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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
修学旅行編
74/109

73発目 いや、気にしろよ

 「桧木さん!」


 結構見つけるまで時間がかかった。だってグラウンドの端っこにいるんだもん。気付くわけないよ。


 「あ、どうしたんですか?」


 「えっと、どうしたの?」


 「お墓を作っていたんです。」


 「お墓?」


 確かに桧木さんの前に木の十字架が立っている場所があった。


 「……猫か何か?」


 時々この学校には何も知らない野良猫が入ってきて、流れ弾が当たって死ぬことがある。もしかしたら、この辺にそんな猫がいたのかもしれない。


 「いえ、違います。」


 ?だったら鳥かなにかな?


 「今日使ってしまったグレネードのです。」


 「……え?」


 「私が今日使ったグレネードは1ヶ月くらい前から仲間になってくれたとても、とても勇敢な戦士でした。なのに私は、あの人を無駄死にさせてしまって……」


 ……えっと、ここは泣くところ?桧木さんの説明を受けたらそうかなって一瞬思ったけど、グレネードだよ?爆発するために生まれてきたものだよ?でも……この世に生を持って生まれてきたのに、敵を1人も倒せなかったのは無念で仕方ないかも……


 「……安らかに眠ってください。」


 僕も手を合わせた。


 「ところで、都築君はどうして私を探していたんですか?」


 「えっ?」


 そういえば、反射的に探したけど、僕は特別桧木さんに用事があったわけではない。いや、元気付けたいっていうのはあったけど、それをわざわざ言うのはおかしいよね。


 「えっと……学校を案内してあげようと思って。」


 「え?本当ですか?」


 「も、もちろんだよ!」


 とにかく、どうやって元気付けるかは後回しにして一緒に話してみよう。


 「なら、茅海さんを呼んでもいいですか?」


 「え??」


 まさかの茅海登場。これはぜんぜん予想してなかった。


 「えっと……」


 「もしかして茅海さんが殴ったり撃ってくるのが怖いんですか?」


 「いや……」


 「大丈夫ですよ。むしろ、呼ばなかったときのほうが怖いですよ。」


 「いや……茅海は大和や沖川に任せればいいんじゃない?あいつらならうまくやるだろうし。」


 正直、桧木さんを元気付けたいのに茅海を呼んだら、茅海に突っ込みを入れたりして、ぜんぜん桧木さんのことを気にできないような気がする。


 「……(ジッ)」


 「え?ひ、桧木さん?」


 「……(ジッ)」


 突然、僕の瞳を見つめだした。身長差はあるから距離はそこまで近くないが、まったくぶれないから結構きつい。桧木さんの黄色い瞳に飲み込まれそう……


 そういえば、茅海ににらまれることはよくあるけど、それとはぜんぜん違う。何が違うかはよくわからないけど、違うのはわかる。


 「……じゃあ、呼びましょうか。」


 「何で!?」


 僕の言葉を無視して電話をかけ始めた。桧木さん、だんだんこちら側に近づいてきてない?


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