74発目 ちょっとした小ネタをはさんでみた
「それで、あんたが案内するわけね。」
電話してから2分あまりで茅海が到着した。
「そういうこと。」
「……そう。」
「というわけで、ここが寮。男子寮はハイムーン、女子寮はサクラって呼ばれてるよ。」
「すごい名前ですね。」
「なんか中2病っぽいわね。」
「結構前からこの名前だったはずだけど。」
そういえば、ここの名前がこうなってる理由って聞いたことなかったな。今度大和にでも聞いてみようか。
「そして、隣にあるあれが食堂。」
「おっきいですね。」
確かに食堂はでかい。たしか同時に400人ぐらいが食事できたはずだ。
「全寮制の学校だから大きいんだよ。メニューも豊富でとりあえず言ったらなんでも出てくるよ。まあ、その分はずれも多いんだけどね。」
「あんたが今まで当たったのは?」
「激辛系はやめたほうがいい。間違いなく死ぬ。あと、名前からしてよくわからないのは半分くらいがはずれだから。」
「たとえば?」
「僕も食べたことはないから味はわからないけどやばいって聞いたのは『著作権にやられた!』とか『著作権を倒すことはできるのか!?』、『安西先生、野球がしたいです!!』ぐらいかな。」
「それは間違いなくおかしいわ!!むしろ、頼んだやつがいるの!?」
「あ、『著作権を倒すことはできるのか!?』は当たりだったかも。」
「それは全部はずれよ!!」
「……」
「あ、もしかしてつまらなかった?」
「いえ、楽しいです。」
それならよかった。僕と茅海ばっかり話してたし。
「本当に。……手放したくないくらいに。」
「え?何かいった?」
「いえ、何も。」
?何かいった気がしたんだけどな。
「そして、ここが実戦練習場。」
ここは四十万と似ていて、広い場所に凹凸のある地面がある。ただ、乍瀬は森もあるのに対して四十万はただ余り足場のよくない地面が並んでいるだけだ。その分、広さは四十万のほうがあるけど。
「森で実践?」
「ルールは一緒だよ。ただ、隠れるものが増えるから長くはなるけどね。そのせいか実戦のデモンストレーションとか以外はめったに使われないんだ。」
「……ねえ、ここっていつでも使えるの。」
「うん。使ってる人がいなければね。」
「なら今から勝負よ!!」
「何でそうなるの!?」
「この状況、このテンポでそれ以外何があるのよ!!」
「いや、ほかにもあるでしょ!?」
本当に茅海の中には実戦以外のことは入ってないの!?
「当たり前でしょ。」
「そこは肯定しないで!!」
「あの、でも予約が入っちゃってるみたいですよ。」
「えっ!?」
予約が入っているということはできないということだ。ありがとう!予約していた誰かさん!
「しょうがないわね、ここはほっといて次よ。」
そんな感じで今日は騒がしく説明をして回っていった。
「ふう、さすがに疲れたよ。」
がんばった僕が寝転んだのは空き部屋。僕が2人を案内している間に大和が交渉をして、寮の空いていた部屋を女子寮、男子寮それぞれ1部屋ずつ借りてくれたらしい。
「とりあえず明日の夕方までぐらいまではここにいることになるだろうな。」
「え?あさってに出るんじゃないの?」
「忘れたのか?あさっては12時に京都駅集合だ。前日に京都に入っておきたい。そもそも、京都は教師もいるし、銃の所持も認められていない。隠密行動を振り切るのはここほどじゃないが楽だろうしな。」
「え?」
京都ってそんなルールあったっけ?
「京都の景観条例は知ってるだろ。京都の建物などで派手な色を使っちゃいけない。だから某ハンバーガーチェーン店の看板が茶色っぽいとか。」
そういえばそんなのあった気がする。
「それの延長線上で京都市内、と入っても中心部のみだが拳銃の装備は基本禁止されている。かばんの中に入れておけば大丈夫のはずだが、そのせいかかばんの中に拳銃を入れてるやつも少ない。もし拳銃でも撃とうものならすぐに京都府警が飛んでくることになるぞ。」
「……それって茅海は大丈夫なのかな?」
「……」
「……」
「シャワーでたよ……って、何でこんな重たい空気になってるのかな?」
沖川が?マークを頭に出していたが、僕たちはそれどころではなかった。……とにかく茅海の機嫌を損なわないようにだけ注意しよう。
わかる人はわかる。わからない人はわからない。それでいいんだと思います。