71発目 作戦会議みたいな解説会議
「さて、今さっきの戦闘で分かった情報をまとめておきたい。」
大和はノートパソコンとプロジェクター(どこから出てきたかは謎)をセットした。今回は映像とかじゃなくて黒板代わりに使うらしい。
「まず、追いかけてきた部隊についてだ。」
いきなりそれか。
「とりあえず追いかけてきた部隊だが、どこの部隊かは何となくわかった。」
大和の何となくは100%と同じ意味なんだけどね。
「あいつらはグリーンクロスだ。」
「「「えーっ!?」」」
「そこの驚いた3人、わざとらしすぎる。」
「いや、あそこは驚いとくところかなと。」
一応、叫んだ茅海と逢瀬の表情を見てみるが、全員わかってなかったみたいだ。
「私はわかってたわよ!」
「わかってないやつが1人でもいたら説明してやるから落ち着け。」
「まずはめんどくさいことを話す。」
よし、寝よう。
ビシッ!
「頭にチョーク!?」
まさかジャッキーがどこかに!?
「やっぱりショウは変わってないみたいじゃん。」
「……」
「……」
「……」
さて、こんな状況で3人ほど静かだ。小織はいつも通りとしても、佐鳥と桧木さんが静かなのが気になる。特に桧木さんはあんなことになってしまってちょっと怖がってるのかもしれない。
「桧木さん、大丈夫?」
「ふえっ!?あの、その……大丈夫です」
……大丈夫そうには見えないけど、本人が大丈夫って言ってるんだから、これ以上は言っちゃいけないよね。
「まずはお前ら、国連警察は知ってるか?」
「国連警察?」
どっかで聞いたことあったような?
「神宮寺でもこれくらいは説明できるだろ。」
いや、無理でしょ。
カチャッ!
「私はあんたほど無知じゃないわよ。」
「はい、ごめんなさい。」
「国連警察。通称UNP。国連が自由に動かせる警察でしょ。他国の捜査権とかも持ってて、かなり厄介とかいう噂は聞いたことはあるわ。」
「正解。他国の捜査権については正確には条約に加盟した国のみだな。条約加盟国として主なのはアメリカ、カナダとかだ。ヨーロッパ連合やロシア、中国はしていない。日本もだ。」
そういえばそんなやつがあったかもしれない。正直、僕らには関係ないと思ってたから忘れてた。
「ここまでいったらわかると思うが、あいつらはそれだ。しかも厄介なことに、その中でも特別な仕事をしているやつらだ。部隊名は『グリーンクロス』。」
「グリーンクロス?緑色の十字架?」
逢瀬が直訳であらわしたけど、まさかそんな単純な理由じゃないだろう。きっと壮大な理由が……
「それだけだ。」
「ひねりなし!?」
「胸と腕に緑色の背景に銀の十字架っていうマークをつけている。これがあいつらの特徴で、そして、正式な仕事のときの特徴だ。」
大和がそれを一瞬でわかったってことは正式な仕事でそのマークをつけてきているということだ。あれ?それって僕たちやばいんじゃない?
「ちょっと待ちなさいよ!正式な仕事って、私たちの追われる理由がないでしょ!?」
「え?僕たちって結構やばいことしてるよね?」
「あんたは国際問題に発展しかねないことをやらかしたって言うの!?」
……確かにそれはないな。僕だってそこまでたいそれたことをするつもりはない。
「あ、あの……」
「現在はそのことは問題じゃない!」
桧木さんの言葉をさえぎるように大和が叫んだ。
「問題は俺らが狙われているという事実だ。運がいいことに、あいつらは正式な仕事だというのに日本政府の許可をもらっていない可能性が高い。」
「え?」
「裏通りで襲ってきた。表通りに出られるのを嫌がった。何より、日本の警察が動いてる様子がまったくない。これらの情報から予想されるのはあいつらは日本政府には極秘で任務についている。しかし、来た部隊があのグリーンクロスだが、警戒すべきだろうがな。」
「あの?」
逢瀬が不思議そうにいっている。僕にはもうついていけなくなってきてるのに。
「グリーンクロスは偵察および暗殺を専門とした特殊部隊。しかも、さっきいたのはその部隊のナンバー2だ。」
「え?どれがよ?」
「あのちっちゃいの。」
「あれ!?」
……現在思考停止中。
「あんなちっちゃいのがナンバー2なの!?」
「考えてみろ。あいつらは偵察部隊だ。小さな隙間には入れるという点では小さければ小さいほどいい。しかし、あのナンバー2はたいていあの隊の隊長と行動している。」
「隊長?それってナンバー1ってこと?」
「ああ。あの隊長は厄介だ。グリーンクロスをあそこまで育て上げたのはそいつ1人の力って言われてるぐらいだ。」
……なんだか茅海の目が輝いた気がするけど、怖いから見なかったことにしよう。
「とりあえず話さないといけない敵の情報はこんなもんだろ。翔、どういうことかわかったな。」
「おk、緑は、敵だ。」
「……さて、今後の予定だが……」
「あれ!?流された!?」
「とりあえず今日と明日ぐらいまではこの学校にいるつもりだ。」
「何でよ!?」
「この学校は国立校で学のある程度ある人間が集まっている。俺みたいにあのマークを見れば何かすぐにわかる。しかも国立校だから国にかなり早い段階でいくことが考えられる。いくら偵察みたいな進入などが得意な人間だからといってそこまでのリスクをおこして乗り込んでくるほどバカとは思えない。」
「もし乗り込んできたら?」
「忘れたのか?ここは戦闘狂の魔窟だぞ。ちょっと声をかければ学校中を捜索されることになるはずだ。」
そういえば、ここはそういうところでしたね。
「ということで解散だ。各自、学校の敷地内ならある程度動いていいが、外には出るなよ。」
ということになった。