6発目 脊髄(せきずい)反射こそ最高の自然
昨日は神宮寺さんの機嫌が悪くて全然話ができなかった。そんなこんなで次の日、僕は完ぺきな話す理由を考えた。
まず、朝早くに学校に行く。そして、神宮寺さんが来たと同時に机の中やカバンの中をさぐる動作をする。多分周りのみんなは変な目でこっちを見るだろうけど気にしない。そして、さりげなく教科書見せてくれないかと尋ねる。そうすればうまく話す口実ができるはず。
「よしっ!いけるぞ!」
「何がいけるんだ?」
教室の扉をあけるとそこにはジャッキー。
「遅刻だ!この大バカ!」
「す、すみませーん!!」
今考えたら朝が苦手な僕にこの作戦って無理だよね。
「ということで、力を貸して、大和。」
「どういうわけか知らないが、どうせ神宮寺と話すきっかけをくれとでもいいに来たんだろ。」
「やっぱりお前ってエスパー?」
「お前がわかりやすすぎるんだ。それよりも、話すきっかけだが……今日の放課後に銃撃の練習場に行ってみたらどうだ?あそこなら偶然会ってもおかしくないし、話す理由は適当でいいだろ。」
「そうか。ありがとう!」
「あー、あと1つ注意点がある。」
え?ここまで完璧な作戦に注意点?
「練習場に入ってから絶対にほかのやつと話すな。特に女子。これを守らなかったら多分、お前は失敗するぞ。」
大和がここまではっきり言うのは天変地異が起きてもくつがえらないようなことの時だ。
「わかった。絶対に守る。」
そうしなければ死ぬと思うから。
放課後、僕は大和のアドバイス通り銃撃の練習場に行った。
ここは的当てみたいなもので、どれだけ的の中心や狙った場所を撃てるかを調べる場所だ。これが固定銃撃でテストの科目にも入っている。その練習のために放課後はいつでも開放されていて、誰でも使用できる。
そんななかをゆっくりと歩いていると、いた。あの小さな背中をしっかりと伸ばして左目を閉じ、両手でしっかりと構えてる姿がいた。
パンッ!
弾は見事に的のほぼ中央に。かなりの実力だ。
「やあ。すごいね。」
そう思った瞬間、話しかけていた。
「……あんたも暇ね。」
「どうしてここで僕が暇になるかな。」
「こんなところで話しかけることが暇人の証拠なの。」
そういってまた構えた……が、すぐに構えるのをやめてこっちを向いた。
「あんたは逢瀬 奈々を知ってるわよね。」
「逢瀬?もちろんだよ。去年も今年もクラスメイトだもの。」
昨日は来てなかったし、今日も来てなかったけど。
「なら、逢瀬の射撃ってどれくらいすごいの?」
「えっ?」
まさかそんなことを聞かれるとは思いもしなかった。
「どうなの?」
「ええと、ごめん。うまく表現できないや。」
「?どうして?」
「それは……」
「ショウくーん!!」
「がはっ!」