78発目 死にそうなのに死なない
結局、僕たちは6時ぐらいまで逃げ回って、腹が減ったとかで追ってくるやつがいなくなったので、やっと開放された(昼飯は購買で買ったパンを逃げながら食う羽目になった)。
そして、僕もやっと晩飯だ。なんか、大和や沖川のほうも追いかけるのは終わったらしいんだけど、2人とも姿を現さないから今日の昼間にあったこともぜんぜん相談できない。こういうときのための携帯だったはずなのに、茅海が、茅海が……。まあ、言っても携帯は戻ってこないからもう言わないけど。
そう思って食堂のドアを開けると目に飛び込んできたのは食堂のど真ん中に大量の積み重ねられた皿。そして、その前でご満悦な顔をしているちっちゃい女の子に、それを笑顔で見ている女の子。そして、素で驚いている表情をしている女の子が1人。……そういえば、僕にはもう1つ逃げるべき対象がいたことをすっかり忘れてた。そういうわけで、逃げようと回れ右をしたが……
「よし、全員集まってるな。」
大和と沖川が現れた。これで、ここに四十万高校のメンバーが集まったわけで、そして……
「ショウ、そこを動くんじゃないわよ。」
僕の命に最高の危険が訪れたわけですか。
結果は、ここで殺して戦力が減るのは俺らとしても面倒だからやめろ、と言う大和の説得で僕の命がお空へ飛んでいくことだけは何とか回避された。ただ、あの記憶は消すとか何とか言って茅海に頭を思いっきり殴られて、そこまでは大丈夫だったんだけど、その後くらったジャンピングローリングソバットが頭を狙って高さが足りなかったらしく、あごにクリーンヒットする羽目になったので脳震盪で1時間ぐらい倒れていた。
「と言うわけで、これからの動きについて説明したいと思う。」
「人が倒れたってのに淡白な反応だね。」
「てめえのせいで1時間も待たされたぞ。」
「まさかの非難!?」
こいつらは冷たすぎないか!?というわけで、食堂の1番端の席に6人で座った。……いまさらだけど、起きたときに床だったよね。もしかして、1時間放置された?
「当然じゃない。」
「当然にしないでください!!」
「そろそろ本題に入っていいか?」
大和がそういった。
「全員わかっていると思うが、そろそろここを出るからな。」
「それについてだけど、僕はここのほうがいいと思うよ。ここなら確実にガードできるわけだし、僕が楽だしね。」
沖川はなぜ一言多いんだ。
「それについてなんだけど、今日、グリーンクロスの隊長って言ってたやつが出てきたんだ。」
「隊長?もしかして影野衛か?」
「そう!!」
なんか不気味なやつだった。
「あいつが女子更衣室に……」
「ちょっと待て。なぜお前が女子更衣室に?」
「……」
「……なんか、イラついてきたから撃っていい?」
「やめてといったら?」
「撃つ。」
「問題なしと言ったら?」
「撃つ。」
僕はすぐさまスタートできる体勢をとった。どんな体勢かというと腰を微妙に浮かべて、つま先に力を加えた。簡単に言うと空気椅子である。……あれ?この体勢だと足が疲れてうまく動けないんじゃないのか?
「お前らは落ち着け。細かい説明は京都に入ってから聞くことにしておく。とにかくすぐに出発の準備だ。1時間ほどでつけるとは思うが、その間に攻撃してくる可能性がないわけじゃない。さっさと動くぞ。」
大和がそこから20分後に集合としたので急いで用意することになった。