのをテンションでどうにかしているような状況なので説明できないのでどうしようもない。そして、さっきよりも真剣な顔をしてくれてる敵さんたち。桧木さんは混乱してるみたいだし、ここは僕たちがやるべきだね。


 「忙しい夜になりそうね。」


 「仲間のためなら本望だよ。」


 「……間違ってはないわね。」


 僕たちはゆっくりと構えなおした。


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