81発目 泣き出しそうな目で見ていた
意味なんてものはない!!
影野が指をパチンッ、と鳴らすと周りから真っ黒な服に身を包んだ人間が周りに大量に……現れなかった。
「あれ!?ここで大量の敵に囲まれてどうしようって場面なんじゃないの!?」
「残念ながら隠密行動専門のわれわれはそんなに多くの人数を同時に動員するのには向いてないんですよ。というわけで、今回はこれで勘弁してください。」
「え?」
「もらい!」
後ろから声。その聞き覚えのある声に振り向こうかと思ったがもう間に合わないのはわかる。
「なめんじゃないわよ!このチビ!!」
そう思った瞬間に茅海が後ろを見ないで回し蹴りを繰り出した。しかしあまりあたった音がしっかりしなかった。たぶん後ろに跳ばれて回避されたのだろう。
「あんたの相手は私よ、チビ!」
「誰がチビだ!私の名前は超 萌だ!!」
後ろをチラッと見てみると前に会った女の子がいた。やっぱりグリーンクロスのナンバー2、チャオ ミンか。それにしても、本当に小さい。今はかなり近くにいたからなんとなくわかったけど、茅海や桧木さんなんかよりも小さい。もしかしたら120cmぐらいしかないかもしれない。
「茅海!後ろのお願い!僕はあいつをやる!」
「くっ!指図されるのは気に入らないけど、そうするべきみたいね。」
僕は前の影野に対してかまえた。本当に2人ならこっちは3人。数の上では有利だし、わざわざ1対1ができる状況にしてあげてるんだ。強引に2対3にするつもりはないだろう。
「私の相手はあなたですか?弱そうですね。」
「見た目で判断しないほうがいいよ。」
「うむ。たしかに、チョコケーキと見せかけてようかんみたいな事がある世の中ですからね。用心するのに越したことはありませんね。」
とりあえず、そのケーキは間違いなくいたずら用に作ったやつで、そんなケーキは一般的には売ってないといってやりたい。
「ならば、行きましょうか。」
僕の視界にいたはずの影野がふっと消え去った。
「え!?」
「こっちです!」
バンッ!!
「……え?」
桧木さんが撃った方向には確かに影野がいた。でも今はそこではない。なんか不思議な現象が起きている。
ものすごい爆音がしました。そして、それはものすごい勢いで飛んでいき、木の舞台にめり込みました。……いや、無理でしょ。普通の銃弾だったら木にはじかれておしまい。木屑を出すことぐらいが限界だよ。
「どういう威力!?」
「はずしましたね。」
「さすがに驚きました。」
こいつらは何で普通に会話しちゃってるの!!?
そこで桧木さんの拳銃を見た。不思議な拳銃だ。桧木さんが片手で持てるようなサイズのリボルバー拳銃。しかし、撃鉄が拳銃のサイズに比べて大きい。ものすごいアンバランスで不恰好。あんなものが市販していた記憶はないからたぶんオリジナルだろう。
しかし、拳銃のサイズとかを考えると、ものすごい大きな口径の弾を撃てるようには見えない。
「おやおや、ものすごい疑問のように見ている少年がいますね。なら私が説明してあげましょう。あの拳銃は液体火薬を使われているのです。」